崖の上にある司令
初めはトイレを探しているだけだった。
トイレの夢はよく見る。多分明け方だから、本当にトイレに行きたいのだろうと思っていた。
だけど、今回見た夢は、トイレを探した後、なにかのゲームに参加させられていた。
そんな夢。
トイレは綺麗で、衛生的。数も多く並んでもいない。
列はスムーズに進み、程なくして外に出る。
出た場所は、クリーム色の通路だった気がする。
クリーム色通路のあるその建物の外に出ると、人の流れが出来ていた。
基本、方向音痴の私は、その人の流れに乗ることで帰られると信じている。
これは、現実でも同じような感覚なので、まったく違和感のない私。
列の先にあるのは、黒い岩の傾斜だった。
傾斜の横には階段もあって、それもクリーム色だった気がする。
だけど、その黒い岩の傾斜を登ることを選択した私は、そのまま傾斜を登っていくのだ。
少しロッククライミングのような、そんな岩に足を掛けて、どんどん登っていく。
なぜ登るのか。
たぶん、他にも登っている人がいたから。
登らなければならないと思ったから。
登ってみたくなったから。
そんな理由。
だけど、登ってみて驚いた。
登った後には『指令』のようなものがあって、それを熟さなければ悪いこと不運に見舞われるのだ。
すぐに出来る指令から、よく分からない指令まで。
私は、その指令を受けてなおざりにすることが出来なかった。
その不運が『死』も意味しているような気がして。
私が最後にもらった指令は、どこかのお店の揚げ物(なんだったかなぁ)を食べること。
そんなお店は知らないけれど、真っ暗な町に出て、細い路地道を歩き、橙の提灯を見つけて、お店を探す。多分、母に出会った。
「こんなお店知ってる?」
「知ってるよ」
私はその母から聞いた道順で、店を探しに再び歩く。
歩いている途中で目が覚めた。
店を見つけたのかどうか、それは分からず仕舞い。
そんな夢を見た。














