約束を果たす為に〜2
はやく、早く、速く。
何よりも速く、何よりも確実に、約束の為にッ!
もう二度、あの子を悲しませない為に、泣かせない為にッ!
私は龍の姿となって空を翔ける。目指すは天高く登る業火の柱で待つ寂しがり屋の姫の元だ。
***
世界最大の活火山、アストラス大火山。
標高7千メートル級の大火山で地下から絶えず湧き出る溶岩により年々姿を変えている。
その大火山の火口からは天を貫く紅蓮の火柱が立ち上っていた。その業火は空を大地を紅蓮に染め上げている。
その空を空間ごと削りながら突き進むのは血色の翼を持つ骸の鎧を纏った銀色の龍。
『ーーーーーーーーーーーーッ!!!!』
天を引き裂く様な絶叫に似た咆哮。それは何かを呼んでいるようにも聞いた。
『……………ーーーーーーーー』
その声に応えるものが1つ。ガラスを叩く様な軽く澄んだ声が火柱の中から響いてきた。
『ーーーーッ!!ーーーーーーーーッ!!!!』
その声を聞いて銀色の龍は更に速度を上げた。呼ぶ声に必死さが纏った。無事を確かめるかの様に、必死に叫んでいた。
そして、その声に応える様に火柱が変化した。
業火の火柱は球体になり、大きく花開く様に4対の朱色の羽の生えた翼の龍が現れた。
その龍は全身が燃え盛る焔の様な羽毛に鳥の様な相貌を持っていた。大きく開いた翼の端から炎に変わり、その龍から発した熱で山の周辺に残された木々が跡形もなく燃え尽きた。
『『ーーーーーーーー』』
銀色の龍は宙に留まり、緋色の龍を見つめた。緋色の龍も銀色の龍を静かに見つめていた。
『グルルルルッ……………』
銀色の龍は喉を鳴らして緋色の龍に擦り寄った。静かにゆっくりと近づいて、緋色の龍を傷つけない様に擦り寄った。
『クルルルッ、クルルッ!』
対する緋色の龍は嬉しそうに喉を鳴らして翼を小さく羽ばたかせた。
お互いを確かめる様に擦り寄るその様子は再会を喜ぶ恋人の様であった。
***
炎の柱に着いた私はリュウエンとようやく再会することができた。
『ルナちゃんッ!やっと会えたね!』
リュウエンは綺麗な声を響かせて羽ばたいた。その結果、辺り一面に熱風が巻き起こり融点の低い岩石が溶け始めた。
『リュウエン、嬉しいのはわかるが、少し抑えて欲しいのじゃ。山が溶けてしまうであろう』
『へ?あ、本当だ。ごめんごめん。ついつい……あはは』
私が注意するとリュウエンは翼を畳んで大人しくした。
『しかし、リュウエンよ。何故に龍化したのじゃ?火柱くらい、人型でも出せるであろ?』
リュウエンの種族は『煉獄精龍』というものでこれは私の種族『天魔邪龍』の炎特化バージョンだ。加えて職業は火属性を操るのに特化した『爆炎の賢者』である為、火柱くらいなら人型でも出せた筈である。
『えーと、それはね。早くルナちゃんに気づいて欲しくておっきな火柱を出そうと火力を上げる為に龍になったんだ』
リュウエンはそうはみかみ笑みを浮かべた。今人型なら鼻から幸福の印が出ていたことであろう。
『あぁ、もう!お前は愛いのぉ!何故にそんなに我の理性を削ってくるかのぉ♪』
『ふえぇ!?なになにどうしたのルナちゃん!?ふやぁあっ!?』
私はリュウエンに蛇の様に絡みついた。《火炎完全耐性》と《炎熱完全耐性》を取得した最大の理由は常時溶けた鉄レベルの熱を発しているリュウエンとイチャコラする為である。
ギルドからは『変態が成せる技だ』と言われたが気にすることではないッ!!
『ふむん?ここがええのか?ほれほれ〜♪』
『ふにゃ〜〜〜!!や、やめてよルナちゃん!くすぐったいよ〜……』
ちなみに私たちは現実で恋人同士でやるアレは致してない。精々、キスぐらいだ。理由としてはそういった行 為は結婚してからだと決めてあるからだ。
……おいそこ。なんか文句あるか?ア”ァ”?
とにかく私たちは"一応"健全に過ごしてきたわけですよはい。ま、まぁ、少し過激なスキンシップとはしたりしたけどね。
そうやって可愛く鳴くリュウエンとイチャコラしていると突然、私たちの近くで大爆発が起きた。
『な、なにごと!?』
『ふむ?なんじゃ?爆撃かの?』
私は《龍眼》を使って爆撃が飛んできた方を見てみた。
《龍眼》は千里眼と鑑定を併せ持つ代物で、この世界だとどんな物に速いものでも捉えることができる能力も追加されている。
《龍眼》で見えた光景は巨大な大砲を備えた人間の大国だった。ローブを着た者が多いことから魔導士の国だろうか?なんかわちゃわちゃと慌てた様子で私たちを指差して叫んでいる。
『…………何あれ?あの虫けらが邪魔してきたってわけ?』
おっと、リュウエンが不機嫌な声を出している。熱がさっきまでのほんわかした物からジリジリと焦がしていく少しやばいものになった。
『その様じゃな。して、リュウエンよ。ヌシは人間をどう思う?我は喋るだけの肉の塊にしか思えんが』
『気持ち悪くて目に入れるだけで吐き気がする汚物』
リュウエンは随分据わった目で普段のリュウエンなら考えられない汚い言葉をその鈴の音の様な声で言った。
『お、おう………。随分と苛烈じゃなぁ』
『当然じゃん。せっかくのルナちゃんとの再会を邪魔したんだよ?早くあのゴミ山燃やしに行こうよルナちゃん』
『わ、わかったのじゃ』
そうして私たちは名も知らぬ人間の国に向かって飛び立ち、1つの国を焼却処分した。
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リュウエン・フランメ
種族:煉獄龍精
カルマ:クリフォト
職業:爆炎の賢者
レベル:98
HP:6.4万
MP:20万
称号:背信者・堕ちた龍・聖火を喰らいし者・神殺し・煉獄・人類の絶望・爆炎を極めし者・魔を極めし者・七つの大罪 《嫉妬》・精霊に愛されし者・愛する心を持つ者
加護:邪神の加護・精霊龍の加護
【固有スキル】
龍の炎霊体・龍眼・精霊交流・火龍精魔法・龍化・詠唱破棄・術式簡略・術式解析・威圧・嫉妬の業火
【スキル】
翻訳・アイテムボックス・元素魔法・爆炎魔法・複合魔法・多重属性付与・聖杖術・料理・魔導具制作・眷属召喚 ・精神汚染完全耐性
頭部:『灼天龍の軍帽』【演算強化】・【破壊不能】
胴体1:『煉獄狼の軍服』【統括鼓舞】・【破壊不能】
胴体2:『天炎の羽衣』【纏炎】【破壊不能】
メイン武器:『焔昇天・鉄火扇』【プロメテウス】・【破壊不能】
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百合ってどう書けばいいんですかね?(唐突に)




