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エルフ世界の記憶の再生

 落ちていたフレイムリザードマンの剣を拾う。

 従魔といっても道案内として利用しただけの存在だったが、最後まで俺のために戦ってくれた。


「ありがとうな」


 俺はフレイムリザードマンの剣にそう言って、その剣をインベントリに収納した。

 感謝を述べると同時に、どこか安心している自分がいた。

 これがフレイムリザードマンではなく、他の誰か――ミルク、アヤメ、姫のうちの誰かだったらと思うとゾッとする。

 そして、あの状況ではそうなる可能性があった。


 牛蔵さんに敗れ、鈴原に追い詰められた。

 そして最後にキングさんに格の違いをまざまざと見せつけられた。


「姫が目指す先は遠いな」

「…………ええ。でも追いついてみせるわ」


 姫が覚悟を決め、力強く頷く。

 そうだよな。

 ここで立ち止まる姫じゃないか。


「……泰良様。先に行こう。血の臭いで魔物が集まってくるかもしれない」


 地面に落ちた鈴原の血を見てトゥーナが言う。

 俺は頷き先に進んだが、しかしその心配は無用だったようだ。

 魔物の数が少なかったのだ。

 たぶん、鈴原が倒していたのだろう。

 目的はレベル上げだろうか?

 それとも――


 これの発動のための魔石集めか?


【逃走防止装置:周囲十メートルに外部への逃走を阻止するための結界を張ることができる】


 岩の隙間に隠されていた魔道具だ。

 詳細鑑定によると、発動には魔石が必要らしい。

 かなり効率は悪く、普段使いはできそうにない。

 それでも、一時間は効果を持続できるくらいの魔石が中に入っていた。

 売れば高そうだが、でもダンジョンシーカーズのアイテムだからな。

 これの処理についてはダンジョン局に相談しよう。

 一緒に盗まれたという、姿を消すための魔道具はなかった。

 あれは装備品らしいので、鈴原が持っていたのだろう。

 まぁ、魔物がいないのはありがたい。

 ところどころ高温ガスも出ているが、33階層の階段は普通に見つかった。

 

 階段を降りていくと、円卓が置かれた祭壇があった。

 見た目は23階層のそれと違いがない。

 ただし、壁画は一枚も存在しない。

 そのそばにダンポンがいた。一見するとその肌の色と被って気付かなかったが、口の端に白い粉がついている。

 PDのダンポンだ。

 ここに来る前にコンビニで買ってきた豆大福を渡したからさっき食べたのだろう。


「待っていたのですよ」


 ダンポンが中央の祭壇の上に乗って言う。

 

「ちの太くんたちを信用していなかったわけではないが、本当にダンポンくんと交渉を済ませていたのか。今日は驚いてばかりだ」


 閑さんはあまり驚いたような表情を見せずに言う。


「さぁ、廃世界とDエネルギー缶をここに置くのです」


 俺はインベントリから廃世界とDエネルギー缶を取り出して祭壇に置いた。


「これでいいのです。世界の再現の時間は2時間なのです。それで記憶の再生は終わるので注意してほしいのです。手に入れたアイテムは外に持ち出すかインベントリに入れたら消去されないので、持ち出したいものがあったらそのようにしてほしいのです」

「インベントリとはなんだい?」


 閑さんが聞き返す。

 ダンポンが余計なことを言った。


「あぁ、アイテムボックス……そう! アイテムボックスのことなのです」


 ダンポンは自分のミスに気付いて訂正した。

 そしてDエネルギー缶と廃世界の前に鎮座する――いや、丸いから座っているのか立っているのかわからないけど――と同時にその身体が光った。


「古の記憶よ、時の波の間沈みし真実よ封じられし夢の欠片、今ここに甦れ流れゆく星の声――」


 なんだ、呪文の詠唱ってやつかっ!?

 凄い、これがダンポンの力なのか。


「――静かなる大地の囁き失われし世界よ、その名をもう一度、その姿を現せ――アストラ・メモリア、エルデン…………えっと……」


 ダンポンの言葉が止まった。

 いよいよ魔法が発動される――そう思って息を呑んだが、何も起こらない。

 魔法が発動しない。

 何か問題があるのか?


「どうしたんだ?」

「カッコいい詠唱を考えてたのに、途中で忘れてしまったのです」

「考えてた? なぁ、それって必要な詠唱なのか?」

「必要ないのですよ。雰囲気作りなのです」


 そういうのは要らないからやめて欲しい。


「ねぇ、ダンポン。さっさと始めてくれない?」

「え? でもせっかく考えたのです。思い出すから待って欲しいのです」


 ダンポンが妙なところで拘りを見せる。


「豆大福は美味しかったかしら? 今度、私が知っている中で一番美味しい京都の豆大福――出町ふたばの豆餅を買ってきてあげるからさっさと始めてくれない?」

「本当なのですか!? 名前を聞いただけでも美味しそうなのです! 約束なのですよ!」


 とダンポンが姫に言うとやる気を見せてさっさと始めてくれた。


「解放:世界再生(ワールドメモリー)


 そして――



 俺は森の中にいた。

 ここがエルフの森か?

 23階層の祭壇の壁画で見た森の中にそっくりだ。

 魔物とも人とも違う何かの気配をあちこちから感じる。

 森に住む動物だろうか?


「トゥーナ、エルフの村はどこに……トゥーナ?」


 あれ?

 トゥーナがいない?

 トゥーナだけじゃない。

 ミルクもアヤメも姫も閑さんもダンポンも誰もいなかった。


 もしかして、みんな迷子になったか?

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― 新着の感想 ―
[一言] ダンポンの頭の中が豆大福で占領されて色々な設定が歪んだのが原因で迷子になったのでは? そして多分ダンポン設定で登場人物枠に皆が強制的に割り振られたのかと思うな 食べ物が未知の豆大福として出て…
[一言] そうか、ダンポンは14歳だったのか。
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