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7ー2話 委員選びから二学期が始まる

【読者さまのコメント】

高松がバスに乗ると、そこに夏村さんが!

さすがだよ〜! 夏村さんがいれば、今後も安心だ!

そして近づく学園祭!

去年は大変だったなぁ……。

高松は夏村さんと生徒会に行き、上郷地先輩からまさかの提案が!!!

これは、頑張らねば!!!

 ◇◇ 九月三日 ◇◇

 

 今朝は、天気予報がピタリと当たり雨が降っており、一日中雨は止みそうになかった。

 さすがにずぶ濡れになってまで周回を走る気も無かったので、いつもよりちょっと遅めのバスに乗り込んだ。

 晴れていれば駅から歩いて十数分で市役所に着くため、徒歩で向かう人も、雨の日は濡れるのが嫌なのであろう。

 バスを使う場合が多いので、幾分バスの中は混んでいた。

 浦和のバスは後ろから車内に乗り込むため、バスのドアが開き、傘を閉じ、ドアの反対方向に移動すると、

「おはよう」

 と誰かから声をかけられた。

 夏休みに身についた条件反射か、井上さんかと思い、ドキッとしたが、声の主は目の前の一人席に座った夏村さんだった。

「おはようございます」

「予想が当たって良かった。基礎英語聞いて、食事して、この雨だとこの時間だと思ったよ」

「見事な推理で」

「ところで、左腕の調子は?」

「雨降ると、やはり痛みますね。これは神経断裂より、骨の傷だと思うんですけど」

「なんか違うんか?」

「神経の痛みはモヤモヤしたものなんですけど、骨は結構しっかりと痛みますね」

「そうか…… 辛いよな。じゃあ、バック持ってやるよ」

「ありがとうございます」


 混雑したバス車内は左右に揺れると他のお客さんが手に持った傘が当たり、制服を濡らす。

 湿度のせいで、普段は気持ち悪く感じないのだが、こんな日はちょっと迷惑に感じた。


 市役所そばの『六間道路』という停留所を過ぎるとラッキーなことに夏村さんの席の前が空いた。

 俺はそこに座り、夏村さんからバッグを受け取った。

 すると、夏村さんは前に座った俺の肩に手を置き、もみ始めた。

「お疲れさんだったな、夏休み。結局、お前、怪我しているのにみんなの面倒見てたもんな」

「そんなことないですよ。あれはあれで楽しかったですしね」

「でも、もっと二人でいっしょにいろんなとこ行きたかったな」

「合格できればどこへでも行けるますよ。僕はそれを楽しみにしてます」

「そうだな、卒業すれば、年齢的にもやりたい放題だからな」

「なにをしたいの?」

「そりゃ、かずやにずっと、甘えてみたい(他のことだけど……)な、とか」

「その時は喜んで。楽しみにしてます」


 学校、到着。

 夏村さんとともに二学期の登校初日、クラス一番の到着! と思いきや、クラスの窓はすでに開けられ、誰か来ている様子だった。

 となると、部活のある井上さんかと俺は思った。

「おはようございます!」

 と言って教室に入ると、そこには井上さんではなく、多江ちゃんがいた。

「おはよう、早く来ちゃった。私も早朝勉強会、混ぜて貰おうかなと思って…… だめかな?」

 俺と夏村さんはお互い、顔を見合って笑いながら、

「歓迎します!」

 と声を合わせて言った。


 始業式は体育館で……。

 始業式が始まる前の体育館では、俺に対して怪我は大丈夫かと尋ねてくる先輩、同級生、後輩が多いこと……

 個々に話していると時間ばかりかかってしまうので、ある程度人数が集まったらまとめて対応するようにした。

 一方、夏村さんはというと、俺との交際がバレてしまったことから、後輩の女子から、なぜかと責められていた。

『なぜ、あんなのがいいのか』と……

 余計なお世話である。


 池田たちは、ある程度、俺の周りに人がいなくなってからやってきた。

 二学期もまた教室前に遊びに来てくれるのかと尋ねられたので、まさか吉川さよりの問題が解消したので行くことは無いとは言えず、また、夏村さんファンの女の子の目が怖いので、頻繁には行けないと言い訳をした。

