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街の散策〜1

カタキムルバスに来国して次の日。私は街の散策をすることに致しました。



街は祭典が近いことから賑わっており、出店や出し物などの催しの準備が至る所で始まっており、既にいくつかの店舗では商売を始めております。



「〜〜♪」



私は鼻歌交じりで大通りを外れて裏路地へと向かいます。裏路地は薄暗く、怪しいお店などもありました。



元々私は街の賑やかな喧騒はあまり好きではありません。人が多ければそれだけ私の場合、神経を多く使いますから。



裏路地に入るとそこらかしこに視線を感じます。おそらく、裏路地に住む者達のものでしょう。この場合、今の私の様な者は彼らにとって格好の獲物である筈ですが襲ってくる気配はありません。



裏に住む者達は表の者に比べて危機察知能力が高いです。そうでなければ生き残れませんから。これはどの国でもどの時代でもどの世界でも変わりません。



今の私はシャツにズボンと非常にラフな格好でいつも着けている眼帯を外してお姉様謹製の魔眼封じの伊達眼鏡をかけておりますが、やはり彼らの勘が警報を鳴らしているのでしょう。見てくるだけで近づきもしません。



一応、裏路地にも露店は並んでいますがどこも怪しい雰囲気のお店で───



「………おや」



とここで1つの露店に目が行きました。



そこは何の変哲もないただの露店に見えますが、問題はその商品です。大小様々な瓶に満たされた赤く少し粘性のある液体。その瓶からは慣れ親しんだ香りが……



「血に興味があるかい?」



としばらく立ち止まって見ていたからか奥から店主らしき人物に声をかけられました。



「えぇ……、仕事や個人用に使いますので」



血液というのは様々な用途があります。



この世界において医学は治癒魔法がある為あまり発展していません。ですので輸血などでは使いません。使うとしたら呪術的な用途か一部の料理などで使います。



私の場合は血液から採取したDNAを元に培養を行なったり、純粋に私の発作を抑える為に使用します。



「なるほどねぇ………。お前さん、普段から人間の血を飲んでいるみたいだね。それも大量に」



「──それは匂いなどで得た情報で?」



「そうだよ。ウチら吸血鬼は血に関しては本能的に理解できるからね。お前さんは見た感じだと同族じゃないみたいだが………まぁ、あまり詮索はせんよ。ウチはまだ命が欲しいからね」



「それは懸命な判断ですわね。………しかし、この国の吸血鬼の民は殆ど人間に近くなっていると聞きましたが、まだ血の需要があるので?」



「……………それは表の世界に住んでいるもんの話さね。ウチら裏のもんだと逆に力が強くて、数日切らすと禁断症状がでて、まるで魔獣みたいになっちまうんだよ。ここいらは昔から吸血鬼としての悪い部分が吐き捨てられているからね」



と店主の女性は苦虫を噛み潰したような顔でそう言いました。



血の禁断症状。



それは『nightmare(ナイトメア) memory(メモリー)』でもあった要素で主に吸血鬼種をアバターとして選択していた者に必ず付与されるバットステータスです。



正式名称は『吸血衝動』でゲームだと一定時間血またはそれに準ずる物を摂取しないとステータスが著しく低下するものです。しかしこの世界だと敵味方関係なく襲い掛かる化け物になってしまう恐ろしいもの。



もちろんこれは血を摂取すれば治りますが、上位になるとそれだけ摂取しなければならない量が増えてしまいます。例えば私の子飼いの真相ノ血族(トゥルーヴァンパイヤ)は人1人分の血を1週間毎に摂取しなければいけません。



「吸血鬼の特性を失った高貴な血族の貴族は力を欲し、逆に生きる事に精一杯な日陰者はその力に苦しみ解放を望む………随分と皮肉なもので」



「まったくその通りさ。貴族連中はなんにも考えやしないよ。………さて、長話しちゃったねぇ。何か買うかい?」



とここで店主は話をひと段落区切り、商売人となりました。



「そうですねぇ…………この店で1番珍しいのは?」



「そうだねぇ………これなんてどうだい?」



と店主はそう言って店の奥から小瓶に入った血液を持って来ました。その小瓶は店で並べられている瓶よりも小さく少量しかありませんでした。



私はそれを《龍眼》で何の血か鑑定して────



「店主。これを言い値で買いましょう」



私は《アイテムボックス》から金の入った袋を出してそう店主に告げました。



「い、いいんかい?これ量も少ないし古いもんだけど」



「えぇ、問題ありません」



少し困惑した様子の店主からその小瓶を買って私は上機嫌に鼻歌でも歌いながら裏路地の散策を再開します。





「………まさかこんなところで手に入るなんて。やはり知らない土地の探索はやめられませんねぇ」



私は手の中にある()()()()()()()()()を弄びながらそう呟きました



少しばかり宣伝を



気休めに書きました。好評であるなら続くかもしれません。



『仙天狐の付き人〜傀儡使いの月梟が自らの居場を見つけるまで〜』

https://book1.adouzi.eu.org/n7873hl/


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