怠惰の龍がやってきた……
気づいたらブクマ200を超えていた…………
〜sideアリシア〜
いつもの様に執務作業をしていたら、急に周りが真っ白になり、鼓膜が破れるじゃないかと思える程の爆音と衝撃波が来た。
「おーい、アリシア。無事かのぉ?」
突然の出来事に呆然としているとルナティアとリュウエンが入って来た。
「あ、あぁ、…………今のはナザールなのか?」
「そうじゃ。ナザールの奥義 《ラグナロク・ゼロ》じゃ。我の《ラグナロク》のオリジナルで世界を滅ぼしゆる一撃じゃ。今回のは1番威力を下げて一点集中のを放って様じゃがの」
「あれで1番弱いのかッ!?」
私が叫ぶと2人はそうだと言わんばかりに頷いた。
「おーい!大丈夫かや〜?あ、揃っておるわ」
次に来たのはバルザックと彼女に背負われた小鈴殿だった。
「ちょっとソファか貸してくれんか?小鈴がさっきので伸びてもうてな。ここが1番近かったから来たんや」
そう言われて彼女の後ろの小鈴殿を見てみると確かに青い顔してぐったりとしていた。
「あぁ、構わない。使ってくれ」
「おおきに」
そうしてバルザックは小鈴殿をソファに寝かせた。仲間内からは変態だのと言われているが、根はしっかりもので女性に優しい。ただ、よくセクハラをかます為、その度に小鈴殿に怒られている様だが。
「しっかし、ナザールは一体何やったんや?アレぶち込むなんて相当やで?」
「そうだよね………。ナザールさんが《ラグナロク・ゼロ》を放つなんて早々無いし」
「きっと、スルースが襲われておったんじゃないかの?人間に」
「「………………あぁーー」」
ルナティアの発言に何故か納得している2人。
「ーーーーーーなんの話をしているんだ?」
と突然響くナザールの声。部屋の入り口の方を見ると肩に剣を担いだナザールがいた。そしてその後ろには………………竹で作られた籠を背負った大きな白黒の熊がいた。
「お、帰って来たか。スルースはどうしたのじゃ?」
「…後ろにいる」
部屋に入ってきたナザールはそう言って後ろの白黒の熊を指差した。………………スルースというのは熊なのか?
「あ、天津だ!久しぶり!」
「お久しぶりですリュウエン様。この度はルナティア様との精霊の契りと世界を超えての再会、おめでとうございます」
可愛らしい見た目とは裏腹に随分と渋い声で白黒の熊……天津はそうリュウエンに挨拶した。
「それはどうもありがとう。それで……スルースは、貴方の背中に?」
「えぇ、そうであります。先程まで皆様が作っていただいた饅頭を食べた後、眠ってしまわれたのでこちらの籠に」
天津はそう言って静かに籠を下ろすと蓋を開けた。中には年端もいかない黒と白の髪の少女がすやすやと眠っていた。
「この子がそうなのか?」
「そうじゃ。此奴が"怠惰龍"スルース・アーチェじゃ。ちなみに幼子扱いするでないぞ?年は我とリュウエンと殆ど変わらんからな」
その言葉に私は声が出そうになったが、なんとか抑えた。何故なら目の前には強固な結界で守られていた筈の神山に楽々と侵入して麓の神聖国ナルアナシアを滅ぼした存在だ。起こされて不機嫌になったりしたらその国の二の舞だ。
「というか、あの剣幕の饅頭全部食ったかいな?」
「…私と天津も少し食べたが、9割はスルースだ」
「…………このちびの胃はブラックホールかいなッアブ」
バルザックが呆れながらそう言った時、彼女の顔に黒い液体が引っ掛けられた。
「…………ちび言うなバル」
そう不機嫌そうながすると籠からひょっこりと少女…スルースが顔を出した。
「お、起きたか。久しいのぉ、スルース」
「…るな姉久しぶり!りゅう姉も久しぶり!」
「久しぶりだねスルース。饅頭どうだった?」
「美味しかった〜!」
バルザックの時とは打って変わってルナティアとリュウエンにはほわほわとした笑顔を見せた。……………本当に同年代か?