 しかし彼らは、彼らなりに俺が一学期の間に奴らに話した内容を夏休み中に反芻し、勉強になったので、続けて欲しいと言われた。

「しょうがねぇなあ、じゃあ、怖いけど、行きますか!」

 の一声で継続が決まってしまった。

 夏村さんの方向を見ると、その目は行ってやれと言っていたので安心した。


 始業式が終了し、教室に戻ろうとしたところ、後ろから俺を呼び止める声がした。

「かずさん!」

 俺は振り返ると、そこにはさよりとさよりの同級生数名が一緒に居た。

「おう、さより、どうした」

「かずさん、彼女達、この学校で初めてできた友達です。仲良くしてもらっています。夏休み前にかずさんに言われたとおりにがんばっています」

「お前、バカか! 俺の言うとおりにはやるな! まず、自分で考えて行動しろ! でもよかったな、さより」

「はい、なんか九月の末に林間学校があるんで、一緒のグループになろうねって話もしてます」

「林間学校か…… 夜にキャンプファイヤーがあって、その時男の子達とフォークダンスあるからな! 楽しみにしとけよ!」

 と両手を腰に当て、腰をかがめて彼女たちを見回しながら言うと、一緒にいた子達はキャーと喜んでいた。

「(私、かずさんと踊りたかったな…… でも、)楽しんできます!」

「おう! 肝試しもあるぞ! 先生が脅かし役だから安全だけどな」

「楽しみにしてます。じゃあ、また!」

 楽しそうに仲間と話しながら歩いて行く、さより。

 これが彼女が本来送るべき高校生活の姿だよなと俺は思った。


 教室に戻ると、すでに井上さんが席に着いていた。

 登校してもいつものように俺をからかってこなかったし、体育館でも隣同士だったが、何も話しかけてこなかったのだ。

 いつもの井上さんらしくないと思い、こちらから話かけてみようと思った。

「井上さん、どうしたの?」

「んん、色々とね…… こんな女子でも時には考えこむことがあるのだよ」

「珍しすぎて、怖いんだけど。話でも聞いたら気が紛れる?」

「うれしいけど、今日は止めておくよ。ちょっと、自分で考えるべき問題だから……」

 よっぽどの内容なんだろうと思い、これ以上、井上さんに関わるのは今日は止めておこうと思った。

 席に座って夏村さんを見るとどうやら夏村さんも俺と同じ考えらしく、頭をかしげていた。


 ※※※※


 授業も終わり、例のごとく俺と夏村さんは生徒会室に向かった。

 二学期、始まって最初ということもあり、羽田さん、曽根さん、川尻さん、内田さんの四人娘も一緒に生徒会室に向かうことになった。

「夏休み、なつさん。かずさんとデートしまくりでしたか?」

 という羽田さんの質問に俺と夏村さんは表情を曇らせ、夏村さんが回答した。

「ほぼ毎日会っていたが、デートは数回かな?」

「毎日会っていたんですか? もう夫婦ですね」

「同じクラスの小倉さんも一緒だよ」

「小倉さんも一緒に3Pっすか?」

 お前らの頭の中はエッチなワードしかないのかと笑いそうになったが夏村さんは、

「デートはできなかったけど内容は濃い夏休みだったな。ところで今出てきた『3P』ってなんだ?」

