激レア缶2個目と3個目
一個目の激レア缶は当たりかハズレかよくわからないな。お宝ダンジョンに何があるか次第だ。
もしかして、全部宝の地図と宝の鍵なのだろうか?
それを確かめるためにも二個目の激レア缶を開ける。
姫は二個目を開ける前に、万が一宝の地図だったときのことを考え、洋上に浮かぶ周囲100キロに何もない無人島に移動するかどうか聞いてきたが、当然移動はしない。
姫も冗談で言ったのだろう……冗談だよな?
二個目の激レア缶の中身は――
「普通にスキル玉だな」
飴玉で鑑定するとスキル玉で間違いなかった。
「スキル玉って本当は普通じゃないんですけどね」
アヤメが苦笑して言う。
うん、俺もそう思う。
「さて、誰が覚える?」
俺もスキルは覚えたい。
ジャンケン大会の開始か?
俺は運が強いから10回連続勝たないとダメだって言われそうだ。
なんとなくそれでも勝てそうな気がするが、姫の俊敏値だったら俺がジャンケンの手を出した一瞬の隙に手を変えることもできそうで強敵だな。
でも、負けるつもりはない。
「泰良が舐めていいよ」
ミルクが言った。
姫とアヤメも頷く。
「え? いいのか?」
「うん。私たちが開けたD缶なら私たちがスキルを覚えるけど、みんなで開けたD缶に入っていたスキル玉だったら、基本は泰良に使ってもらおうって話してたの」
ミルクが言った。いつの間にか女性三人でいろいろと話し合っていたらしい。
「私が今更魔法スキルを一つや二つ覚えても意味がないし、逆に後衛のミルクやアヤメが前衛で戦うスキルを覚えても意味がないでしょ? その点泰良だったらどっちのスキルを覚えても有効に使えるでしょ?」
「そもそも、D缶は泰良さんがミルクちゃんのお父さんから貰ったものですし、D缶を開けられるのも泰良さんのスキルのお陰なんで、文句があるはずがありません」
そっか。
ならば、遠慮なくスキルを覚えさせてもらう。
「じゃあ、三つ目開けるか?」
「順番に片付けちゃおう。三つ目を開けるのはスキルを覚えてからでいいよね?」
ミルクが言って、姫とアヤメが同意した。
ということで、スキル玉を舐める。
今回はブルーベリー味だ。
視力がよくなるスキルだったりして。
その間に、姫が今度チームメシアとして販売するグッズを紹介。
デフォルメされたぬいぐるみやキーホルダー、アクリルスタンドなどが置かれる。
俺たちの元の姿がデフォルメされたので、よく見るとアルファ、ガンマ、デルタはそれぞれ姫、アヤメ、ミルクにそっくりなんだよな。俺の嫁、超美人――って大声で自慢したい。
正式な結婚は数年後になり、三人のご両親への挨拶はその少し前になると思う。
それまでに納得してもらえるだけの男にならないと。
……ミルクとアヤメがベータグッズをそそくさと鞄の中に入れているのを目撃。
俺も愛されているなぁ。
そういえば、今日のてんしばダンジョンは20階層以上下に潜っている人がいないから、そこで配信をすることになっていたな。
政府からの調査ではないダンジョン探索で初めての配信か。
リスナー集まってくれるのかね?
よし、舐め終わった。
ステータスを確認。
新しく覚えたのは……
「影獣化ってスキルだ」
「聞いただけでも凄い名前です」
「当然のようにユニークスキルなのね」
「どんなスキルなの?」
「いや、わからん」
ただ、未だに効果のわからない妖精の輪と違って使える雰囲気はあるから、ダンジョンの中で試してみたら効果もはっきりするだろう。
さて、俺もアルファ、ガンマ、デルタのグッズを貰うとするか。
「変なことに使わないでよ」
ミルクが注意するように言った。
変なことってなんだよ。
「わ、私のは変なことに使ってもらっても」
アヤメが恥ずかしそうに言った。
だから変なことってなんだよ。
「じゃあ最後の激レア缶を開けましょ!」
「ああ……最後はなんだろうな」
激レア缶……オープン!
出てきた。
中身は……おっと、これは――
「勾玉か……ハズレアイテムだな」
最近だと加工して銃弾になっているらしく、巷では品不足となっている。
投げて当てることでゴーストを倒すことができる魔法アイテムであるが、ハニワ兵がいつでも落としてくれるので俺にとっては必要ない。
「泰良、一応鑑定してみたら?」
「そうだな。スキル玉みたいに紛らわしいアイテムもあることだし、鑑定だけしてみるか」
姫に言われて鑑定してみる。
えっと――
【八尺瓊勾玉:三種の神器の一つ八尺瓊勾玉のレプリカ。状態異常の悪い効果をすべて無効化する】
え? 三種の神器?
確か、姫と上松大臣が話していた草薙の剣が、その三種の神器だったという話だが。
改めて装備の効果を確認する。
状態異常の悪い効果の無効化。
防ぐのではなく、悪い効果のみの無効化って、それって普通に状態異常を防ぐよりも凄いんじゃないか?




