表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/120

式の準備〜2

11月30日 21:50 後半追加

〜sideカグラ〜



アリシアへの届け物を済ませた私は早速装備を準備して国落としに向かいました。



普通ならば馬で数日かかる距離ですが、そこはゲーム譲りのチート肉体スペックで数時間で着きました。装備を全て外した状態の私はかなり速いですからね。装備込みだと1番遅いですが。



そして現在私は少し小高い場所から例の人間の国を観察しています。



ゲオルギウス帝国。数百年ものの歴史を持つ大国でかつて異世界からやってきた竜殺しの英雄が建国した国であり、異世界の技術を多く取り込んだ為に技術力と軍事力が高く、非常に繁栄しています。



アリシアから聞いたその国の脅威は死を恐れない疲れを知らないロボット兵の軍隊や銃火器だそうです。



一応、サンプルとして見せて貰いましたがロボット兵は某天空の城の物とそっくりであり、銃火器は第一次世界大戦時の物に魔法的なものを付与した物でした。



ルナティアのエクスマキナやティアムンクの銃に比べればお粗末な物ですが、この世界の住民にとっては脅威です。



「さて、引き受けたはものの。どう処理しますか………」



見る限り、腐っても竜殺しの英雄が建国した国だからか障壁は頑丈そうです。それこそ私のメインウェポンの通常射撃を1発耐えるくらいには。



中に潜入して殲滅しても多くが逃げ出してまた増えるでしょう。人間はしぶといですからね。まるでゴキブリの様に増えては増殖していきますから。



可愛い妹分たちの為にも今後に心配することなく過ごして欲しいものです。



私が今回の件を引き受けた理由としてルナティアに話した2つのことが最もですが、他の理由はあそこに国があると私の調子が良くならないからです。



私の種族である『天金剛岩龍』は大地を司る龍で地脈や龍脈からエネルギーを少し分けて貰い生きています。ちなみに地脈は静脈、龍脈は動脈の様なイメージです。



あの国はその大事な龍脈からエネルギーをごっそり奪っている為、世界に流れるエネルギーが不足してしまっています。現にゲオルギウス帝国周辺は荒地となっています。



これは世界の維持の為にも早急に潰さなければいけない案件です。



…………ですが、先述した通り非常に耐久性のある国ですので潰すのに時間がかかります。



「さて、困ったものですねぇ…………」



『いや君が龍化して潰した方が早いじゃん』



私が悩んでいると脳内にあのケモ耳ロリボクっ娘神様であるイスチーナ様の声が聞こえてきました。



「そうは言いますが、相手側に転移装置があるかもしれませんよ?逃したらまた増えるじゃないですか」



『いやそんなものないよ。あの国には物送るくらいの機能しかない転移装置しかないよ?それも1つだけ』



「何故その様なことを知っているのですか?」



『僕はこの世界の神様だよ〜?この世界で知らないことは何ひとつないのさ!』



「………………なるほど、わかりました。それで行きます」



なんだか言い方が癪ですが、彼女の言う通りにしますか。




***




全人類から女神ナシアナの加護が失われてから早一年が経過した。



主要国家はその殆どが『七大罪龍(セブンズドラゴン)』か邪神イスチーナの眷属によって滅ぼされた。また精霊からの祝福も無くなり作物も水も動物も取れなくなったことで食糧難になっており、人類は滅亡の危機に陥っている。



そんな人類の危機の中でも粘り強く生き残っているゲオルギウス帝国に緊急事態が発生した。



それは超巨大生物が彼の国に向かって進行しているのが確認されたからだ。



周りの山々が小さく見えるほどの巨体で岩盤のような鱗に覆われた皮膚に山脈の様な背には大小様々で多種多様な鉱石が所狭しと生えており、貌はカミツキガメにシャベルの様な顎と闘牛の様な2本の角が生えた凶悪な顔つきをしている。遠目から見るとリクガメの様な見た目だ。



そんな超巨大生物が4つの脚で悠然とゲオルギウス帝国に向かって歩みを進めている。



人間達はもちろんその化け物の進行を止めるべく大量の魔法や銃火器などで反撃するも化け物はまるで気にした様子は無く歩みを進めている。



巨体に似合わず非常に速い速度で進行する化け物に対して帝国にいる住民はもはや諦めた。



元よりこの国はその軍事力を使って竜狩りを主な収入源としており、竜と親密な関係にある竜王国アニスフィアと戦争の末に疲弊しきっていた。なにより、逃げたところで行く当てなどないのだ。



化け物はそのまま歩みを続け、帝国の城壁の手前で停止した。そして、ゆっくりと後ろ脚で立ち上がり、前のめりで帝国を自身の陰で覆い尽くすとシャベルの様な顎を大きく開いた。



そして、雷鳴の様な音が化け物の口の中から激しい閃光と共に響き渡り、充分な溜めの末に化け物は帝国に向かってブレスを放った。



黄金色のブレスは帝国を跡形もなく消し去り、帝国があった場所には巨大なクレーターが出来たのであった。




〜sideカグラ〜



『随分と呆気ないものですね』



私は帝国があった場所を見ながらそう呟きました。どれだけ強固な結界だろうとどれだけ歴史があろうと終わる時は非常にあっさりとしています。これはどの時代もそうです。



大きなクレーターになってしまったので『剛岩魔法』で土や岩を生み出して埋めていき、脚で踏んで慣らしていきます。ちなみに『剛岩魔法』は土魔法の最上位です。



『さて、帰りますかァッ!?………あいたたた』



私が少し伸びをして帰ろうとした時、背中に痛みが走りました。例えるならば腰を痛めたみたいな痛みですね…………



『えぇ……ちょっと待ってぇぇ……ギックリ腰?いやいやそんな歳じゃない筈ゥいたたた……』



あ、やばいこれ。痛みで動くのが億劫になってきました。



と、とりあえず、だ、誰かに連絡をッ!



ルナティアとリュウエンはお取り込み中ですし、ナザールは騎士団連れて強化遠征に出掛けていますし、バルザックは大事な商談が……



残るはスルースとティアムンク。



……………………スルースですね。ティアムンクはちょっと何するかわかりませんから。



私はスルースに念話をかけて助けを求めました。



『………………………………………なに?』



かなり間があっていつもよりも低い声のスルースの回答がありました。



うわっめっちゃ不機嫌………。寝てたんですね………。



『寝ていたところ申し訳ないのですが、緊急事態なのです助けてください』



『………なにがあったの?』



『えーと、ちょっと野暮用を片付けていたら腰をやってしまいまして…………痛くて動けないんですはい』



『……………………龍化してガ○ラやったの?』



『えぇ、そうですそうです。なんでわかったのですか?』



エスパーですかあの子。



『かぐ姉が龍化した気配がするから。あと、龍脈が活性化してるし。だめでしょかぐ姉?かぐ姉の龍の骨格的に腰に負担かかってるんだから後ろ脚で立っちゃそうなるよ』



『め、面目ない…………』



『………………迎え行くから。人に戻れる?』



『ちょっとやってみます。それとありがとうございます』



『ん』



そうして念話は切れました。



私は試しに『龍化』を解くと問題無く人型に戻れました。



そして私はそのまま整地した元帝国首都の中心で膝を抱えて丸くなってスルースを待ちました。

最近、リアルの方で忙しくなってきていますのであまり投稿できないかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