 と真面目な顔で質問したため、俺と四人娘は大爆笑した。


 生徒会室に着く。

「高松、夏村、羽田、曽根、川尻、内田入ります」

 と言い、生徒会室に入る。

 同じクラスにもかかわらず河野は密かに俺たちよりも先に部屋に来ていた。

 すると真っ先に上郷地先輩が声をかけてきた。

「ひさしぶりだな、みんな! 元気にしていたか?!」

「はい、元気にしていました」

 と夏村さんは上郷地先輩に報告した。

「特に、高松。学期末あんなことになったけど、大丈夫か?」

 心配そうな顔をして小鳥遊(たかなし)先輩は俺の顔をのぞき込んでいたが、

「後遺症は残っちゃったんですが、命には別状有りません」

 と俺が回答すると、

「死んでたら夏村が生徒会室に来るとは思えないもんな」

 とからかった。


 みんながいつもの席に付くと上郷地先輩は、いつもの口調でこう言い出した。

「さて早速なんだが、明日はロングホームルームの時間に二学期行われる行事の委員を決める流れになると思うが、生徒会としてお願いしたいことがある。昨年の学園祭の実行委員長は私がやったが、今年の実行委員長は高松にやってほしい」

「えっ! 俺っすか?!」

「君は昨年も学園祭に関わってくれているし、運営方法も知っていると思う。それと昨年の行動から元ヤンキー、旧中間層からも評判がいい。よって実行委員長としてうまくまとめてくれ。それと、羽田、曽根、川尻、内田の四人も去年の実績があるので高松をヘルプしてやってくれ。また今回から生徒会もできたので、実行委員会のサポートに生徒会が入って欲しい。その代表を夏村にお願いしたい。この件は小鳥遊と事前に話して提案させてもらっている」

『夏村さん、どうしよう……』

『俺は和也が適任だと思うぞ。今度は俺が和也のサポートだな』

『それでいいんですか?』

『なんでだ?』

『勉強しないとまずいでしょう』

『そこはお前がなんとかしろ!』

『結構、大変なんですけど……』

 と俺と夏村さんがヒソヒソ話をしていると、上郷地先輩は、

「夫婦でコソコソしてないで、はいと言え! というか、私たちからのお願いだ。最後の高校生活の学園祭をしっかりやってくれるのは高松と夏村だと思うんだ」

 俺と夏村さんはアイコンタクトをした。

 そしてどちらからともなく頷き、声を合わせ、

「はい!」

 と答えた。


「では、かずさんが委員長ということなら、その部下で決まりですね」

 と内田さんが言い出す。

 そして、四人娘はお互い顔を見合わせ、うんと頷き、

「委員会やります!」

 と言ってくれた。俺は、

「なんか去年と代わり映えないなぁ」

 と言うと、曽根さんは、睨みながらこう言った。

「別の方がお好みですか? かずさん……?」

「いえ、お願いします!」


「上郷地さ~ん」

「なんだ、河野」

「高松一人だと心配なんで俺も書記で入ります。学園祭期間、生徒会の書記の作業そんなに多くないので」

「そうか、じゃあ頼む!」

「よろしくな、高松」

「ありがとう、河野」

 といった感じで、生徒会は学園祭対策としてメンバーを生徒会としてバックアップするメンバーと学園祭を引っ張るメンバーに分かれた。

 

