2-9話 なぜヤンキーになったのか(2)
【読者様のコメント】
高松がとにかく切れ者!
状況を俯瞰し、必要となる情報を手配。
根回しをし、あっという間に収束させた。
これだけ的確な判断ができるって、カッコいい……。
夏村さんがどうしてヤンキーになったのかその片鱗が見えた。
さて高松、ボコられに行きますか!
俺はスマホを出し、動画モードで録画し、現場を撮影した。
周辺では五台のパトカーのサイレンが喧しいほど鳴っていた。
数人の警察関係者らしい人たちが非常線の中に入り、調査を始める。
この人たちは鑑識官であろう。
この人たちの登場で警察官も非常線から追い出される。
現場を荒らされないよう、鑑識官が捜査中の場合は警察官でも外に追い出されるのだ。
テレビの警察物とは大分話が違う。
俺たちは現場からだいぶ後ろに後退させられたが、俺は引き続き状況をスマホで録画していた。
すると、パトカーの中から三十代くらいの警官が俺たちの前にゆっくりと歩いてきた。
俺は持っていたスマホを胸ポケットにカメラが外側を向くように入れた。
録画は何かあったときの証拠になるからだ。
警官は夏村さんたちの前で止まり、声を掛けてきた。
「おい、お前ら、そんなカッコしてプラプラしてるからこんなことになるんだ。少しは反省しろよ」
俺はカチンと来たが、父の言葉を思い出し、冷静を保った。
まずは、横山たちにみんな怒らず落ち着けと身振りをしてみると、横山は指でオッケーサインを作った。
「じゃあ、これから事情聴取だ、車に乗れ。確かメンバー四人だったよな。二人ずつに分かれろ。じゃあ、すぐに乗れ」
終始、命令口調の警察官に俺は尋ねた。
「すみません。私、彼らの友人ですが、どちらの警察署で事情聴取ですか? 教えてください」
「あー? お前もこいつらの仲間か? お前もしょっ引くぞ!」
「『しょっぴくぞ』って犯人に言う言葉じゃないんですか? 別にいいんですけど、彼らがどこに連れていかれるのかと、そちらさまのお名前教えていただけませんか?」
「何だ? お前に教える義務はない!」
「いえいえ、逆に警官が自分の名前を名乗らない権利はないので教えてもらいましょう」
「うるせぇなぁ、浦和中央警察署の沢田だ。これでいいか。こいつらも中央警察署に連れて行く」
「では、俺もしょっぴくんですよね? 何もこの事件に関係ない人をそれも被害者の友人というだけで連行、参考人聴取ってことですかね? あああ、犯人じゃないから任意同行か。さて、どうします?」
その警官は俺を無視したのだが、俺はそのとき、周りを見まわし、知人が数人いることを確認した後、話をつづけた。
「任意の参考人聴取でこんな対応ってありえないとおもうんですけど。その上、現場にもいなかった自分もしょっぴくつもりらしいし!」
「おめぇ、めんどくせぇから事情聴取はしないでやるよ。本当にうるせぇ奴だな!」
「それはどうもありがとうございました。一点ご質問ですが、参考人の聴取ではなく被害者の任意での事情聴取なので被害者と聴取中の連絡は可能ですよね」
「あーそうだよ。こっちは忙しいんだよ! ひっこめ、ガキ!」
そう言うと横山と仲間一人はこの警官の仲間に誘導され、パトカーの中に連れて行かれた。
横山たちの後を沢田と言う警官は歩き、パトカーの助手席に乗った。
「じゃあ、後ほど、ご連絡差し上げます。正式なルートで」
と俺はつぶやいた。
どこに連行されるのか分かればこっちのものだ。
その上、中央警察署ならなおさらだ。
夏村さんは横山たちと別のパトカーに乗せられるようだ。
「かず、ごめん。ちょっと行ってくる」
といつもでは聞くことのできないくらい弱々しい声で夏村さんが言った。
俺は、しっかりとした視線で夏村さんにこう言った。
「すぐ返してもらえるようにするから。がんばってね」
そして、俺は心の中で、こう言った。
『夏村さんたちは俺が必ず助ける、俺の仲間だから』
