表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/413

全員のステータス確認

仲間ステータス確認回です。

「どうしたの、泰良」


 俺の動揺を察したのか、ミルクが心配そうに尋ねる。


「いや、俺の幸運値の異常さがわかった気がして……」

「今更?」


 姫が眉間にしわを寄せて言う。

 いや、高いのは知ってたけど、こんなのレベル500とか1000とかの人に比べると大したことないと思ってたんだよ。

 この苦しみ、わからないかな?

 わかってほしい。

 そうだ!


「そういえば姫には俺のステータス、正式にパーティを組んだら教えるって言ってたよな? ミルクも正式に天下無双の一員として加わったし、ここで全員のステータスを確認しておかないか?」

「そうね。今回の調査では四人一緒に行動するわけだし、いいと思うわ」

「はい。私もみんなのステータス知りたいです」

「敵を知り、己を知れば百戦危うからずってやつだね。大切なことだと思うよ」


 俺がそう提案すると、みんな乗り気になってくれた。

 自衛隊の人たちが休憩のためにと用意してくれた待機用のテントに入り、それぞれメモ用の紙にステータスを書く。

 スキルは書かずにステータスとレベルだけという条件で。


「じゃあ、まずは私からよ」


 自信満々に言ったのは姫だった。

 彼女のメモを見る。 

 数字は綺麗なのだが、日本語を書くのは苦手なのか、少し文字が歪んでいた。


――――――――――

レベル:26

体力:215/215

魔力:0/0

攻撃:101

防御:91(+1)

技術:131

俊敏:357(+171)

幸運:13

―――――――――――


 俊敏値たかっ!?

 なにこれ、俺の方がレベルが高いのに、倍以上ある。

 特に増加値が高い。疾風のイヤリングの効果だけじゃないよな?


「この増加値、どうなってるんだ? 半分近く増えてるぞ?」

「私のスキル、『速き者』の効果で俊敏値が常に100増えるのよ。疾風のイヤリングの効果に反映されないのは残念だけどね」


 元々俊敏値が高いのに、そこからさらに100増えるって、凄いな。


「見事に尖端異常者(シャープアブノーマル)の数値だね。ここまでの値は見たことないけど」

尖端異常者(シャープアブノーマル)?」

「一つのステータスに特化した人のことをそう呼ぶの。魔力値と幸運値を除いて体力を半分にしたステータスで五角形を作った時、一つのステータスが伸びてると尖って見えるのが由来。」

「じゃあ、俺も尖端異常者(シャープアブノーマル)ってことになるのか」

「そうだね。まぁ、幸運値はみんな低いから五角形の中に含まれないんだけどね。じゃあ、泰良は当然最後として、次は私のステータス。この中で一番レベルが低いから見せるの怖いけど」


 とミルクがメモを出す。

 相変わらず彼女の文字は習字のお手本のように綺麗だな。


――――――――――

レベル:13

体力:60/60

魔力:245/245

攻撃:37

防御:35

技術:39

俊敏:31

幸運:5

―――――――――――


 こっちは魔力値が異常だった。

 俺と違って熟練度をしっかりあげているからだろうな。


「魔力が凄く高いよ、ミルクちゃん。基礎値なら私よりも高いもん」

「幸運値は最低ラインなのが玉に瑕だけど、それ以外は魔術師のステータスとしては優秀よ」

「そうだな。これなら5階層の敵とも一人で戦えそうだ」


 そして、次はアヤメと。

 アヤメの文字はかわいらしいが、少し小さくて遠目だと読みにくい。


――――――――――

レベル:24

体力:75/75

魔力:292/146(+292)

攻撃:75

防御:58

技術:62

俊敏:70

幸運:9

―――――――――――


「ミルクちゃんと比べると、私の場合装備頼りですよね」


 アヤメが恥ずかしそうに言う。


「いいえ、ユニーク魔法に複合魔法の両方を使えるミルクと比べて、風魔法だけでここまで魔力が高いのは稀よ。たぶん、アヤメは普通の人に比べて魔力の伸びが高いんだと思う」

「私だって、薬魔法を覚えるまでは魔力が二桁だったし」

「うん、アヤメは頑張ってるよ。さて、最後は俺だな」


 なんだ、みんな俺より凄いところあるじゃん。

 だったら、俺のを出してもそこまで驚かれないんじゃないか?

 とメモを出す。


――――――――――

レベル:33

体力:515/515

魔力:170/170

攻撃:205(+20)

防御:203

技術:182

俊敏:181

幸運:385

―――――――――――


 全員無反応だった。

 ……あれ?

 おーい、誰か、何か言ってくれ。


 姫が無言でテントから出ていく。

 そして帰ってきたと思ったら、その手にはライターを持っていた。

 そして、俺のメモを手に取ると、金属製のゴミ箱に入れて、ライターで火を点けた。


「ってなにするんだ!」

「アレを誰かに見られたら大騒ぎになるわよ。シュレッダーでも怖いくらい」

「やっぱり誰にも言えないよな」

「そうね、配信するにあたって、幸運値の尖端異常者(シャープアブノーマル)だっていうのは伝えてもいいと思うわ。というか絶対にバレるもの。黙ってれば幸運値70か80くらいだって思うはずよ。確か、日本ではないけれどドイツあたりに幸運値が最初から30くらいあったって言ってた人がいて騒ぎになってたから」


 初期値30で騒ぎになるのか。


「アレはともかく、他のステータスも高いよね?」

「はい。アレ以外もレベル7差とは思えないくらい」

「たぶん、アレのせいね。レベルアップごとにステータスの上昇値にはムラのようなものがあるんだけど、泰良の場合、そのムラの中で上限値に近い数字を引き続けてるんじゃないかしら?」


 俺の幸運値が高すぎて、幸運値が2023年の阪神ファンにおける「優勝」の二文字みたいになってる。


「泰良、ここまでアレが高いと日常生活でも思うことはないの? いくらダンジョンの外で影響が少ないって言ってもいろいろあるでしょ? 宝くじで高額当選を引いたとか」

「うーん、くじ引きとかは子どもの頃のトラウマで最近はあんまりやらないからな。強いて言えば、仲間の女の子が全員カワイイってことくらいだが――」


 と俺が言うと、ミルクとアヤメが後ろを向き、姫が盛大にため息をついた。


「泰良、あんたいい加減にしないとそのうち刺されるわよ」

「ヤバイ、いまのって考えればセクハラだもんな。悪い、つい思ったことをそのまま言ってしまった」

「……はぁ」


 姫がもう一度ため息をついた。

 発言には気を付けないといけないな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幸運の初期値が異常に高かった高校生が、缶詰ガチャで手に入れたスキルを使って現代ダンジョンで最強になる物語、漫画公開中!
詳細はこちら
漫画
― 新着の感想 ―
 刺されない幸運。
配信で確定ドロップに近いもの見られるの不味そう。 前衛だとトドメを刺す機会多いし、幸運値の尖端異常者と事前に言ってると トドメ刺すのを避けるのは不自然なことになる。 インベントリの自動収集で動画に映り…
詳細鑑定バレなんてもっての他だけど、幸運値だけでも悪意あるものにバレたら誘拐から奴隷化まったなしだな それか速攻家族拉致られて脅迫されるか 序盤はもう少しタイラくん危機感あったと思うけど最近、オレ何か…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