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第80話 エルフ城での出来事

 

 ソル達はエルフ城の中へと入っていった。衛兵に事情を説明すると、しばらく待たされる事になったが、程なく王室まで案内された。


 王室には三人のエルフがいた。玉座に座っているのがエルフの王であろう。王とは言っても見た目は若い。人間で言うところの20代にしか見えない。


 流石はエルフと言うべきか、まるで若々しい青年のようであった。


そしてその隣にいる美女が妃であろう。妃もまた若々しかった。隣に少女がいた。10代の半ばのように見えるエルフの少女。


 エレノアから聞いた限りは王女という事になる。隣にいる王女と妃とでは見た目からすれば親子ではなく姉妹のようにしか見えない。


 いかにも王女といった気品に満ち溢れた少女であった。


 エレノアがかしづく。それを見習って、ソルとクレアがかしづいた。


「ふん……」


 しかし、バハムートだけはその場の流れというものを理解していないようだった。腕を組み、偉そうにしていた。バハムートに礼儀というものを知れというのも無理な相談であったか。


「バハムート、俺達と同じようにするんだ。何を偉そうに踏ん反り返っている?」


「我は竜王だ。偉いのは当たり前であろう? なぜその我がエルフ如きにかしづかなければならない」


「いいから、頭を下げろ! それから膝をつけっ!」


「くっ! 仕方ないの……」


 バハムートは仕方なしに膝をついて頭を下げた。


「それで、その三名が我等エルフ国を訪れた人間達というわけか?」


 国王陛下が詰問してくる。


「はい……そうです。国王陛下。森で私はビッグ・ウルフから命を救われたのです。この方達は魔族とエルフ族の抗争を聞きつけて、エルフ国を訪れたのです。彼等は我々に協力してくれるとの事」


 エレノアはそう説明をする。


「いかがでしょうか? 国王陛下。私は彼等は信用できる方々だと思っております。是非協力して頂ければと」


「ふーむ……そうか。なぜ、我々エルフ族に協力して頂けるのだ? 確かに我等エルフ族は魔族と小競り合いになっている。そしてそれがゆくゆくは本格的な抗争へと突入していく事であろう。だが、それは人間からすれば対岸の火事のはずだ。なぜわざわざそんな危険に首を突っ込もうとする? 何が狙いなのだ?」


「魔族はエルフ族の領地にある神の魔晶石(ゴッドクリスタル)を取得し、魔道砲の動力源とするつもりなのです。そして天界にいる天使達を攻め滅ぼすと。その次は人間界に攻め込む事を明言していました。我々人間にとってももはや魔族の蛮行は他人事ではないのです。看過する事など出来ない。故にエルフ族に協力したいと思い、この場に馳せ参じた次第であります」


「そうか……そうだったのか。ふーむ」


「良いではないですか。お父様」


 エルフの王女がそう言った。


「ソフィア……」


 王女の名はソフィアと言うそうだった。


「我々エルフ族に協力して頂けるというのなら。それにエレノアの話を聞いた限り、ビッグ・ウルフを瞬く間に倒してしまったそうです。彼等はかなりの強者(つわもの)達です。何も我等エルフ族にとって損失などありません。良い事づくめではないですか」


「うーむ……それはそうだが、部外者を何の見返りもなく協力させるわけにもいかない。幾ばくかの報酬を支払わなければな……一体、いくら位を望むか?」


「いえ、我々はそんなお金の為なんかに動いているわけでは」


「何を言っている! 主人(マスター)! 我々はあの情報屋から情報を仕入れる為に資金の大半を失ってしまったのだぞ!」


 バハムートがソルに食って掛かる。


「ちなみに残りの半分のうち、大半のお金はあなたの食費に消えたわ」


 クレアは冷徹な目でバハムートを見やる。


 ギクッ! という音がしそうな程だった。バハムートは気まずそうに表情を歪める。


「それはその……仕方ないではないか! 腹が減っては戦ができぬのであるからっ!   それに我はその分の働きはしているであろうっ! なっ!?」


「それは否定できないけど……」


 クレアは口ごもる。


「わかりました。国王陛下、ご厚意に甘えさせていただければと思います。お役に立てた場合、無理のない範囲で報酬を頂ければと思います」


「うむ……わかった。褒美を考えておこう。それでは今後ともよろしく頼む」


「ええ。こちらこそ。よろしくお願いします。国王陛下」


「今日は夜ももう遅い。我がエルフ城に是非泊まっていってはくれないか?」


「ありがとうございます」


「エレノア、空き部屋に案内してやれ」


「はい。わかりました。国王陛下」


 こうしてソル達はエルフ城で一晩を過ごす事となった。


 ――だが、その後すぐに呑気に寝ていられない状況になった。魔族による抗争の火種はすぐそこまで迫っていたのである。


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