夏村さんはそれが分かったかの如くのタイミングでうんと頷き、そして何も言わず、俺の方向に一礼をし、別のパトカーの中に入っていった。
そして二台のパトカーは再び、けたたましいサイレンの音を響かせ、さくら草通りを出て行った。
バカ野郎! 被害者の仲間を乗せているんだからサイレンは消せよと俺は思った。
すると、ちょうどその光景を見ていた近所のおばさんが俺に近寄ってきて、声を掛けてきた。
「かずちゃん、大変だったねぇ。沙羅ちゃんたち、犯人でもないのにひどい扱いだよ、全く」
この人も夏村さんの名前知っているんだなと思い、夏村さんの知名度すげぇ! と思った矢先、ここで俺の想像のはるか上を行く事実をおばさんから聞かされた。
「実はあの子たち、いつもこの辺の見回りをしてくれてたんだよ。七月の『うらわまつり』のとき、祭りだから酔って喧嘩しちゃう人とかの仲裁とかもやってたんだよ。この辺、警察があんなふうで、いまいち動かないから、彼らがすごく頑張ってくれてたんだよ。沙羅ちゃんは悪い子じゃないって、かずくんのお父さんから言われていたけど、本当にあの子たちは良い子なんだよ。今年の五月ごろから毎日のように駅前周辺を交代で見回りしてくれてたんだ。ヤンキーの恰好はしていても、みんなやさしい子たちばかりで、商店街、特に女性の人なんかはよく彼らに助けてもらってたりしたんだよ。あんな子たちのトップがかずくんの彼女だなんて、縁ってものはつながっていくもんだね」
そうか、そういうことだったのか……
なぜ、わざわざヤンキーメンバーが『浦和』と付く駅周辺をエリアにしていた理由が今、分かった。
確かに以前、父から駅前は警察の動きが悪くて治安に不安を感じる人がいたのだが、最近そういう声が激減したので、何が原因なのかと考えていたという話を聞いたことがあった。
夏村さんがヤンキーの姿をしてまで駅前周辺をうろつく意味に合点がいった。
そして『うわらまつり』に行きたくない理由はその日は横山たちに任せていたため、どこかで彼らと会いたくなかったということなのであろう。
夏休みで人通りが多くなる時期に夏村さんも交代でヤンキー姿で防犯のための抑止力になろうとしていたのか……
本当に夏村さん、あんたの考えることは最強だよ……
だけど、結果として、仲間が怪我を負っては意味がない。
なにか他の方法があったんじゃないのかと俺は夏村さんに言いたかった。
俺はおばさんに礼を言い、急いで家に帰った。
俺はスマホを取り出し、録画を止め、ファイルを保存した。
帰ると父はリビングダイニングのいつもの席に座っていて、
「どうだった?」
と俺に聞いてきた。
そして俺は夏村さんたちが事情聴取という名のもとに中央警察署にパトカーで送られたことや近所のおばさんから聞いた夏村さんがヤンキー姿を続ける理由の糸口についての動画を再生しながら父に話した。
すると、父はスマホから俺に視線を動かしながら、
「なるほど、沙羅ちゃん、そんなことしてたんだなぁ…… 本当に悪いことをした…… よし分かった! それでお前は今何をしたい?! 沙羅ちゃんのために何をしなくてはいけないと思う?! それを言ってみろ!」
と言った。
俺はまず、『浦和』と付く駅に周辺の犯罪件数とヤンキーが出没するようになってからの件数の変化を調べてほしいと言った。
次に、さくら草通り商店街とCORSO内の防犯カメラの映像の警察への提出を依頼した。
そして、各駅前商店街との緊急会合の設定と商店街側からの県あるいは市への早急な防犯対策の陳情を依頼した。
最後に沢田純一という警察官の俺と夏村さんたちへの対応を詳細に伝え、早期の夏村さんたちの解放を手伝ってほしいと言った。
「了解した。今回はよく考えたなぁ。以前のお前だったら、突進して町内大騒ぎだったもんな」
「それは中学時代の黒歴史だから、忘れさせて! でも、今の俺には夏村さんっていう最強の俺の支えになってくれる人ができたことで心に余裕ができたんだと思う。それと、彼女の現状を変えられるなら、俺は幾らでも手助けしたいと思ったから」
