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最強な賢者様と私の話 Ⅱ  作者: 天城 在禾
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私が鍛える話 パート⑫

ちょっと早めに書けたので上げます!

個人的にシェリエ君はとても好きです…





シェリエが私のことを7強と親しくしているギルドメンバーだと紹介すると、教官は穏やかに微笑んで歓迎してくれた。

鬼教官と言われそうなムキムキで劇画タッチな見た目の人が教官なのかと思っていたが、この教官は柔らかな雰囲気を持ったおじさんだった。

もちろん騎士なので、ぱっと見ただけでは分からないが服の下には引き締まった筋肉がついている。


「キリヤさんは7強と親しくされているということは、ランクも高いのですか?」

「私はあまり依頼を受けることがないのでランクはDなんです。ですが、そこそこ戦えます。信用できないとは思いますが…」

「いえいえ。シェリエさんがお連れしてくださったんです。信頼できる方でなければ紹介なんてしないでしょう」

「そう言っていただけて助かります」


シェリエは簡単に私の紹介を済ませると、とっとと戻って行ってしまったので、私は教官と軽く世間話をしていた。

その間、騎士見習いたちはきちんと整列して待機している。


「皆さん、よく待機できていましたね。彼女はキリヤさんと言います。シェリエ第二部隊隊長の紹介で、今日の修練に協力して下さるそうです。失礼のないように」

「よろしくお願いします」


世間話が一段落したので、教官が騎士見習いに私を紹介した。

私は教官の横に立って軽く頭を下げる。

騎士見習いは綺麗に揃って敬礼した。

騎士の敬礼は右手を左胸に当てて軽く頭を下げるものだが、騎士見習いだとより頭を下げるらしい。


「さて。騎士たちと同じように一対一の対人戦をやろうかと思っていましたが…キリヤさんが来てくださいましたから、一対団体の対人戦を行いましょうか。よろしいですか?」

「はい。せっかくです、二組に分けて、片方は観戦してみるのはどうですか?」

「そうですね。最後に全員をお相手して頂くこともできますか?」

「はい。そのほうが勉強にもなるでしょうし…私は武器をどうしましょうか。両手剣やレイピアも扱えますが」

「でしたら…暗器も扱えますか?王宮に忍び込んだ暗殺者という設定で行きましょう」


…まぁ、その設定は一番私に合っているんだけどね…!

なんか複雑な気分だぞ!?


「シェリエさんが暗殺者の役をやるのが得意ですから。キリヤさんも同じようでよかったです」


…シェリエのせいかよ…


「魔術の使用は…今回は無しにしておきましょう。あぁ、キリヤさんは、です。それくらいキリヤさん側に枷がないと騎士見習いの皆さんに勝ち目がありませんから…」

「…」


否定できなかったので私は目を反らした。

騎士見習いたちは、教官何言ってんだ大丈夫か?みたいな反応だったが、誰もなにも言わなかった。






騎士見習いたちは、私が思っていた通りに分かれた。

伯爵子息とその取り巻きで5人組を作り、残った5人は平民と取り巻きに属さない者たちだ。

これで戦力が綺麗に配分されてれば私も文句は言わなかったんだけど、ゲームで言うところの戦士タイプと魔術師や盗賊などのタイプに分かれてしまっている。

私はそれを見た教官の反応を探るべく、教官を見た。

教官は苦笑していたかと思うと、私の視線に気づいてブラックな微笑みを浮かべた。

さすが若者を相手に教官やってるだけあるよ…

あれ、絶対に「ぶちのめしてくださいね」って言ってるよ…


「分かれましたか?さて、どちらから戦って貰いましょうか…」

「教官!私たちの班はいつも先攻させていただいてますから、今日はブラムたちの班からはどうでしょうか!」


例の伯爵子息が、挙手して教官に言った。

ブラム、というのはシェリエが気にしていた騎士見習いのことだ。

ブラム君たちの班から、伯爵子息に対する反論は出ない。

教官も特にダメだとは言わなかった。

私は教官から暗器…沢山のナイフとかクナイみたいなやつとかを貰った。


え?私が元々持ってるやつ?あ、使ってもいいんですか?

