天人族の子供達
ティアムンクが天人族の子供達を連れてきて数日が経った。
イスチーナ様との唐突な邂逅の後、朝起きると天人族の子供達の翼は黒くなっていた。おそらくはイスチーナ様の加護の影響だろう。
しばらくはそっとしておく事に決まった。
まぁ、様子見として交代で見る様なことをしているが。もちろん、ティアムンク以外で。ティアムンクが入ると色々とまずい状況になるからなぁ。
んで、今日は私の番という訳だが………
「………………」
『………………………』
今現在、私は彼らの中でも歳が一桁台の幼い子達にじっと見つめられている。至近距離で。
ちなみに今私は彼らを怖がらせない為に《龍化》のマスコットモードになっている。《龍化》には3種類があり、普段私たちがなる真龍モード、身体の一部を変化させる人龍モード、そしてステータスが大幅に低くなる代わりに危険性がなくなるマスコットモードだ。
私のマスコットモードは体長2メートル程のずんぐりむっくりとした翼が生えた山椒魚の様な見た目でリュウエンからは非常に好評だ。
私は視線を避ける様にのそのそと移動する。というのも私は子供、それも幼児が苦手だ。何を考えているか分からなくてそれに危なっかしくて怖いのだ。
私が離れると幼い子達は何故か私に近づいてくるし、かといって私が近づくと離れていく。
…………………よくわからない。
一方で歳が二桁……といっても10歳に入ったばかりの年長組は適度な距離を取って私を見ている。最初の頃は部屋の隅で震えていただけだが、最近は片言ながら会話も出来る様になってきたからだいぶ慣れただろう。
「……………………」
『…………………………』
………………………寝るか。
私は腹を天井に向けて寝ることにした。別に危険性はないし、というか弱体化しているといっても私の皮膚はマグマでも溶けない程頑丈だから問題ない。そうして私は子供達の前で寝ることにした。
***
「ーーーー、ーーー、ーー起きんかルナ」
「ふごッ」
べしっと鼻先を叩かれて変な声が出た。
目を開けるとバルザックが呆れた顔で私を見下ろしていた。
「お前さん、よくそんなに固まった状態で寝れんなぁ」
「んあ?なんのこと…………あぁ、なるほど」
目が覚めて周りを見ると子供達が私の周りに集まって一緒に眠っていた。年少組は予想通りだが、年長組まで一緒になっているのは意外だった。
「ルナは子供に好かれやすいなぁ。何かコツでもあるんか?」
「あるわけがなかろう。というか子供は嫌いじゃ。何するかわからんし、危なっかしいし、気が滅入る」
「そう言う割には色々と面倒見たりするやないか」
「……………うるさい。というかなんで来たんじゃ?交代か?」
「そうや。………………後にするか?」
私はバルザックに言われて交代しようかと思ったが、未だに私の腹を枕にして眠っている子供達を見て変わって欲しいとは言えなかった。
「そうじゃな。しばらくこうしておるわ」
「了解。いつでもええからな」
そうしてバルザックは部屋から出て行った。
私は何もする事が出来ずにただ天井の染みを数えて暇を潰した。
不思議とこの時間は苦痛ではなかった。
ーーーこの日を境に何故か私は子供達に懐かれた。
…………何故?
最近、ネタに困っています