「そうか、お前、本当に沙羅ちゃんにぞっこんだなぁ(笑)。
はじめて俺の彼女だと紹介された時
ヤンキー姿でうちに来てお客さんをびっくりさせた時
そして沙羅ちゃんの成績が確実に上がってきた時
その他いろいろな出来事があって、二人で助け合って成長してきたんだな。
お前の依頼の一つや二つ、聞いてやるよ。それぐらい高松家全員が沙羅ちゃんに感謝しているんだ。そういえば、沙羅ちゃん。お前を婿養子にしたいって言ってたぞ。そこまで進んでいるのか?」
「もう、このタイミングで何言ってるんだよ…… まぁいいや。じゃあ、よろしく頼みます! 俺、これから中央警察署に行ってくる」
「だったら、お茶屋さんの息子さんにも声かけてみろ」
「うん、そのつもりだった」
そう言うと俺は自転車で中央警察署に向かった。
中央警察署はさいたま市を管轄とし、各区の警察署を指揮下に置いていた。
所在地は埼玉県庁の隣にあり、自宅から自転車で飛ばせば十分ぐらいで着くことができる。
俺は立ちこぎで自転車を走らせた。
早く、奴らを解放して、奴らと会いたい。
特に夏村さんに……
俺の家を出て、すぐそばにある裏門通りの下り坂を一気に走り切り抜け、信号を渡り、急坂を上り終えると左側には埼玉県庁第二庁舎が見え、その前を通り過ぎた次の交差点を左に曲がるとすぐ中央警察署に到着した。
俺は入口右側にある専用駐輪場に自転車を置き、入り口そばの総合受付でさくら草通りでの一件の被害者と面会したいと言った。
担当者が受話器を取り、関係部署に連絡を取ろうとした時、奥の階段から夏村さんたち四名が下りてきた。
俺は受付の担当者に礼を言い、夏村さんたちのところに走っていき、こう尋ねた。
「あれ? 意外と早い釈放だったね。事情聴取ってどうだった?」
すると、横山は返答した。
「おまえ、釈放って、俺たち犯人じゃないんだぜ! うん、始めは結構きつい調子で言われてたけど、ほんの五分前だったかな? 別の人が入ってきて、ひそひそ話をしたと思ったら、それから担当者がチェンジして、今、終了って感じ」
多分、父が手を回してくれたのだと俺は思った。
「何かいろいろ迷惑かけちゃったみたいだなぁ、かず」
と夏村さんは謝った。
「早く帰って来られたからよかったよ。そうだ、ちょっと待っててね」
と言い、俺は受付に戻った。
そこで、幸太郎が北浦和のさいたま中央病院に入院していることと、出血は多かったが幸い臓器に刃物は達しておらず、二、三日で退院できることを確認し、夏村さんたちに伝えた。
夏村さんたちは、すぐにみんなで幸太郎の面会に行きたいというので了承した。
俺はどうするかと聞かれたが、ちょっと寄りたいところがあると言って、彼らと別れた。
俺は再度受付の人を通じ面会の許可を得て、階段を上り、三階に付くと一番奥の部屋をノックし入った。
「失礼します。高松と言いますが、真田さん、お願いします」
◇◇ 八月十五日 ◇◇
その翌日、中央警察署はさくら草通り商店街の防犯カメラの映像から犯人を特定した。
犯人は 阿部 剛 (十七歳) 浦和大鳳高校二年中退。
結局のところ、防犯カメラの映像と横山が顔をしっかり見ていたことが犯人特定のポイントとなった。
その名前を聞いた時、終業式の終わった後で職員室の前の掲示板に貼られていた紙に記載されていた名前であったことに気づいた。
夏休み前に退学となった二年のヤンキーのリーダー格の男だった。
即時手配となり、翌日十五日、阿部は都内赤羽のゲームセンターにいるところを逮捕された。
犯行理由は退学させられたことに対する逆恨みであった。
これだけ話が大きくなったので、父は夏村さんを俺の家に呼び、話を聞くことになった。
夏村さんと会って早々、父は夏村さんの両親にも報告をしたいと言い、夏村さんに御両親に連絡をさせてほしいと言ったが、海外にいるため、夏村さんから連絡すると拒否された。