「それで?そこの今にも過労死しそうな吸血鬼のお姉さんが魔王のアリシアさん?」
…………過労死。確かに死にそうなくらい疲れているが。
「ナザールから聞いていたのか……確かに私が魔王のアリシア・ブラッドエンフィだ。よろしく頼む」
「……"怠惰龍"スルース・アーチェ、仙人としての名は"墨蓮天峰真君"なり〜。よろしく〜アリシアさん」
スルースはそう言って腕まくりした後に私と握手をした。その手はインクの様に真っ黒でとても小さかった。
「おいスルース!急に墨引っ掛けるのやめや!目に入ったらどうすんや!」
とここで復活したバルザックがスルースに抗議した。
「もう復活したのかバル。お前、結婚したんだって?一体どんな惚れ薬使った?この性犯罪者」
スルースはゴミを見る様な目でバルザックにそう言った。心なしか声も冷たくなっている。
「なんで惚れ薬確定なんや!?使っておらんわ!ちゃんとした純愛物や!」
「なあ姉が言うには朝チュンされたって言ってたよ?」
「ナザァァールゥゥ!?ガキンチョに何話してるんやぁ!?」
スルースの言葉にバルザックは目を剥いてナザールに叫んだ。
「誰がガキンチョじゃゴラァ!!こちとらもう大人や!!」
対するスルースは小動物の様な可愛らしい顔をオーガの様な形相に歪めて長い髪を逆立て怒った。
「ハンッ!そのちんちくりんな体型のどこが大人や!大人ちゅうのはウチやナザールみたいなボッキュボンな奴のこというんや!」
「「「ーーーーーーーーあ゛ぁ゛?」」」
………………まずい。 バルザックの失言により残りな小柄な体型のルナティアとリュウエンがキレた。
「おいおいおい?随分と聞き捨てならんことを言ったなぁ?バルザックゥ?」
ルナティアは普段は畳んでいる背中の翼を広げ、金眼を爛々と輝かせながら歪んだ笑みを浮かべた。
「体型なんて種族様々じゃない?………その脂肪の塊、燃やしてあげるよ」
リュウエンは黒い笑みを浮かべ、全身を青白い業火を纏わせて、両手には金属でできた巨大な扇を2つ手にしていた。
「………………あ、やっべ」
そのあとのバルザックの行動は早かった。すぐさま窓から飛び出して逃走をした。
「待てやゴラァアアアアア!!!」
「解体すんぞゴラァアア!!」
「ーーーーーーーーッ!!!」
三者共々叫びを上げて逃げたバルザックを追いかけた。身体の一部が龍の姿となっていることからどれだけ怒っているのかがわかる。
「…………………街の被害は我々でなんとかしよう」
1人残ったナザールは申し訳無さそうにそう言ってくれた。
「……………すまない」
私はキリキリと痛む胃を摩りながら礼を言った。
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スルース・アーチェ
種族:仙天九龍
カルマ:セフィロス
職業:仙術道士
レベル:100
HP:14万
MP:9万
称号:神仙・調停の龍・神を堕した者・風の覇者・六道の踏破者・暴風を極めし者・殲滅者・墨蓮天峰真君・水墨画師・七つの大罪 《怠惰》
加護:邪神の加護・六道の加護
【固有スキル】
龍の霞体・天龍眼・龍滅魔法・仙術・魂魄魔法・龍化・神通力・転生術・風の愛子・怠惰の吐息
【スキル】
翻訳・アイテムボックス・体術・天歩縮地・水墨術・死霊術・道術・暴風魔法・気配遮断・危機察知・予測変換・並列思考・眷属召喚 ・薬剤調合・精神汚染完全耐性・状態異常完全耐性
頭部:『九頭龍輪』【並列起動】
胴体1:『六道仙着』【活力増強】・【破壊不能】
胴体2:『霧隠れの羽衣』【濃霧発生】
メイン武器:『仙龍髭・九の型』【常絵版画】・【破壊不能】
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