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転生した鏖殺姫は今日も仲間と共に楽しく暮らします  作者: 骸崎 ミウ
被虐の堕天使と傲慢の鉄杭聖女
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幕間〜ワルプルギスの悪夢〜

何かの偶然か投稿日が13日の金曜日であります




8/12 第1章タイトル変更

ルナティア達が転生した世界には大きく分けて3つの領域がある。



1つはルナティア達が暮らす場所であり、1番広く多種多様な生物が暮らす領域『下界』。



次に地底深くにある死者が暮らす領域『奈落』。



そして、神々が直接創造し最も清らかであるとされている領域『天界』。



『天界』は主に天人族と呼ばれる神の直系の血族からなる背に純白の翼を持つ人種が暮らしている。この『天界』は元々存在しなかった領域だが、女神ナシアナが勝手に作り出し自らの魂を分けて天人族を創造した。つまり、ナシアナの面倒な置き土産である。



「さぁ、諸君。神戦の時だ!今こそ我ら尊き種の力を下賤な輩に見せつけるのだッ!!」



『『オォーーーーー!!!!』』



『天界』に唯一つの国である神造国エアリアルでは武装した天人族達が目を血張らせて雄叫びをあげていた。



女神ナシアナの消失は誰よりも先に察知した彼らは嘆き悲しんだ。それはその筈だ。自らの創造主がこの世界から完全に抹消されたからだ。



そして、彼らは憤怒し誓った。



女神ナシアナの仇は我々が取ると。創造主を辱め、地に落とし、抹消させたあの異界の竜達に同じ目を合わせてやると。



彼らは竜殺しの武器を大量に作り、確実に殺せる様にと準備した。その胸の内に煮えたぎるマグマの様な憤怒を宿しながら。



ーーーもっとも、ルナティア達は"竜"ではなくその上位種である"龍"である為、"竜"殺しの武器は毛ほども効かないのだが…………。



そもそも、生き物である天人族が上位種の"生命体"に勝てるわけがないのも彼らは知りよしもない。



彼らは持てる武器を手にして『下界』へと繋がる門へと向かう。



その数は少なく見積もっても数万も及ぶ軍勢である。彼らの目的はただ1つ、異界の竜『七大罪龍(セブンズドラゴン)』を皆殺しにすることだ。



しばらくして門が見えて来た時、先頭の者が異変に気づいた。



下界に通じる門の前に何者かが立っていたからだ。



体格からして女性だとわかる。真っ白で豪華な装飾がある軍服ドレスを着ており、雪の様に白く長い髪を1つに括っている。ただ、その顔の目元は真っ黒な目隠しをしていた。



そして、背中には天人族と同じく地につくほど巨大な純白の翼が()()()()あり、頭には黒い光の輪とねじ曲がった角が生えており、腰からは茨の様な長い尾が生えていた。



「さぁ!やっと来ましたかウジ虫共ッ!どこを見渡しても白、白、白白白白白ッ!!目が疲れてしまいますわぁ!……………というわけで、少し彩りをくださいませ♪」



女はそういうと指を鳴らして背後に大量の古式長銃を出現させた。そして、



「ーーーー穿て(Tragen)!」



女の叫びにより放たれる鉛でできた凶弾の嵐。見た目重視の金の鎧を身に纏った天人族はなす術なく宙に赤い花々を咲かせていった。



「アッハハハハハハッ!!最ッ高ですわァ!!さぁさぁさぁ!!もっと、もっともっと(わたくし)を滾らせてくださいませぇ!!」



白一面の世界を鮮やかな赤で彩っていく女は高笑いを発しながら悠然と歩いている。そんな悪夢の様な戦場を悠然と飛んでいく戦士が1人。目指すは仲間を蹂躙した悪魔の元へ。



「死ねぇええええ!!!」



天人族の戦士は悪魔の胸に己が愛剣を突き立てる。それに続いて四方八方から戦士達が己が武器を悪魔に突き立てる。この場にいる者達は勝ったと思った。武器には悪しき者を滅する力が込められており、これで悪魔は死滅する…………筈だった。



「ーーーーはいぃ?貴方………一体何がしたいのですのぉ?」



『『ッ!?』』



悪魔は健在だった。しかも、刺されているにもかかわらず、痛がる素振りもなく血が出ていない。



「まったく、これだから下等生物は嫌いなのですよ………。貴方達如きの武器で(わたくし)達『七大罪龍(セブンズドラゴン)』を殺せるとも思いましたかぁ?それはとんだ喜劇でありますわねぇ?ーーーー『全員、動くな』」



悪魔がそう言うとその場にいる者全てが自分の意思とは関係無しに動けなくなった。同時に血の匂いが充満していた戦場に頭がクラクラする様な甘い匂いが漂って来た。



悪魔は自身に突き立てられている武器をひとつひとつ丁寧に取り除いていった。そして、完全に抜き去った悪魔の身体には傷口はおろか服の解れすら無かった。



(わたくし)に傷をつけたいのなら最低でも座天使クラスの武器を手にしなさい。もっともぉ?貴方達の創造主であるあの女では下から2番目の大天使クラスが限界でしょうけど、アハッ♪」



本来なら自分達の創造主を馬鹿にされたことで怒り狂うだろう。しかし、怒りよりも彼らは目の前の悪魔が恐ろしかった。



「…………さて、お遊びもここまでにしましょうか」



悪魔はそう言って翼の無い片方の背中から闇を切り取った様な漆黒の翼を出した。空から舞い落ちる黒と白の羽根がその悪魔を幻想的に彩った。



「自己紹介がまだでしたわねぇ?(わたくし)は『七大罪龍(セブンズドラゴン)』が1体、"色欲龍(ラスト)"ティアムンク・ヴァルプルギスナハトと申しますわ。以後お見知りを。それではごきげんよう(さようなら)♪ーーーー『裏返れ』」



悪魔……ティアムンクが自己紹介の後に冷たくそう告げるとその場に生き残っていた天人族は全て文字通り(・・・・)裏返った。



皮膚も肉も骨も内臓も全て裏返しになり、想像を絶する痛みにより全員死んだ。



「さてさて、ゴミは片付けましたし………。あとはお姉様への献上品ですわね!」



ティアムンクはそう言うと鼻歌を歌いながら神造国エアリアルへと向かった。

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