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お母さん、私のこと嫌いにならないで

作者: 織花かおり
掲載日:2020/04/05

子供にとってお母さんに嫌われるのは、とてもショッキングなことです。

お母さん、私のこと嫌いにならないで。


お母さんが悲しそうに言った。

「どうして、漢字のテストが100点だなんてうそをついたの?」


ゆりちゃんに、うそをついてごめんなさい。

私、いつも計算が100点満点でしょう。

そうしたら、ゆりちゃんが「漢字はいつも0点のくせに!」っていったの。

くやしくて、私、どうしても漢字が書けるようになりたかった。

だって、ゆりちゃんは漢字も計算も得意でしょう?

だから、うそついたの。

言葉にしたら、本当になるってお話をきいたから。

お母さん、ごめんね。

私、漢字もがんばるよ。

だから、嫌いにならないで。




お母さん、私のこと嫌いにならないで。


お母さんが寂しそうに言った。

「どうして、お友達となかよくできないの?」


みんな、『私のこと嫌い』っていうの。

私、「冬ちゃんは、太っているから足がおそいんだよ」って本当のことをいったの。

そうしたら、「あーちゃんは、そうやって私たちの気持ちをいつもキズツケル」って、女の子たちにいわれた。

じゃぁ、なんていえばよかったの?

どうしたらお友達になれるか、クラスの女の子たちはだれも教えてくれない。

お母さんに心配をかけてごめんなさい。

私、ぜったいよい子になる。

だから、嫌いにならないで。




お母さん、私のこと嫌いにならないで。


お母さんが、少し怒ったように言った。

「どうして、たく君をにらみつけるの?」


お母さん、私はにらみつけてなんかないよ。

たく君はやさしいからだい好きなだけ。

私が、消しゴムや教科書をわすれるたび、かしてくれるの。

うれしくて、となりの席のたく君をじっと見てしまうだけ。

でも、お母さんが「それは、たく君がいやな気持ちになるよ」って教えてくれたから、もうしないよ。

だから、嫌いにならないで。




お母さん、私のこと嫌いにならないで。


お母さんがしょんぼりして言った。

「お母さんの育て方が悪かったのかな。」



お母さん、お母さんは悪くないよ。

私が、みんなとちがうのが悪いの。

みんな、私のこと「へんな子」っていうもの。

私のせいで、お母さんがないちゃうのはいや。

悪い子でごめんなさい。

お母さん、わらって。

ね、おねがい。

どうすればよい子になれるかおしえて。

きっときっと、よい子になるから。

だから、嫌いにならないで。



お母さん、私のこと嫌いにならないで。


お母さんは、辛そうに言った。

「あーちゃんは、もしかしたら、今欠点が目立ってしまう時期なのかもしれないね。」


お母さん、私を生んだこと、いやになった?

私のこと嫌いになった?

欠点っていう言葉は、私分からないけれど、お母さんが元気なら私も元気だよ。

お母さんがわらってくれれば、私もわらえるよ。

お母さんが一番好き。

だから、嫌いにならないで。




お母さん、私のこと嫌いにならないで。


お母さんは、はっきり言った。

「私、この子のことを信じています。この子の可能性、長所を信じて伸ばしたいと思います」


先生の前で、お母さんなんていったの?

信じているって言った?

お母さん、私、うれしい。

お母さんが私を信じてくれるなら、私どんな時もがんばれる。




帰り道、お母さんが明るい声で言った。

「あーちゃん、きょうは先生に、お母さんの本当の気持ちをいったよ。」



私は、勇気をだしてきいてみた。

「お母さん、私のこと嫌いにならない?」

「嫌いになるわけがないでしょう。一番の宝物だよ」

「ほんとうに?こんなに悪い子なのに?」

「あーちゃんは、悪い子なんかじゃないよ」

「そうなの?」

「うん。これからお母さんとたくさんのことを勉強しよう」

「うん!あのね、お母さん」

「なあに?」

「私のこと。ぜったい嫌いにならない?」

「うん、しかるときはあるかもしれないけれど、本気で嫌いにはならないよ、ぜったい」

「ぜったい?ぜったい?」

「うん、ぜったい。ぜったい」




お母さんは、私のこと嫌いにならなかった。


お母さん、私ね、みんなが私のことを嫌いでもがんばれる。

それだけじゃないよ。

ゆりちゃんも冬ちゃんもクラスの女の子たちも、みんなみんな好きだよ。

なかよくなれるような気がするよ。

だってだって、だってね、お母さんが私のこと、好きなんだもん! 


「お母さん、私の良いところはどこだかわかる?」

「あーちゃんは、何が好き?」

「絵を描くこととピアノを弾くこと。でも下手だよ」

「そうか。でも、好きなまま一生懸命がんばれば上手になっていくよ」

「うん!」

「それとね、お母さんがあーちゃんの一番好きなところはね……」

「よいところじゃなくて?」

「うん。よいところでもあるけれど、好きなところ。それは、みんなと仲良くしたいって気持ちがちゃんとあること。お友達と仲良くできなくても、ちゃんと仲よくしたいって思えるところ。それは、とってもすごいことだよ」

「どうして?」

「人によっては、お友達に嫌われるといじけちゃったり、意地悪で返したりするけれど、あーちゃんは仲良くなりたいと思えるんだからすごいよ!」



お母さん、私ね、なんだか不思議な気持ち。

すごくワクワクして、走り出したい。

自分のことをかんがえると、うれしくなる。

今すぐだれかにあいさつしたい気持ち。


お母さん、私のこともっともっと好きになって!

お母さん、ありがとう!

私も自分のことをもっともっと好きになるよ!

だから、私をもっともっと好きになってね!


  おわり


かくいう私も欠点だらけの子供でした。

でも、家族が好きでいてくれたのは大きな支えでした。

特に、いつも苦労をかけてきた母に感謝しています。


最後まで読んでくださってありがとうございました。

感想などいただけましたら、嬉しいです。

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作成:コロン様
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[良い点] お母さんから嫌われているかもしれないと思う事は、子どもにとってうんとつらく、悲しい事ですよね。 それが原因で、心がすさんでしまう事もあります。 このお母さんは、ちゃんと言葉で、あーちゃ…
[良い点] 「本当のことなら何を言ってもいい、本当のことを言うことが正義」という小学生たくさんいると思います。それが分からない子は浮いてしまうんですよね。「あーちゃん」に共感して子供時代を思いだす大人…
[良い点] 誰かと仲良くなろうとするところが、良いところと、そう思える人でありたいなと、思いました。自分のことを嫌いにならない、そういう思いが、生きてゆくのには、大切な気がしました。 [一言] お母さ…
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