【閑話】女の子が飴玉を舐めるだけの話1
ただ飴玉を舐めるだけで1話終わります
みんなでスキルを覚える。
といってもすることは飴玉を舐めるだけだ。
間違えて噛んではいけないので、無言になる。
ミルクを見ると、とてもイヤそうな顔をしていた。
どうしたのか尋ねたい。
そうだ、念話を使えばいいんだ。
『ミルク、どうした? 変な顔してるぞ』
『これ、パイナップル味だと思ったらハッカ味だった』
『あぁ……なるほど』
俺が石舞台ダンジョンで同じ失敗をした記憶がある。
ハッカ味のダンジョンドロップって少し透けていて、サ〇マ式ドロップのパイナップル味みたいな色なんだよな。
子どもの頃、ミルクはドロップの中でもハッカ味が苦手だった。俺は嫌いじゃないのでいつも貰っていた。
どうやら未だにハッカ嫌いが克服できていないみたい。
『我慢して食べろ』
『うん、我慢して食べる』
ミルクが覚悟して食べる。
しかし、女の子がイヤそうな顔をして口の中で大きな飴玉を転がすのって、なんか背徳感があるよな。
『泰良、イヤらしい顔してるわよ』
姫から念話でツッコミが来た。
『そんな顔してたか?』
『泰良は顔に出やすいのよ。アヤメはまだ王子様フィルターが抜け切れてないから気付いていないと思うけどね』
『王子様フィルター?』
『泰良の顔が王子様みたいに見えてるの。いやらしい顔をしていてもキラキラの王子様みたいに』
『え? それって本当に?』
『その点、私は泰良のだらしないところも含めて好きだから安心して』
ぶっ。
姫はいつも不意打ちがきつい。
俺の反応を楽しんでるのか?
『だらしないって、男がいやらしいことを考えるのは普通のことだ』
『ふぅん? まぁ、私たち三人相手だったら別にいいけど、真衣とトゥーナはまだダメよ』
『まだってなんだよ……いやらしいこと考えていいのかよ』
『夫婦だし、別にいいでしょ。実際いやらしいこと何度もしてるわけだし。今度また一緒にいやらしいことをする?』
『……………………頼む』
『ええ、今度二人きりの時にね。でも子どもができちゃうようなことはダメよ?』
学生妊娠は面倒だって姫に注意されている。
しかし、王子様か。
アヤメをじっと見る。
かわいく口の中で飴玉をコロコロ転がすアヤメ。
緑の可愛らしい髪と瞳。
カワイイ上にスラっとしたモデル体型で美人なんだよな。
アヤメは約165センチ、ミルクは約155センチ、姫は約140センチと、結構身長差がある。
俺の視線に気付いたのか、アヤメは顔を赤らめて逸らした。
そして、遠慮しながら俺を見返してくる。
『壱野さん、私の顔に何かついてますか?』
『いや、アヤメは可愛いなって思って』
『かわっ!? そ、そんなことないですよ。ミルクちゃんみたいに胸も大きくないし、押野さんみたいに小さくないですし』
『そんなことないだろ。身長だって、アヤメくらいの方がキスもしやすいし』
『キスっ!?』
キスに向いてる理想の身長差は12センチだっていうし。
『そ、その。みなさんがいる前では――二人切りになったときにお願いします。あと、今舐めているのは檸檬味です』
『うん。俺のはイチゴ味だ』
いまからキスをするって話をしているわけじゃないんだけどな。
というか飴玉をこれからあと三個舐めるわけだし、今舐めている味とキスとは無関係だと思う。
しかし、姫といやらしいこと、アヤメとキスの約束になった。
これも俺の幸運値がもたらした幸福なのだろうか?
ミルクとも何か約束をした方がいいのだろうか?
『ミルク、ちょっといいか?』
『うぅ、まだハッカのお化けが襲ってくるよ……どうしたの、泰良』
『俺になんかしてほしいこととかあるか?』
『泰良にしてほしいこと?』
『なんでもいいぞ』
『じゃあ、前にパンケーキ食べたお店にみんなで行きたいな。でも、いまはパンケーキの上のミントすら憎らしいよ』
『それだけか?』
『石舞台ダンジョンにももう一度行きたいかも。リベンジしたいよ』
『うん。他には?』
『あとで口直しにバ〇キン・ロ〇ンスに行きたいから付き合って』
『サー〇ィワンのことをバ〇キン・ロ〇ンスって呼ぶ日本人初めて見たよ! アメリカ育ちの姫でも言わないんじゃないかっ!?』
姫はあれでアメリカ暮らしがかなり抜けてきている。
前に、マ〇ドナルドのことをマ〇ドって呼んでたし。
やっぱりあれか?
いやらしいことをしようとしている天罰か?
俺の幸運値、大したことない?
『どうしたの?』
『いや、ミルクは謙虚だなって思って』
『そりゃね。泰良と結婚できて幸せなのに、これ以上望むのは贅沢だよ』
『……ミルク』
『なに?』
『イチャイチャしたい』
『うん、二人になったらね』
幸運値、ありがとう!
こんな素敵な女性三人に合わせてくれて。
と思っていたら念話が届いた。
『泰良、じゃあこの後、一緒にディナーでも行きましょ』
『壱野さん、二人でカラオケに行きませんか?』
『泰良、バ〇キン・ロ〇ンスに行った後泰良の部屋に行っていいかな?』
……あ、うん。
俺の幸運値さん、どうか綺麗にまとまるようにお願いします。




