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7ー7話 井上の相談と修学旅行

【読者さまのコメント】

高松、晏菜の行動に不信感を抱いたぞ!(汗)

さすがに今回のは怪しかったよね(汗)

悶々としていると、井上さんから連絡が!

高松は井上さんの相談を聞き入れ、フォローすることに。

修学旅行の班分けだけど、石森さん、謎(汗)

ネグリジェ……ごくり。

 俺はベッドに腰掛け、腕を組み考えた。

 なんで、あのタイミングで晏菜は俺の部屋にやってきたのであろうか。

 まるであの時の俺の部屋の状況を晏菜が察知し、夏村さんがweb会議ソフトを通じて俺の行動を見ていることをからかいにでも来たようなタイミングだった。

 大体、『衆議院の……』という訳の分からない質問をしに俺の部屋に来て、夏村さんを茶化した。

 また、その質問に対して、俺が回答を教えてもいないのに自分から部屋に戻っていった。

 元々、質問など無かったんじゃないかと俺は推測した。

 

 しかし、晏菜は厄介である。

 俺の周辺にいる女性の中で多分、一番胸がある。

 夏村さんに見つかってしまったが、あのエロ本のモデルのように、やはり俺も男の子、胸は大きい方が好きだ。

 よく懐かれる井上さんよりも確実に晏菜の方が胸はある。

 あのようなことをされてしまうと、兄とはいえ、目を閉じ、顔を別人に当てはめてしまうと、変に興奮して寝るに寝れなくなる。

 

 ちょっと気分を変えようと、テレビをつけ、NHKのニュース番組にチャンネルを合わせた。

 すると、昨日の湘南の海水浴場のシーンが出てきて、さらに落ち着かなくなる。


 俺はテレビを消して、二、三回深呼吸の後、夏村さんが送ってきたメールに添付されていた写真ファイルをコンピュータに転送した。

 そして、どの教科がどのくらいの偏差値で、どんな問題が間違えたのか、解析表を見ながら『夏村さんの成長記録』と俺が勝手に名付けたノートに記録を付けた。

 このノートには昨年の春、夏村さんと勉強を始めてからの全記録が収められていたのだ。

 

 相変わらずバランスのいい得点の取り方をしているが、数学が若干弱い。

 受験科目で考えると、数学は不要だが、経済を学ぶのであれば、ある程度の数学はできていた方が大学の授業も取っつきやすいと考え、もう少し点数を上げさせようと思った。

 あとは、俺には難易度は低いと思えた問題が出来ておらず、難しい問題で部分点を取っている。

 やはり夏期講習でレベルの高い問題での勉強をしたため、難しい問題も手が出るようになったのだが、容易な問題を取りこぼす傾向が見えるので、α会の芹沢先生からも言われた『取れる問題は確実に取る』勉強方法もマスターさせていかないといけないと思った。

 そして、受験前には偏差値は70近くあった方が良いと思い、計算をしてみたところ、何点足らないのかは芹沢先生に教わった統計学の理論で算出できた。

 あとはその点数までいかに成績を上げるべきか考えた。

 各受験科目ともに200点満点で18点以上の上乗せが必要である。

 今まで挙げた対策を含め『夏村さんの成長記録』へのメモは6ページを使うほど書き込みをしていた。

 

