第90話 魔界に向かって旅立つ
前回までのあらすじ。エルフの国で神の魔晶石を魔人レイ達に奪われる。彼等は魔界で神の魔晶石を利用して、魔道砲を天界にいる天使達に向かって放つつもりなのだ……。
そして、それを阻止するべく、ソル達は魔界へ向かって旅立つのであった。
「……さて、では行くかの、ソル。いざ、魔界へと向かうのだ!」
バハムートはそう言って歩き出す。高らかに宣言した。
「ちょ、ちょっと! 待って! 待ってよ!」
「ん? なんだ?……小娘」
「自然に私を置いていこうとしないでよ……」
置いていかれそうになったクレアは嘆いた。
「ふむ……付いてくる気か? 小娘よ」
「当たり前じゃない。それとその、小娘ってのやめて。私にはクレアって名前があるんだから」
「……そうか。クレアよ。危険だぞ? 魔界はそなたの考えているよりもずっと。先ほどいたエルフの国なんかよりも、ずっと危険なのだ。なにせ敵である魔族の本拠地なのだからな。そなたはその事をわかってるのか?」
「わかってるわよ! そんな事……それにもう、今更降りれないじゃないの。今更私だけフレースヴェルグに帰るなんて、そんな事できるわけないじゃない!」
「……そうか。仕方ないの。自分の命だけは自分で守るのだぞ……それが戦場での鉄則だ。決して我やソルがそなたの命を助けてくれるとは思うなよ」
「わかってるわよ……そんな事。私だって、守られているだけのお姫様なんかじゃない。ちゃんと自分で闘えるもの……」
「だといいがの……では行くか。変身」
バハムートは小さな少女の姿から、突如として巨大な暗黒竜の姿になった。
『乗るがいい……二人とも』
ソルとクレアはバハムートの背に乗り込む。
「頼んだ……バハムート。俺達を魔界に運んでくれ」
『わかった! 行くぞ!』
暗黒竜に変身したバハムートは大空を翔る。その速度は瞬間的に音速すら超えてしまう程であった。
「きゃっ!」
クレアはソルにしがみつく。
「大丈夫か!? クレア」
「だ、大丈夫だよ……」
『ちっ……なにかにつけて発情しおって……この雌猫が……』
「し、してないって発情なんてっ!」
クレアは顔を真っ赤にして否定する。
◇
魔界が近づいてきた時の事だった。
『いかんな……降りるぞ』
「な、どうして?」
クレアは聞いた。
『これ以上近づく事はできん……どうやら魔界には結界が張られているようだ……これ以上近づいたら我が接近しているのがバレてしまう……我は自分で言うのもなんだが、この形態は大きくて見つけやすいのだ』
「それもまあ……そうね」
こんな大きな暗黒竜が近づいてきたら、視認ですら見つけるのは簡単な事であった。
そういうわけで、バハムートは降下していったのである。
そして……地表へと降り立ったのだ。
ネオページ向けに転載作業をしていたらカクヨムになろうに転載してない部分あったのでしておきます。続きは期待しないで待っててください。そういえばこの作品がBK小説大賞の一次通ってました。このまま受賞できればいいのですが祈るより他にありません。




