リュウエン、奮闘する
ようやく100話まで行きました。
〜sideリュウエン〜
ルナちゃんの様子がおかしい。なんだかぼんやりとしていて、何しても上の空だ。その様子は何処となく精神的に無理している時のルナちゃんに似ていた。
この前に思いっきり甘えさせたからまだまだ猶予はあるはずだけど、やっぱり男の身体ってキツいのかなぁ………
「ーーーというか訳でスルースちゃん。ルナちゃんとしっぽりイチャイチャハッスルする為に超強力な体力増強薬を処方して」
「りゅう姉…………遂に頭パーになったの?」
…………ひどい言われようだ。
ちなみに現在私はスルースちゃんの薬局(週に2日限定営業)にいる。
「そもそもなんでそんな考えに至ったの?」
「ルナちゃん、男としての生活が辛そうだから元に戻そうと考えた。すぐに戻る方法として私とルナちゃんでハッスルすれば良いけど、まず性欲爆上がりのルナちゃんの攻めに私が耐えれないと思うから体力増強薬でも頼ろうと思った」
普段のルナちゃんとのアレでさえ私は体力ギリギリだから今のルナちゃんとやったら間違いなく私がぶっ壊れる。翌日には腰がガクガクでまともに立ち上がる事すら出来ない状態となり、確実にベッドの住民となる。
「…………………まぁ、理由はわかったよ。でも、あんまり薬に頼るのはいけないよ」
スルースちゃんはそう言うも私に薬の入った紙袋を手渡してくれた。
「ありがとうスルースちゃん」
「いいよいいよ。というかそんな事ならバルのとこに行けば良かったんじゃない?あの変態なら持て余す性欲の発散方法とか知ってる筈だし」
「なるほど。じゃあ、聞いてみるよ」
そうして私はバルザックのいる場所へと向かった。
***
「という訳なんだけど。バルザック教えてくれない?」
「なんでウチの恥ずかしい事をここで言わなきゃいかんのや?アホかエロ鳥」
という訳で私はバルザックがいるタルザリア大使館に足を運んで小鈴さんといた彼女に聞いてみた。するとこんな返答をされた。
「貴女に言われたくないよ。最近小鈴さんのおかげでMに目覚めてるみたいだし」
「言うなぁあああッ!!!ウチだってわかってるやで!?」
バルザックは小鈴さんの"教育"でMに目覚め始めている。具体的にいうと縄で縛り上げられると若干頬を染めて嬉しそうにするとか、叩くと大きい音が鳴る鞭でペチンすると嬉しそうに反応するとか。
「というか、リュウちゃんがルナに対してナニばいいやろ。そうすれば解決や」
「いやまぁ、そうなんだけど…………………」
「なんや?なにか問題でもあるんか?」
「その…………やり方とか、知らないし………」
「……………あぁ、なるほど。リュウちゃん箱入りやったからなぁッ熱ッ!?」
バルザックに箱入りと言われてなんだかムカついたから燃やした。ちなみに私は性に関する教育は両親の教育方針からあまり受けなかった。"おしべとめしべ"のアレコレなんてルナちゃん達と交流をし始めて、はじめて知ったくらいだし。
「つまりリュウエン様は男女のアレコレの所作は知らないという訳でしょうか?」
とさっきから静かだった小鈴さんがそう聞いて来た。
「まぁ………恥ずかしながら」
「人は誰でも知らないことは知りませんからね。私はバル様が隠してたこの本を読んで学びました」
そう言って小鈴さんが出したのはバルザックが持っている物にしてはファンシーな絵柄のエロ本だった。
「おい小鈴。なんでそれ持ってるんや?それ見つからん様に匂い消して隠してた筈やで?」
「変に匂いが途切れている箇所がありましたのでそこを捜索したら発見しました。バル様は隠し方が下手なのです。ほら、他にも………」
と小鈴さんはもう何冊かエロ本を私に手渡して来た。
「どうぞ役立ててくださいリュウエン様」
「ありがとう小鈴さん!じゃあねぇ!」
「待て待て待て!ちょっと待てぇ!?リュウちゃんそれ返してぇえええ!?!?」
そうして私は小鈴さんから預かった教本を手に離宮の自室へと戻った。




