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吸血鬼の国『カタキムルバス』

馬車に揺られ、もう少しで着きそうと思っていた頃、それは見えてきました。



木々を掻き分けて忽然と姿を表したとても大きな城壁はその国の歴史を物語っております。



「随分と歴史がある国なのですか?カタキムルバスという国は」



「ん?まぁ、そうだな。かなり古いとは聞いている。実際のところどれだけ古いかはわからないがな。何せ王城に残されている1番古い書物が800年くらい前の物だからな」



私の問いにアリシア様はなんでもない様に答えました。



「それは凄いですねぇ………」



そうして私たちが話している間に馬車は検問を済ませ、城壁内へと入っていきました。城壁内は19世紀末のヨーロッパの様な街並みで道には馬車や自動車が行き交い、街灯も備えていました。



人々の服装も19世紀あたりのヨーロッパでよく見るもので背中きら生えている多種多様な形の蝙蝠の翼が無ければ産業革命時のヨーロッパに見えてしまうほどです。



「発展しておりますね」



「確かにそうだな。私がいた時よりも発展している」



レトロな建物が立ち並ぶ道を通り、馬車は中央にある一際大きな建物へと辿り着きました。その建物はルーマニアにある別名ドラキュラ城として有名なブラン城を大きくして外壁を黒くした様な見た目をしておりました。



「あれが王城ですの?」



「あぁ、そうだ。あの城だけは建国当時からほとんど変わってないそうだ」



「………へぇ」



と、そこでちょうど馬車が止まり、ひとりでに扉が開きました。



「よし着いたな」



アリシア様はそう言って先に降りて、続いて私も降りました。



私達の到着を待っていた大勢の兵士達。そんな彼らの前にいるのはアリシア様の妹であるメアリーであります。



「おかえりなさいお姉様。そしてようこそ先生。我々一同、貴女方を歓迎致します」



とワインレッドが目立つドレスを身に纏ったメアリーがお手本の様に綺麗なカーテシーを決めて私たちに挨拶をしました。



「こうして迎えられるのは久しぶりだな。世話になるぞメアリー」



(わたくし)も招いてくださいましてありがとうございますフロイライン」



「えぇ、それではどうぞこちらへ。長旅でお疲れでしょうから今日はゆっくり休んでください」



そうして私たちは城へと向かい入れられました。

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