表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した鏖殺姫は今日も仲間と共に楽しく暮らします  作者: 骸崎 ミウ
平穏で賑やかな日常
64/120

タコ狩り〜1

そろそろネタの在庫が切れてきましたので、投稿は2日に一回にします。






魔王領の端っこの海上都市『リンデンバーク』



普段ならキラキラと輝く大海原が見れるが、現在その大海原は赤くてぶよぶよとした生物に占拠されている。



『ーー野郎どもッ!!準備はええかッ!!今日はご馳走が目の前に山ほどあるッ!!気合い入れてけぇぇ!!!!ーー』



『ーーYAAAAAAAAAAA!!!!ーー』



そんな浜辺でバルザックは自身が召喚したアンデット達に向かってメガホン片手に叫んでいた。



バルザックの服装は頭に捻れ鉢巻を巻いて、さらしに赤ふんどしと気合いの入った物に『七大罪龍(セブンズドラゴン)』のマークが入った、法被を羽織っていた。



ただでさえ、グラマラスな体型のバルザックがそんな女がしたら破廉恥な格好をしているもんだから応援にやってきた海上保安庁の男衆や騎士団の連中なんて鼻の下伸ばしているよ。



ちなみに小鈴さんは幸せそうな表情をして鼻血を吹いて倒れた。



「…………………るな姉、バルの奴なんであんなに気合い入ってるの?」



「知らんわ。目の前のタコの大群が原因じゃないかの?」



「ボク、タコよりもイカの方がいいんだけど………」



「どっちも同じじゃろ………」



非常にハイテンションなバルザックのすぐ近くをバルザックと同じ格好をしているナザールが巨大タモを持って素振りしている。



お陰で騎士団のファンクラブのテンションも最高潮。ナザールを姉御と慕う男衆はイスチーナ様に感謝の祈りを捧げ、逆にお姉様と慕う女衆により白い浜辺は赤く染まっている。



魔王軍の騎士団と貴族の御令嬢の間ではナザールが人気なのだ。



ナザールに搭載されている2玉の大玉スイカは素振りをする度にぶるるんッ!ぶるるんッ!!と自己主張している。



ぷるんっぷるんっでもぶるんっぶるんっでも無く、ぶるるんッ!ぶるるんッ!!である。



わからない?めっちゃ揺れているんだよ。自己主張激しく揺れてるだよ。見せつけるが如く、張り良く揺れてるんだよ。



…………………………。



…………クソがッ。



リュウエンはせっせと釜で米を焚いて色々と準備している。



カグラとティアムンクはタコというか軟体生物が生理的に無理だということで留守番だ。食べる分にはいいが完全体が駄目らしい。



「………なぁ、嬢ちゃん達。ほんとにあのレッドデビルを食うのか?腹壊すぞ」



とスクアーロさんが私たちの側でバルザック達のハイテンションな光景を遠い目をしながらそう聞いてきた。



「お前さんらが言っているレッドデビルというかのは我々の世界ではメジャーな食材じゃ。見た目はあれじゃが、美味いぞ」



「そうそう、干物にすればお酒のつまみにもなるからね」



そう言ってスルースはふわふわと《神通力》で浮きながらタコが埋め尽くす海に向かい、タコを1匹とってきた。



「はい。るな姉、お願い」



「我がやるんか………。刺身でよいか?」



「いいよ」



私はスルースからタコを受け取るとまずはヌメリ取りから始める。ヌメリがあると味が悪くなるからね。



はじめにヌメリを取るための下処理は、足を裏返して中心部にあるクチバシ周りに包丁で切れ込みを入れ、まずクチバシを取り除く。



次に目玉を下にし、頭と胴体の付け根を指先で切ったら胴体を裏返して、胴体に付着している内臓を手で引っ張りながらていねいに外したら、胴体を元に戻す。



そのあとは魔導具を使って急速冷凍。こうすると解凍時に面倒な塩揉みもせずにヌメリと汚れがあっという間に取れる。それでもまだ残っている場合は軽く塩揉みしてから湯がけば万全である。



今回ははじめに生タコの踊り食いを用意する。もちろん衛生管理は問題ない。



「おぉーー、おっきい!」



「よく噛んで食え。吸盤が喉に張り付くやもしれんからの」



「いっただきまーす!……………」



スルースは生タコに醤油を垂らして口に頬張る。私もタコを口に入れて食べてみる。やはり現地直送である為、歯応えがよく美味い。



「うまぁーーい♪」



スルースは顔を綻ばせながらそう言った。



「な、なぁ、大丈夫なのか?腹痛くならねぇのか?」



「まぁ、生だと腹を壊し易いからあまりお勧めはせんよ。タコは一度湯掻いてから食うのが基本じゃ」



私はそう言いながらタコを茹で始める。



頭を持ち、足先の方だけ入れて出すを、数回繰り返す。こうすると湯の温度が急激に下がらず、キレイに足先が丸くなるのだ。



先が丸まったら全体を入れ、約15分くらい。裏返して5分くらい茹でて、茹で上がったら冷水で締めて、切り分けて刺身の完成。



「ほれ、食ってみろ」



私はスクアーロさんに刺身が乗った皿を突き出す。スクアーロさんは恐る恐るといった感じで刺身の1番小さいやつを取り、意を決して口に入れた。



「………………………なんだこれ、うめぇじゃねぇか!」



「そうじゃろ?タコは歯応えがよく、身体にもいいからのぉ。まぁ、最初の下処理が面倒なだけが難点じゃがな」



そうしてタコを楽しんでいると海が爆ぜてバルザックとナザールの楽しそうな声が聞こえてきた。どうやら彼方でもタコ狩りが始まった様だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