第18話 エメラルドドラゴンとの闘い上
ソルは続く、第八、第九階層もクリアした。『解析』スキルを習得したおかげで安定感が増していった。
ソルは第十階層へ挑むより前に自身のステータスとスキルを確認する。
【名 前】 ソル・ユグドラシル
【年 齢】 15歳
【固有スキル】 レベル0
※レベル0で固定される。経験値取得が意味をなさない。
【レベル】 0
【HP】 312
【MP】 310
【攻撃力】 305
【防御力】 311
【俊敏性】 303
【魔力】 300
【魔力防御力】 305
【運気】 304
【スキル】
技スキル
『回し斬り』『一刀両断』『魔法剣』
補助スキル
『ステータス変換』『鑑定』『錬成』『解析』『強化』
魔法スキル
『炎魔法』『氷結魔法』『雷魔法』『風魔法』『大地魔法』
ソルは第八、第九階層で得たSPを『ステータス変換』のスキルで満遍なく割り振った。
そして比較的隙のない万能型のステータスになってきた。
満を持してソルは第十階層へと向かう。
第十階層は特殊なステージであった。
平坦で遮蔽物のない、まるで闘技場のような空間だったからである。
今までいた階層はいり込んだ迷宮のような階層であった。
特殊な階層に感じた。やはり第十階層という事で、それなりの相手が出没するのであろう。
ソルはその事を察していた。そして緊張感を持った。心拍数が段々と上昇していくのを感じる。
第十階層の敵は一匹だけだった。だが、その一匹が問題であった。
相手はドラゴンであった。しかもただのドラゴンではない。
緑色の鉱石のような皮膚を持った見た事も聞いた事もないドラゴンだった。
そのドラゴンが第十階層の守護者というわけだった。
ドラゴンは侵入者を発見すると目を光らせ。
ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
地響きがする程の咆哮を放った。
凄まじい迫力だった。最初の頃のソルだったら足がすくみ上って動く事すら困難であっただろう。
だが、今までの経験がソルの心を強くしていった。数字にはならない、見えない成長だ。
ソルは冷静に『解析』のスキルを使用する。ソルを支えているのは経験だけではない。今まで培ってきたステータスとスキルという確かなものも、今のソルを支えているのだ。
「『解析』」
ソルは第十階層の守護者――緑色のドラゴンを解析した。
モンスター名『エメラルドドラゴン』LV60 HP1350
全身が硬質な鉱物で出来たドラゴン。通常のドラゴンのようにブレス類の攻撃はないが、防御力及び攻撃力が高く、非常に強力なモンスター。
弱点属性炎。
解析スキルを使用したソルは剣を構える。解析スキルを使用しただけではわからない事が無数にあった。
やはり実際に闘ってみなければわからない事、得られないものは沢山ある。
エメラルドドラゴンは硬そうな尻尾をぶん回して攻撃してきた。
ソルはクリスタルソードでその攻撃を受け止める。
キィン!
「うわっ!」
けたたましい音を立てる。相当に強烈な一撃にソルは吹き飛ばされた。
だが、ソルは何とか受け身を取る。
やはり強い。ステータスが上がったソルでも侮れない相手であった。
だが、ソルには秘策があった。つい最近覚えた技スキルを発動する絶好の機会であった。
「『魔法剣』」
ソルは『魔法剣』のスキルを発動させた。剣に付与する魔法は当然のように『炎魔法』であった。
ソルのクリスタルソードが熱を帯び、真っ赤になる。
「はああああああああああああああああああああああああああああああ!」
ソルは魔法剣による一撃を放つ。
エメラルドドラゴンの皮膚を焼き、そして斬り裂く。
グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
エメラルドドラゴンは悲鳴をあげた。大きくよろめく。
「やった!」
ソルはイケるという確信を持っていた。
――だが、その予想はすぐに裏切られる。
「な、なんだ?」
ある程度攻撃したところでエメラルドドラゴンの様子が変わった。
皮膚の色が変わったのである。緑色から青色に変わった。
ソルは特別その事を気にしなかった。ただ色が変わっただけだと思っていた。
だが、闘っていくうちに違和感に気づく。
先ほどと同じように攻撃をしているにも関わらず、効いている感じがしないのだ。
エメラルドドラゴンは平気になった様子で、反撃をしてくる。爪による一撃だ。
「くっ!」
ソルは飛びのき、その攻撃を回避する。
「な、なんだ……何があったんだ」
さっきまでの勢いはソルには既になかった。突然の状況の変化に、すっかり勢いを削がれてしまったのだ。
突然の窮地がソルに襲いかかってくる。




