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幕間〜腹違いの妹を探して

申し訳ありません。



なにぶんリアルが忙しいのとネタ不足で投稿が不定期になります。



申し訳ありません





この国には連続殺人犯を特定や難解事件の解決のために発足した「方舟」という組織がある。



「方舟」は全国から様々な極秘調査や試験に合格した選りすぐりの人材が揃っており、日夜事件解決のために勤しんでいる。



そんなエリート揃いの組織だが………そのエリート達はかなりの癖者というのも有名な話である。




***



トン…………トン…………トン…………トン…………



公安局にある「方舟」司令室にて一定の間隔で何かを叩く様な音が聞こえる。



トン……トン……トン……トン……



その音の出どころは1人の女性職員からだ。



10人中9人は美人だと答えるであろう美貌を持ち、スラッとしたモデル体型と女性ならば誰もが1度は憧れるような美女だ。…………ただ、その双眸は鋭く氷の様に冷たく、加えて寝不足なのか目元に隈ができている為、非常に恐ろしいものになっている



トントントントントントントントン



その女性職員は先程から手にペンを持ってただデスクの上を叩いている。そのペースは徐々に上がっている。



トカカカカカカカカカカカカッッ



「うっさいわアホッ!!」



もはやミシンの様に高速で叩く様になった時、同僚の女性が彼女の頭をスパンッと引っ叩き止めた。



「………………何をする薫海(くるみ)



「何をするだって?さっきからトカカカットカカカッと!お前はキツツキか?!鈴奈ッ!!」



薫海と呼ばれた女性はそのデスクを叩いていた女性を鈴奈と呼び、怒鳴りつけた。



薫海と呼ばれた女性は少し小柄だが、出るところは出て引っ込んでいるところは引っ込んでいると抜群なスタイルであり、長い髪をひとつに纏めた容姿はどこか人懐っこい猫を彷彿とさせるものだった。



「…………あぁ。それはすまなかった」



と鈴奈はそう言ってペンを置いて項垂れた。



「お前なぁ………ここんとこ寝てないやろ」



「………………」



薫海の問いに鈴奈は無言で返した。それは肯定の意を得ていた。



鈴奈には1人の腹違いの妹がいる。



名前は『天野 澪』



彼女(鈴奈)の父親が浮気をしてその浮気相手との間にできた子供だ。鈴奈の相棒であり情報収集のスペシャリストの薫海の調査の結果、虐待や育児放棄が進んでおり、それが原因で彼女自身も精神に異常をきたし始めていた。



ちょうどその両親は別件で麻薬所持による罪により逮捕が決定されていた為、これを機に鈴奈は澪を保護しようとしていた。



自分の家庭が崩壊した原因の子を引き取るなど最初は彼女をよく知る者からは保護施設に送った方がいいと提案したが、彼女は「その子には罪は無い。むしろ被害者だ」と言って引き取る決意を示した。



そうして保護に向かったが……彼女、『天野 澪』は姿を消していた。両親に問い詰めても見ていないの一点張り。鈴奈はここ3日間、寝ずに澪を探していたのであった。



「………はぁ。お前さんがいなくなった妹ちゃんのこと心配してるのはわかるで?ただ、あんまり気詰めて会った時ぶっ倒れたら元もこうもないやろ?」



「…………わかってる」



「わかっちょるなら早よ寝ろや。こっちはただでさえ、『腑喰い(マンイーター)』の調査で大変なんやから。そこで現場派のお前がぶっ倒れたらさらに大変やで」



「………そうだな」



うんざりする様な薫海の言葉に鈴奈はそう相槌を打った。



腑喰い(マンイーター)』。それはここ1年の間で多くの犠牲者を出している殺人鬼の名前だ。



犠牲者のほとんどが腹を抉られ内臓などを捕食されたように無くなっていることからその名がついた。



標的となる人物はランダムで犯行時刻は決まって深夜の雨降りの日であり、その殺害方法は標的を罠などで死なない程度痛ぶりながら追い詰めてから腹を引き裂くという残忍極まりないもの。現在わかっているだけでも12人が犠牲となり、つい3日程前に13人目となる犠牲者が発見された。



「……『腑喰い(マンイーター)』は未だに決定的な証拠も残していなかったが、今回は見つかったのだろ?」



「せや。被害者とは別の血液反応が出たからな。確か今日結果が出る筈やで?」



と2人が会話している時、1人の男性が入ってきた。



その男性は大柄で着ているスーツが自身の筋肉でピチピチになっている程だ。加えて、容姿は無精髭に右目に眼帯、逆立つ様な茶髪によりかなり威圧感がある。



「ん?あ、組長。結果どうやったんで?」



薫海は入ってきた男性に気付き声をかけた。



「組長呼びはやめろ月島。………例の『腑喰い(マンイーター)』事件で発見された血痕の結果が来たぞ」



組長と呼ばれた男性は呆れながらもその手に持っていた資料を薫海に手渡した。



「おぉ!ありがとなぁ。どれどれ……………………なぁ樋口。コレほんまか?」



薫海はその資料を見て、その該当者の名前を見た途端表情を固くして組長……樋口に聞いた。



「…なんだ?何がわかったんだ?」



鈴奈も薫海の様子に疑問を抱き聞いた。そして、薫海から渡されたその血液検査の結果に目を通して…………



「ーーーーーーーは?」



鈴奈の頭の中は真っ白になった。



その血液検査の結果の名前には『天野 澪』と書かれていたのであったのだ。

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