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転生した鏖殺姫は今日も仲間と共に楽しく暮らします  作者: 骸崎 ミウ
鏖殺の喰人姫
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プロローグ

新連載なり

nightmare(ナイトメア) memory(メモリー)』。



これは数あるVR MMO RPGの中でも異色を放つフルダイブ型ゲームだ。地球の3倍の広さのフィールドを探索するゲームで世界に4万人以上のプレイヤーが存在していた。



このゲームの1番の特徴は”何をしても自由"だ。



チートもハッキングも違法取引も全て合法とされており、VR MMO界隈では無法地帯と呼ばれていた。



それでもその圧倒的な自由度から大いに受ける事となり、今では絶大な人気を誇るゲームとなった。



天野 澪もそんな自由度に惹かれて『nightmare(ナイトメア) memory(メモリー)』を始めた1人だ。




***



私ーー天野 澪は他人から見下されるために生まれてきた生き物なんだと思う。



ボディーブローを食らわされたし、勝手にカバンを探られて財布を盗られたり、掃除の水を頭からかけられるのなんて日常茶飯事。最終的には殺された。



正確に言えば『私をいじめてたグループが起こした事故に巻き込まれて死んだ』だ。理科の授業中にそいつらが混ぜちゃいかん薬品を混ぜて即効性の猛毒ガスを発生させてクラス全員がお陀仏だ。



マジでふざけるな…………。



今までの人生、碌なことが無かった。



カースト上位の奴らにコケにされて、クラスメイトからも見下されている。陰気くさいだの気持ち悪いなどもう散々だ。教師も教師で無関心を貫いているし、家族に至っては論外だ。いや、ただ1人だけの姉は違ったか。



そんな私の心の支えは『nightmare(ナイトメア) memory(メモリー)』だ。



ダークファンタジーの世界観で完全にアウトサイドの無法地帯のゲームでは私は自分の内なる欲望を曝け出した。



私は主にプレイヤーキル(PK)を楽しんでいた。キャラのスキル構成と装備は人を痛めつけたりするのに特化したものだし、私自身もそういった技術を学んでいった。



楽しかった。人を痛めつけたりするのがこんなにも楽しいんだなんて思いもしなかった。ゲームだから死ぬ事なんてないからやりたい放題。



だから私は没頭した。バイト代を全部注ぎ込んで強化しまくっていたらいつのまにか私は多くのプレイヤーからこう呼ばれて恐れられるようになった。



ーーーーー『鏖殺の喰人姫』とーーーーー




***




『やぁ、はじめまして!僕の名前はイスチーナっていうんだ!司る権能は厄災と絶望だよ!宜しくね☆』



キラッと輝く様なケモミミ僕っ子の美少女が目の前にいた。なんだかイラッときた。



『そんなに怒らないでよ〜。今から大事な話があるからさ?』



大事な話?転生でもさせてくれるの?



『YES!君達の世界で流行りの『異世界転生』ってやつだよ?おめでとう!』



なるほど………。けど、転生しても面白くなさそうだけど?



『そう言うと思ったから君には転生特典として君の大好きなゲームの世界のキャラに転生させてあげる。もちろん、君を虫けら扱いしてたクラスメイトも同じ世界に転生しているよ?』



………………本当ッ!?私、鏖殺の喰人姫になれるのッ!?……………いや待て。何が望みなの?



『察しがいいねぇ。君には僕の眷属になって世界を好き勝手に暴れてもらいたいのさ。君達の転生先、つまりは僕の管轄世界は他のところから来た奴に支配されちゃってね。お陰で僕は邪神扱いだよ。君のクラスメイトは君を除いて引き抜かれちゃったから眷属が欲しいんだ』



そう言ってイスチーナ様はカラカラと笑った。



………わかった。好きにしていいなら眷属になるよ。



『本当!?ありがとう!僕の眷属になると悪属性の魔法の威力と効果上昇にステータスの大幅アップ、眷属同士の通信、1日に2回死んでも生き返る効果があるよ!』



ずいぶんと太っ腹だね。………私の他にイスチーナ様の眷属っているの?



『うん。魔王とか悪魔王とかね人間サイドから殲滅対象にされている者たちのボス枠はみんな僕の眷属さ。君が僕の管轄世界に降り立てば全員気づく筈だよ』



ふーん…………。まぁ、出会うかどうかはわからないけど、気に留めておくよ。



『それがいいかもね。さぁ、準備は整ったよ!』



イスチーナ様は仰々しく手を振りかざすと背後にどデカく豪華な扉が現れた。



それに入れば私はあの姿に転生するの?



『そうだよ。あのゲームの世界でやっていたことをいくらでもしてもいいし、平和に過ごしてくれても構わない。君は自由だからね』



…………自由。……わかった。ありがとうございました、イスチーナ様。



『いやいやお構いなく♪それでは良い来世を!』



そうして私は扉を潜り、その直後、私の意識は何かに吸い込まれるように途絶えた。



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