不安要素の早期除去
ギャグではないです
人間たちの海上拠点をバルザックが蹂躙してから早1週間。
………………そろそろ、人類崩壊するじゃないかなぁ?
そしてバルザックはアリシアに挨拶して早々ナンパを始めてナザールに鉄拳制裁を加えられている。ナザールとバルザックは現実だと同じ職場の同僚らしい。
そんなこんなで昼は仕事に勤しみ、夜はリュウエンと穏やかな夜を過ごしていたある日。
私はいつの間にかイスチーナ様がいる真っ白な空間にいた。しかし、そこで違和感を感じた。
「…………イスチーナ様?」
いつもならあの太々しい笑顔で颯爽と現れる筈が何故か来ない。
『あの邪神なら来ないわよ』
やけに耳に残る嫌な声に振り返ると人を見下した様な顔をした女がいた。
膝裏近くまで伸びた金髪、美しいは美しいが化粧の濃い顔、そして男ならば一目で虜にしてしまう様な体格。
「………お前がナシアナか」
『下等生物がッ!私を呼び捨てにするなッ!消えろッ!』
ナシアナは何故か怒りだし私に何かを放って来た。
「………《暴食の骸》」
私はそれを丸ごと喰べて消した。
『ぬうっ………おのれ、おのれえぇ!!』
ナシアナは顔を赤黒く染めてよくわからない何かを放ってくる。感覚からすると即死系の魔法だが、あいにく種族特性で私には通用しない。
『ハアッ…………………ハアッ………………』
他にも何かしてきた様だが全て効かず、ナシアナは肩で息をしていた。
「終わりか?なら、私から行くぞ」
私は愛剣『嘆きの翼』を手に取り、ナシアナの右腕を切り飛ばした。
『ぎゃあああああ!!??い、いた、痛いいいいいい!!』
ナシアナは聞くに耐えない叫び声をあげてのたうち回った。私はその切り落とした腕を手にして持ち上げる。不思議と重さはないが、なんというか………………美味しそうだ。
『お、おい、なにをしている。私の腕をかえッガフゥ!?』
なにか喚いているナシアナの頭を地面に叩きつける。少し骨が軋む様な音がした。
私はナシアナの腕を見せつける様にしてからかぶりついた。
グチャ、ガリッ、ゴリッ、……ゴヂュッ
わざと音を立てて汚く喰べる。どこかの本で目の前の獲物を絶望させるにはその獲物の体の一部か仲間を捕食するのがいいらしい。
現にナシアナは顔を青くしてガタガタ震えている。
「くひっ、きひっ、きひひひっ」
笑いが込み上げてくる。あぁ……体に、力が湧いてくるッ!全身に、力と快感が満ちていくッ!!
『や、やめろっ……、ひっ……こんな、嘘だ、私を喰う……つもりなのか!? あ、ああぁぁぁ、がっアアァァァァァァッ! いや、いやだっ、お願いします!やめてえええぇぇぇぇぇッ!』
泣き叫ぶナシアナを《暴食の骸》の形態変化により生じた触手と翼脚で拘束して無数の口で喰らいつく。
「きひ、きひひ、きひひひひ、あっははははははははァッ!」
真っ白な空間に私の笑い声と咀嚼音が響き渡った。
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〜sideイスチーナ〜
どうも〜。私は厄災と絶望を司る上級神イスチーナだよ☆まぁ、司る権能がアレだから邪神扱いなんだけど。
今日は後輩の天照ちゃんの救援を受けて世界渡りしてきたところ。
『いや〜、助かりましたよ〜。ありがとうございますイスチーナ先輩』
天照ちゃんはほわほわとした大和撫子でバルザックさんならル○ンダイブ決め込むだろうけど。
『気にしないでよ。元はといえば私の管轄の世界が原因だからさぁ』
そう、天照ちゃんの世界……ルナティアさん達の故郷が危なくなった原因は私の管轄下にある世界が勇者召喚を行ったのが原因。更に詳しく言うとナシアナのせい。
あいつ、他の世界で追放されて古い仲だから匿ったのに好き勝手やってあまつさえ天照ちゃんの管轄の世界に干渉して大勢拉致してきたし…………。
ナシアナは今回のことが原因で中級神から下級神へと降格して、更に閉鎖空間にて5万年幽閉されることになった。
『あ、天照ちゃん。今からお茶しない?最高神の爺からいいお菓子を貰ったからさ』
『あ、いただきます〜』
そうして私は自分の領域に繋がる道を開けて入ると…………
グチャ、ガリッ、グチャッ、……ゴヂュッ
黒い塊がいた。それは何かを喰べている様で咀嚼音が響いていた。
『『………………………』』
言葉を失う私たち。
「ーーーむ?おぉ!イスチーナ様か!どこに行っていたんですか?」
真っ黒な何かはずるりっと音を立てて私たちを見る。天照ちゃんなんて小さく悲鳴をあげて縮こまっちゃてるよ。
『え、えーと?ルナティアさん?』
「そうだ、この姿ですまんなぁ。ちょっとナシアナを喰っていたところで」
『ーーーーーーーーは?ナシアナを?』
「なんかナシアナに強制的に呼び出されて攻撃してきてな?ムカついたから喰っているんだ。まぁ、しかし喰っても喰っても再生するから、久しぶりに腹一杯喰えそうだから邪魔しないでくれ」
そうしてルナティアさんは真っ黒な何かに戻りグチャグチャと食事を再開した。その間、ナシアナと思しき呻き声が聞こえてきたが、自業自得である為、無視した。
こうして喰われ続けたナシアナは原型を留めずにズタボロになって、神の最低限の権限さえも失った