 ◇◇ 九月四日 ◇◇


 一時限目 ロングホームルーム

「よ~し、じゃあ、おたのしみの二学期の行事日程のプリントを配るぞ!」

 相変わらずの渋谷先生の美声がクラス内に響いた。

 九月二十五~二十七日 修学旅行

 十月七日 体育祭

 十月十五~十七日 中間試験

 十一月二、三日 学園祭

 十一月九日 生徒会選挙

 十一月二十三日 全国模試

 十二月五~七日 期末試験

 十二月十、十一日 球技大会

 十二月十七~十九日 進路面談

 十二月二十一日 終業式

 と書かれていた。


「じゃあ、順番に実行委員決めるぞ」

 という先生の一声とともに委員決めが始まった。

 修学旅行の実行委員には旧ヤンキーの鹿島玲音(かしまれおん)尾関美帆(おぜきみずほ)が立候補し決定した。

 体育祭の実行委員には体育会系部活在籍の速水渚(はやみなぎさ)長浜奈々美(ながはまななみ)が立候補し決定した。

「じゃあ、一番大変な奴、学園祭の実行委員、立候補いるか」

 という渋谷先生の声とともに、俺と夏村さんはアイコンタクトし、うなずき、俺は手を挙げた。渋谷先生は、

「高松は去年、実行委員の補助もやってたしなぁ、ちょうどいいな。じゃあ、男子は高松で決定で、あと、女子の立候補いるか?」

 と言い、教室内を見合わす。

 去年のトラブルを知っている学年だ。

 大変さを知っている奴らばかりだ。

 おいそれとは手を挙げる人はいないと思った。

 俺は隣の井上さんを見ると手を合わせてゴメンとジェスチャーした。

 俺は問題ないよと首を横に振り、にこりと笑った。


「高松君がやるんだったら私やろうかな?」

 と言い、クラスでも一番身長が低い石森奈那(いしもりなな)が手を挙げた。

 意外な人が手を挙げてきたと俺は思った。

 彼女は体育会系部活の陸上部に所属する子であった。

 クラスでも目立つ子ではなく、部活を地味にやっているというのが俺のイメージだった。

 クラス内は立候補で委員がすべて決まったことに安堵し、拍手が沸き起こった。

「あっ、そうだ。高松、石森。今日の十五時半から第一回目の委員会があるそうなので出席よろしくな」

 と渋谷先生が俺たちに言うとちょうどよいタイミングで終業のチャイムが鳴った。


「いや、意外な子が立候補してきたね。石森さん、確かに私たちとこの前のサッカーの応援にも来ていたし、学園祭にもかずくんの演奏、見に来てたなぁ。また私のライバル増えたかな?」

 と井上さんは言った。

「まあ、興味ある程度なら歓迎だけどね」

 俺は立ち上がり、石森さんの机の前に向かった。


「石森さん、高松です。学園祭の実行委員、一緒になりましたが、宜しくお願いします」

 俺がこう言い、頭を下げると、石森さんは、

「石森です。高松君のことはサッカー部の件の時、グラウンドの石拾いして貰っちゃったんで、恩義に考えていたんだよね。実はグラウンドの石拾いって一年生の仕事だったんで。でも見る間に高松君、グラウンドきれいにしていくんだもん、びっくりしたよ。それのお礼って感じで付き合わせてもらうので宜しくね」

「こちらこそ。石拾い、陸上部の一年生の仕事だったんだね。余計なことしちゃったなぁ」

「いいって、いいって。これから宜しくね」

「こちらこそ」


 席に戻りながら俺は夏村さんに今の話を報告した。

「サッカー部の件で、石拾いをしたのを恩義に感じてくれていたらしくて、手伝ってくれるって決めてくれたみたいよ」

「そうか、見てる人は見ているんだな」

「でも、かずくんに声かける子ってみんな可愛いよね。夏村さんといい、小倉さんといい、石森さんといい、その上、私も」

「井上さんは違うかな? 自分でデカ女って言ってたし」

「私を外しても、石森さんは入れちゃうんだね」

「変に意識しちゃうから、やめてください!」

「てめえ! 石森にまで手出したら本当に殺すからな」

「(はい、わかりました)」

「声が小せえ!」

「はい! わかりました!」

 こんな決め方で、自分達の高校生活の大事な行事を左右してしまう委員は決まった。

 しかし、立候補しただけあり、彼らは思い出に残る行事にするため、がんばってくれたのだった。


 では、がんばって学園祭の実行委員会を取り仕切っていきましょうかと思いながら席を立ち、トイレに向かおうとした。

 ふと廊下を見ると、そこにはさよりが立っていた。

 俺はさよりの方向に歩いて行くと、遅れて夏村さんもさよりの前に向かった。

 すると、さよりは俺たちに一礼し、こう言った。

「私、学園祭の実行委員になりました。たぶん、かずさんたちもやるだろうと思ったので」

 俺と夏村さんはお互いの顔を見て、こそっと笑い、二人声を合わせてこう言った。

「よろしくお願いいたします!」

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編集記録 

2023/02/01 一部改稿

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