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転生した鏖殺姫は今日も仲間と共に楽しく暮らします  作者: 骸崎 ミウ
枯水墨の仙龍
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ルナティアの独占欲

そういえば………旦那の方からはまだだったと先日気づいてこの話にしました。



ちなみに前回の魔法設定は私の黒歴史ノート(精神ダメージ大)から命からがら引っ張り出してきたものです。








あーー、終わった。



講義が終わった後、私は学園内の学食で昼食を済ませてそのまま学園内の探索中である。理事長さんから自由に見て周っても構わないと言われたのでそうしている。



エンフィエル魔導学院のシステムは生徒が自ら学びたい魔法の講義を選んで出席するというもので単位が取れていれば、後は問題ないそうだ。



まぁ、別にそれはどうでもいい事だが。学園の方針に部外者の私がとやかく言うのも間違いだし。問題は………



「お嬢さん、この後お茶でも」



「行きません」



「一目惚れしました。是非お付き合いを」



「しません」



「俺はどこよりも財力があ」



「結構です」



……………とこんな感じだ。節操ないなぁ、おい。



精霊達の報告によると今私にナンパして来ているのは魔王軍の上層部の貴族の子息だ。おおかた、親に私たち『七大罪龍(セブンズドラゴン)』の誰かに取り入れとでも言われているのだろう。



私たちの扱いは魔王……つまりアリシアさんの直属の部下という扱いになっている。私たちはこの世界の基準からすると強すぎる上に利用価値があり過ぎるのだ。



戦闘能力や有している知識もそうだが、私たちの身体……厳密に言うと《龍化》した時に出る鱗や爪などはそんじょそこらの魔石よりも純度の高い魔力素材として使える。



加えて、アリシアさん曰く私たちは非常に顔立ちが良く、良物件だそうだ。



戦闘能力や知能に優れ肉体は魔力素材の宝庫、おまけに顔立ちがよく美しい。力が欲しい貴族たちにとって、私たちは喉から手が出るものらしい。



ただ、バルザックは小鈴さんと正式に婚約しているし、ナザールさんは騎士団の男衆から『姉御』と慕われており、手を出そうならば騎士団の男衆(ファンクラブ)に物理的に血祭りにあげられる。………当の本人は知らないが。



スルースちゃんは見た目は幼過ぎるし(本人に言えばブチ切れる)、ルナちゃんは魔王軍の中でも変わり者達が集う魔導具工房で毎日楽しくやっている。



そうすると私は基本的にアリシアさんの手伝いくらいで『七大罪龍(セブンズドラゴン)』の中では1番近寄りやすい物件というわけだ。



「貴方達の親に何言われているかは知りませんが、いい加減にしないと恐ろしい目に会いますよ?」



私は彼らの身を案じてそう忠告した。



「お、お待ちを……っ」



「少しだけでいいのでお話を……」



それでもしつこくやってくるお坊ちゃん達。



………………私は忠告したよ?



「おい、待てよッ」



私がのらりくらりと躱していることに剛を煮やした1人の男子生徒が私の腕を掴もうと手を伸ばした直後、地面から巨大なトラバサミが出現し、その男子生徒の腕を噛みちぎろうとした。



「な、なんだッ!?」



男子生徒は済んでのところで手を引く事ができ、腕は無事で済んだ。



そして、私の足元が黒い影の様なものに囲まれて、ズルリッ…と粘着質な音を響かせて何かが出てきた。



全身を濃密な闇で覆い、その表面に見覚えのある竜の骸を張り付けて、背中からは真っ黒な骨格のみを残した4対の翼脚に骨だけの長い尻尾。



それは誰にも渡したくない、心の底から大好きなルナちゃんだった。



ルナちゃんは足まである赤銅色のまだら模様のある絹の様に綺麗な銀髪が地面に着くのもお構いなしに身を低くして、尻尾と翼脚で私を守る様に囲っている。



そして、極力弱めているけれどはっきりと分かる《威圧》に放った後、足元の影から老若男女問わずの生きているのが不思議なくらいぐちゃぐちゃにされた苦痛に呻く人間達を見せつけた。



これはルナちゃんの《深淵魔法》と《精神魔法》の複合魔法で名前は『奈落の虫籠』。人間達は《精神魔法》で見せた実体を持つ幻覚で助けに来た者を引き摺り込んで殺すというルナちゃんらしい魔法だ。