いやでも…これだけでも十分に足りそうですから…はい…


さて、ブラム君たちの班だが…

平民出身の騎士見習い二人とブラム君含めた貴族が三人。

仲が悪いわけではないようだが、かと言って良いわけでもなく、最年長らしいブラム君が指揮を取るようだ。

修練場の空いた広い場所の真ん中に私が立ち、5人がそれを包囲している。

5人は均等に距離を保ちながらじりじりと私へと迫ってくる。

私は、誰かが掛かってくるのを待った。

動いたのはブラム君だった。

私の背後に回っていた彼は、包囲網を崩さない程度に私へと攻撃を開始した。

また、合図を送っていたのか右斜め前方から氷の魔術も飛んで来た。

私はナイフを一本、魔術に向かって投げ、魔術と相殺させる。

そして、斬りかかってきたブラム君の剣を振り向かずに左手で持ったナイフで受け止め、空いた右手で新しいナイフをブラム君に投げた。

ブラム君はナイフを避けるために距離を取る。


…あっぶねぇ!左手で受け止めきれてよかった!あんな不利な体勢でよく受け止めた自分!えらい!


と、自画自賛しつつ、新たにかかってきた騎士見習いの剣を避ける。

彼らの戦い方は意外とよかった。

こういう時私を逃さないことが最重要であり、そのために彼らは包囲網を崩してはならない。

時間が経てば経つほど敵(この場合は私のことかな)は疲弊してくるし、他の騎士が助けに来ることもできるようになる。

ブラム君たちはちゃんと包囲網を崩さないよう、深追いせず、かと言って逃がさないようにしている。

普通ならこういう時イライラしてしまったりして誰かが包囲網を崩すんだが、今のところ彼らにその様子は見られない。

ほとんどの場合はこれで行けるだろう。


なんだ、みんな優秀なんじゃないか。


私は攻撃をいなしつつ、どうするか教官へ視線を向けた。

教官は、「ほどほどで倒していいですよ」というような視線をくれたので、ちょっとだけ遊んでから後はみんなさっさと倒すことになった。


さて、あの後私にあっさり倒されたブラム君たちは、肩で息をして修練場の端で休憩している。

お疲れ様…君たちはよくやったよ…

現に、教官はへばっている彼らに「侵入者への対応としてよく考えられていてよかったですよ」みたいな事を言って褒めていた。


そうなんだよ。私でさえなければ君たちなら侵入者を包囲できると思う。

…捕まえられるかと言われると微妙だけどね。


本来はこれを少ないときで2人、多いときでも10人程度で対応しなければならない。

侵入者が一人とは限らないので、下手すると侵入者3人に対して2人で対応する、とかしなきゃいけなくなるかもだけれども…

騎士って大変だね!

…と、次は伯爵子息の班だ。

彼らはさっきのを見てどうするんだろうか?





「…ダメだこれは…」


つい、口に出してしまうほどだった。

全っ然だめ!無理!意味わかんない!

なーんでそうなるの!

伯爵子息…えーっと、ヤンネだっけ?…ヤンネ君は、取り巻きを私の包囲に使ってことはよかったものの、その後自爆してくれた。

4人に私を囲ませ、ヤンネ君は私と一緒に彼らに囲まれている。

まぁ、別にそれはいいんだよ。

問題なのはヤンネ君自身が、私と一対一で戦いたいのかなんなのか、ずっと攻撃を仕掛けてくること。

しかもヤンネ君だけ。

おいおい!他の奴らは飾りなのか!?

あっ、今魔術でも攻撃でもなんでもしてくれたらそっちに意識が行って隙が出来たはずなのに!

ちょっ、なんでそこに突っ立ったままなの!?邪魔だし包囲網崩れるでしょ!?

…と、そんなことをやっているうちに、ヤンネ君の体力が無くなり、私はサクッとヤンネ君を倒した。

慌てた他の4人は、包囲を崩してしまい、私は面倒臭くなって彼らもさっさと倒してしまったのだった。








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