 そのノートを眺めながら、鼻と上唇の間でペンを挟んで悩んでいると、俺のスマホが鳴った。

 表示を見ると、井上さんからだった。

「あっ、高松です。井上さん、どうしたの?」

「かずくんから言われてからさあ、何日か考えたんだけど、やっぱ、かずくんに相談した方がいいかなと思って電話してみた」

「どうする。携帯でいい? それともweb会議にする?」

「じゃあ、web会議でお願いしようかな」

 と言うことで、俺は再度コンピュータのweb会議のソフトを立ち上げた。

 どうやら、井上さんもコンピュータからweb会議アプリを通じて会議に入ってきているようだった。

 ソフトの画面に『Inoueさん、待機中』と表示されたので、『入場を許可』をクリックした。

 画面が切り替わる際、最近よく見る暗い表情の井上さんが瞬間映し出されたが、すぐに笑顔になっていた。

「うわぁ、こんなデカく、かずくんの顔が見れるんだ。これから毎日web会議お願いしちゃおうかな」

「冗談はさておき、どうしたの? いつも元気な井上さんが考え込んでるから心配だったんだけど」

「う~ん、実はね、夏休みに模擬試験を受けたんですよ。そしたら、結果が来て、全志望校、合格率がやばくて」

 そういえば井上さんも大学受験希望だと聞いていた。

「ところで、志望校って聞いちゃっていい?」

「うん、いいよ。第一志望が筑波の体育系、第二志望が埼玉大学の教員養成学部、第三が日大の経済」

「なんか、志望校に一貫性がないようだけど?」

「いや、実は大学卒業したら体育の先生になりたかったんだ」

「日大は?」

「経済勉強しておけば、家継ぐ時にいいかなって」

「井上さんの家って兼業農家だったよね。経済の勉強って正直要るの?」

「いや~、ワンチャン大逆転もあるかな~って」

「なに、ワンチャンって?」

「もし、かずくんが夏村さんに大学受験後振られたら、私がかずくんの家、継ごうかなぁって……」

「ちょっと待って! 井上さん、俺が振られること想定してるの?」

「だってありえるんじゃない? あちらはお嬢様だよ。かずくんは何よ」

「花屋の息子です」

「だったら力不足で振られる可能性もあるじゃん」

「ご心配なく、俺と夏村さんは、強い絆で結ばれているのだよ」

「まぁ、そんなことはどうでもいいんだ。成績やばいから、かずくん、助けてよ!」

「(なんか有耶無耶(うやむや)にされた感じだけど)まぁ、夏休みお世話になったから、対策は練ってあげるよ。その対策で勉強してみて、わからないところがあったら聞いてくれても良いから」

「わかった、まずはどうしたらいい?」

「模擬試験の成績表を明日コピーしてくれるかな? それでその晩に作戦練るから」

「さすが、かずくんだわ。頼りになるね」

「褒めてもなにもあげないよ…… って、ちょっと、さっきからすごく気になっているのですが」

「何が」

「あのですね…… こんなこと聞いていいのかわからないのですが…… 井上さん、T シャツの下ってもしかしてノーブラ?」

「さすが、スケベかずくん、すぐわかっちゃったね」

「当たり前でしょ! 井上さんが体動かすと(胸のぽっちが……)なんかいつもより大きく動くなと思って……」

 と俺が言うと、井上さんは自分の胸元を見た。

「そんなにしょっちゅう私の胸、観察してるんだ。きゃー、狙われてる! とはいえ、そっちでは、胸のぽっちは見えるけど、透けてないよね。これはお礼。成績上がったら、胸触らせてあげる」

「要らないから」

「じゃあ、明日成績表のコピーもって行くね!」

 と井上さんが言っていると、どうもコンピュータを見ていたのが井上さんの部屋ではなく、居間だったらしく、画面横から、井上さんのお姉さんである恵さんがネグリジェ姿で井上さんの後ろを通った。

「琴絵ちゃん、誰と話ししてるの? あっ! 和也君だ。お久しぶり!」

「あっ! お久しぶりです。てか、お姉さん、その姿は高校生には目の毒です」

「なんだ、和也君、意識しちゃった? お姉さんが色々教えてあげるからうちにいらっしゃい」

「こわいので、もう絶対に行きません」

「ねえさん、彼氏いた経験ないのに、何教えられるのよ。そんなに色気無いから二十歳過ぎても処女なんだよ」

「琴絵、そんなことバラさないの。ところで琴絵はどうなのよ」

「すみませ~ん。もう切ります」

「寝る前にかずくん思い出しながら……(ブツ!)」

 強制終了したため、井上さんの言葉の続きを勝手に想像してしまう。

 しかし、この姉妹には困ったものだ。

 恵さん! 俺の清い初恋の思い出を返してください。


 ◇◇ 九月十一日 ◇◇


 この日の朝のショートホームルームで、今月二十五日から二十七日まで行われる修学旅行の班決めを行った。

 このときに初めて修学旅行は三日間とも京都に行くことが発表になった。

 班は男子班、女子班と別れ、五名ずつで一班となった。

 たぶん、ホテルの旅館の部屋の定員が五名であるためであろう。


 先生から、班を作れと言われると、教室内の全生徒は席を立つ。

 いつも一緒にいる仲間が五名に近い数のチームは良いが、少数派は別れて多数派の班に入ることを強制される。

 俺は勉強仲間の坂本、佐々木、鵜坂、牧野とで早々に五名確定した。


 俺の近辺の女子勢はというと、勉強仲間の多江ちゃん、さくらちゃんが組み、多江ちゃんが夏村さんに声をかけ、三名は確定。

 多江ちゃんと夏村さんが組むとなると自然に対抗意識のある井上さんが入り、四人目が決定。

 このメンバーだと俺との絡みが発生すると想定したのであろう、緒方那奈が加わり、五人目が決定した。

 これで俺と夏村さんのグループは完成と思っていたところ、教室の前の方から石森さんがやってきて、

「ここ、高松くんの追っかけ集団みたいだから、私も入っていい?」

 と尋ねた。言葉的には私も俺の追っかけだから入りたいとも取れるのだが、彼女の真意はわからない。

 六人になってしまいどうしようとなった時、さくらちゃんが、石森さんの言葉に反応し、

「私はかずくんのおっかけじゃないよ!」

 と不満を言いだし、別のところに行くと班から離れてしまい、五名に決定してしてしまった。

 なんか嫌な仲間割れのようになってしまったのだが、言い出しっぺの石森さんが、

「高松君のおっかけグループなんだからこの方が収まりいいよね」

 の一言で女子メンバーは納得し、このメンバーで決着した。


 俺は端で見ていて嫌な班ができあがったなあと思ったが、石森さんが自発的にこの班に入ってきた理由がわからなかった。

 理由を直接聞くこともできず、このくせ者集団の中で彼女の持つ異質な雰囲気が少しでも変わってくれればと俺は思った。


 日程はどうやら、旅行会社のJTVに丸投げの様子で、旅行会社が立てたスケジュールで観光地を回る旅になっていた。

 修学旅行ではよくある、自由行動の予定はなく、最終日の太秦の東映映画村での時間だけが唯一の自由時間になった。

 その他の時間は男女一班ずつで各班時間差で各観光地を回るようだ。

 後日、ガイドさんから聞いた話では、海外観光客の積極的な受け入れで、各観光地が混雑しているため、各班に自由活動をさせると予定通りに回れない恐れがあるためだと言っていた。