【我の愛しき番である紅玉の龍精(リュウエン)を誑かそうとする者達は貴様らか?リュウエンは誰にも渡さぬ。我から番を取ろうというのであればこの影共と同じ末路を与えるぞ?】



ルナちゃんはどす黒い感情を隠そうともせず、私をナンパしてきた連中にそう脅した。すると連中は真っ青な顔をして逃げていった。



「ありがとうルナちゃん。お陰で助かったよ」



私はルナちゃんにお礼を言った。けれどもルナちゃんは逃げていった連中をじっと見ていた。



「………………ルナちゃん?どうしたっうわ!」



ルナちゃんの様子に訝しんでいるとルナちゃんは纏っていた闇と骸を消していつもの状態に戻ると私を自身の胸に抱き寄せた。



「………ル、ルナちゃん?」



私より少し低いルナちゃんの体温にゆったりとした鼓動、焼きたてのお菓子のような魅惑的な甘い香りと最近染み付いてきた鉄の焼ける匂いに私はドキドキしながらルナちゃんを見た。



「……………………」



ルナちゃんは抱き寄せた私を目端が下がった眠そうで十字の模様のある金眼に無言で捉えており、長い尻尾は私達の周りをゆらゆらと揺れながらゆっくりと巻き付いて、大きな黒い翼は私を包み込む様にしていた。



「ルナちゃん、どうしたの?黙ってちゃわからないよ?」



「…………………………」



私が聞いてもルナちゃんは無言を貫いていた。そして、ゆっくりとそして私が逃げ出さない様にしっかりと抱きしめて私の首筋に顔を埋めて、首筋へ優しくキスをした。



「……………これでわかったかの?これが答えじゃ」



そうルナちゃんに言われて私は顔から火が出そうになった。そして、同時にとても嬉しくなった。



首筋の意味は執着や所有欲、つまり強い独占欲を意味している。ルナちゃんは『お前は私のものだ』と言っているんだ。



そんなことをしなくても私はルナちゃんから逃げないのにと私は笑い、口へのキスでお返しをした。ルナちゃんは一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに目尻を緩ませて笑い、そのまま唇を合わせた。



何度か口をついばみ、その後に長い唇の押し付けが始まるのも時間の問題だった。



あぁ、これはダメな奴だ。



ルナちゃんへの愛が止まらない。可愛すぎて、愛おしすぎて、かっこよすぎて、それ以外のことはどうでもよくなっていく。



数分の後に唇が離され、その頃には互いに息を整えなきゃ話が出来なかった。



「………ルナちゃん」



「…なんじゃ?」



私が呼びかけるとルナちゃんは私を蕩かしてくれる様な甘い声で答えた。



「私ね、ルナちゃんのことが大好きなの。ずっとルナちゃんのそばにいたいの。なんなら部屋に閉じ込めて他人に視線を向けられない様にして永久にふたりっきりで過ごしたいの。浮気なんて許さないし、勝手にどこか行くのも許さない。もっと、もっと私のこと見て?私だけを見て?私だけ愛して?私だけにその甘い声を聞かせて?ねえお願い…」



理性のタガが外れて、私はもう、目の前のルナちゃんのこと以外考えられなくなって、私の全ての感情がルナちゃんを求めていた。



「もちろんじゃ。誓ったであろう?もうお前を1人にしない。お前に寂しい想いをさせない。ありのままの我を受け入れて愛してくれておるお前の全てを我は受け入れよう、最愛の妻であるリュウエンよ」



ルナちゃんの返事を聞いて私は暖かい幸福に包まれた。



大好きな香りに包まれて、大好きな腕に抱かれて、大好きな人と唾液を交換し合う口付けをする。それだけでも嬉しいのに、ルナちゃんは私が心から欲しい言葉を嘘偽りもなく心を込めて言ってくれる。



幸福のあまり私は涙が出そうになる。



「さて、帰るとしようか。愛しき妻よ」



「ーーーはい。旦那様♪」



私はルナちゃんに優しく抱かれながら帰宅した。







後日、アリシアさんにルナちゃんと揃って怒られた。………………なぜ。



百合って難しいですね………………




何故から知りませんが、私が書くとヤンデレっぽくなっちゃうんですよ。はい

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