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万竜の祝宴〜2

『龍の湧き泉』から2つの異界へと続く(ゲート)が開かれた。



1つは空に虹色の光を放ちながら開き、もう1つは地にどこまでも続く様な深い闇色の光を放ちながら開いた。



最初に変化があったのは闇色の扉だった。



ドス黒いオーラがまるで湧き水の様に湧き上がり、ゆっくりと『龍の湧き泉』の盆地を埋めていった。



そして、それ(・・)はゆっくりと這い出て来た。



体長は600メートル程あり、自ら光を発している様に見える銀色の逆立った鱗に覆われた流線型の体躯に鋭い鉤爪を持つ4つの翼脚には血の様にドス黒い飛膜を備えており、鞭の様に鋭く長い尾を3本、頭部には4つの捻じ曲がった剣の様な角を生やしている。そして、その身体を覆う様に竜の骸でできた外鎧を生やしており、その骨の隙間からは絶えずドス黒いオーラが漏れ出していた。



『ガァアアアアアアア!!!!』



その龍は天に向かって咆哮するとそれに答える様に天に開く虹色の(ゲート)から金色の炎が湧き上がり、そこからゆっくりと流れ出る様に炎の龍が現れた。



全身が燃え盛る焔の様な羽毛に包まれており、周りの空気をほのかに赤く染めている。その身を覆い尽くせるほど巨大な4つの翼は羽ばたく度に火の粉が舞い上がり、幻想的な光景を生み出しており、細長く伸びる尾には孔雀の様に鮮やかな色合いの尾羽がはえており、鳥を彷彿とさせる頭部にはゆらゆらと揺らめく2つの炎の角が生えている。



骸鎧の龍はその4つの翼脚に力を込めて大きく羽ばたき、紅蓮の龍の側まで飛んだ。



2体の龍はまるで踊る様に『龍の湧き泉』の上空を優雅に飛び、空を緋色と闇色で鮮やかに彩っていく。そして、それに合わせて陽の光は消え、空は覆われていく。



荒々しくと唸る風。緋色と闇色が混じった魔力の嵐が吹き荒み、徐々に紅蓮と漆黒で色付けされた竜巻へと変わっていく。その竜巻の中心部には2体の番の龍が互いに会えたことを嬉しそうに踊っている。



その紅蓮と漆黒の竜巻に向かって『龍の湧き泉』に集結した竜達は螺旋を描く様に周りを旋回する。



5体の大罪を司る龍達は天に向かって各々のブレスを放出する。すると空を覆う雲は雷鳴を轟かせる世界を焼き尽くさんばかりに燃え広がる天空の炎の海へと変わり、空から火の礫が大地に降り注ぐ。



世界の終焉を思わせるその光景でも竜は祝福の咆哮を上げる。何千何万という竜の咆哮に加えて、5体の龍の咆哮も加わる。



その時、紅蓮と漆黒の竜巻が霧散した。残された竜達は旋回を止め、そこにいる存在を崇めるかの様に天を見上げる。



そして、2つの大きく羽ばたく音が天空の炎の海から響き、ゆっくりと2体の龍が降りて来た。姿形は変化はないが、骸鎧の龍は銀一色だった鱗に番である紅蓮の龍と同じ緋色が追加され、紅蓮の龍は骸鎧の龍と同じく闇色の羽が追加されている。



そして、その2体の龍の首には番であることを示す首輪の様な紋様が刻まれていた。



2体の龍はそれまで見ていた5体の大罪を司る龍の元へ飛んでいき、笑い合った。




こうして数百年ぶりの『万竜の祝宴』は幕を閉じた。



沢山書いたつもりがそんなになかった件

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