 自由行動で夏村さんと一対一というのも期待したのだが、くせ者たちが俺たちの周りを取り囲んでいる訳で、残念だが今回はこの方がよいと思った。

 このメンバーだと俺対女子メンバーの構図になるので、残りの男子メンバーは面白くないのではないかと心配していたのだが、修学旅行から帰ってきて、彼らから聞いたところ、お前と一緒なら女子達と何か起こしそうだと思って結構楽しめたとのことだった。

 それを聞いた時、何か起こること前提だったのかよと、心配した自分が馬鹿を見たと思った。


 その日の昼休み、俺は久しぶりに池田のクラスに行ってみた。

 もう、さよりの一件は終了したのと、あの階段を通ることに気が引けたのでなかなか行く気にならなかったのだが、いざ行ってみると以前のように顔見知りの後輩達が集まってくれた。

 その中には、吉川さよりの姿もあった。

 今日の話は林間学校の話で今年は今月の二十、二十一日であり、後輩達から去年の林間学校はどうであったのかという質問が多かったため、思い出話をしてやった。

 飯ごう炊さん、肝試し、キャンプファイヤー、自由研究での出来事を語っていった。

 すべての出来事に夏村さんは絡んでいたのだが、それを省いて説明するのは骨が折れた。

 省いたピースを埋めながら話を進めることは、夏村さんの存在があまりにも大きかったため、話につじつまを合わせるのが大変だったのだ。

 それだけ、あの林間学校の出来事にいかに夏村さんが多く絡んでいたのかということだ。

 すると、ある女子生徒が俺にこう聞いた。

「先輩、このときは夏村先輩とはお付き合いしていたんですか?」

 直球で攻めてきやがったなあと思ったが嘘もつけず、

「お付き合いしておりました」

 というと、女子生徒たちは、

「その辺、詳しく!」

 と詰め寄られた。

 なんか夏村さんって後輩女子からは宝塚の男型のトップスターのような扱いなんですよね。

 

 一通り、話も終わり、観衆達が去った後、さよりが一人残っていた。

「さより、どうした? 班組んでもらえたか?」

「もちろんですよ。心配しないでください。そういえばうちのクラス、池田君が林間学校の実行委員やってますよ」

「そうか、みんなの役に立つことをするのはいいことだ。がんばれって言っておいてくれ」

「わかりました」

「学園祭準備が本格的になるのは十月になってからだけど、今回、合唱はコンクール形式、模擬店は人気投票になったことをアピールして、みんなががんばるように実行委員として引っ張って行けよ」

「わかりました」

「あとは、林間学校、楽しんでこいよな!」

「わかりました」

「お前、わかりましたしか言ってないぞ」

「じゃあ、林間学校、かずさんと一緒に行きたかったです! なんちゃって!」

 舌をぺろっと出し、手を振って教室に戻っていく、さよりであった。

 順調、順調と思いながら俺は自分の教室に向かった。


 教室に戻り、席につくと、井上さんが紙を数枚クリアフォルダーに入れ、手渡ししてきた。

「かずくん、約束の品、持ってきたから。姉さんのネグリジェ姿の写真と私のスケスケ写真集」

「ちがうでしょ! じゃあ、帰ってから見せて貰いますので」

「よろしく。早めに準備始めたいので」

「井上さんも部活しながらで大変だよね」

「まあ、姉さんが大学いかないであの調子だから、妹としてはああなりたくないので、大学を目指すってことですよ」

「感心です。少しでもお役に立てれば本望です」

 と言いながら、クリアフォルダーをバッグにしまおうとした俺の腕を、隣にいた夏村さんがつかんだ。

「お前、今、井上から何もらった?」

「いや、模擬試験の成績表の写しをもらって、勉強方法を検討してあげようと思いまして……」

 と言っているそばから、那奈は、

「井上さんのお姉さんのネグリジェ姿の写真と井上さんのスケスケ姿の写真集らしいよ」

 と夏村さんに言った。

「お前、井上だけじゃなくて、お姉さんにも手を出そうとしているのか」

「実は姉さんはかずくんの初恋の片思いの人でして……」

 と言わなくていいことを井上さんは言った。

 俺はすぐさま、夏村さんに経緯を説明すると、

「わかった。web会議、おれとかずや、それと井上でやるぞ! 監視が必要だ、こいつらは」

「へいへい……」

 これから、web会議の度ごとに場が荒れそうだと俺は思った。

当作品をここまで読んで頂き、ありがとうございます。

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編集記録

2022/12/03 班を6名から5名にしないと5名×6班で30名クラスにならないことに気づいたため修正

2023/02/06 一部改稿

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