当然、父には海外に連絡する方法など分からないものだから、夏村さんに任せるしかなかった。
ここからは、俺の家族立ち合いのもと、夏村さんと父そして俺との会話をまとめたものである。
まずは阿部が退学になった件についてだ。
俺の高校にはヤンキーのグループとして夏村さんを中心とするチームと少数ではあるが他校と敵対行動を行う二年生のみで構成された阿部のグループがあった。
以前からうちの高校に嫌がらせをしにバイクで乗り付けていた工業高校の生徒たちは阿部のグループと争っていたため、阿部のグループとの直接対決を要求しに来ていたのだった。
それを夏村さんたちのグループが先に出て行き、彼らと交渉し、阿部たちを大人しくさせる見返りとして、うちの高校には来ないことを約束させていたそうだ。
そのようなことをしているとやはり阿部たちは夏村さんたちを煙たがり、浦和の主要な駅周辺で大鳳高校の制服のヤンキー姿で、傷害や窃盗を始めたらしい。
そうなるとヤンキー姿は悪い印象を住民に植え付けることになる。
そこで、夏村さんたちは敢えてヤンキー姿で駅周辺をパトロールし、犯罪防止を行い、『ヤンキーは悪者』の印象改善に動いていたそうだ。
それが近所のおばさんが言っていた五月ごろの話である。
それからは夏村さんたちのヤンキー姿は犯罪の抑止力として働き、抑止力の維持のため、継続してパトロールを行っていたそうだ。
以上のことから、近所のおばんさんが言っていた、夏村さんたちが『うらわまつり』を含めた行事等での巡回を行っていたという証言の裏付けが取れた。
そして話が動いたのは、期末試験の前に阿部が他校の女子高生を恐喝しているところを横山たちが発見し、警察に通報、阿部が恐喝の疑いで補導となったことだ。
阿部はその後、家族の指導下での観察処置とはなったが、うちの高校を七月十九日付で退学になった。
阿部が補導される以前から夏村さんたちは阿部グループの壊滅を図り、残りのメンバーを説得し、夏村さんのグループに吸収、その結果が終業式での二年の態度の変化だった。
退学になってから阿部は自宅に帰らず、赤羽、南浦和付近で過ごし、恐喝等で生活費を稼いでいたようだ。
そして、夏村グループの一連の行動に対し、逆恨みをし、偶然、さくら草通りを歩く夏村さんたちを見つけ、尾行し、メンバーのうち、一番後方を歩いていた幸太郎を刺したというのが流れであった。
俺は夏村さんの事情聴取の後、中央警察署の三階、広報課を訪問し、真田さんと面会してきたことを父に伝えた。
真田さんは近所のお茶屋さんの息子さんで広報課の職員をしながら浦和中央警察署の署長の秘書もしていることは両親も知っており、昔はよく俺は真田さんと遊んだものだった。
真田さんから話を聞いたところによると、沢田純一は非行犯罪専門で市内ではヤンキーたちに煙たがられた存在の警察官であった。
そのため、ヤンキーに対しては一般市民と同等には対応せず、抑圧的な態度をし、ヤンキーたちの主張は右から左に受け流すタイプの男であることも聞いた。
今回の事情聴取にも沢田は立ち合い、勝手な態度で事情聴取を行っていたようだが、途中署長から連絡があり、担当者を変え、丁寧に対応するよう指示が来たことも真田さんから聞いていた。
「ふ~ん、なおさん。やってくれたんだ」
と言い、父は少し笑った。
父はこの時、浦和駅前商店会長で警察とも付き合いがあり、署長とは年齢も近いことから、なおさん、たかさんと呼び合う仲であることを俺は知っていた。
だから夏村さんたちから警察官の態度が急変した話を聞いたとき、父が動いてくれたのだと思っていたのだ。
一方、俺は真田さんと面談時、録画したスマホの画像を見せ、ヤンキーが商店街をパトロールしている現状を署長に伝え、後で父から話が有るであろう商店街でのパトロール強化の要請について前向きに進めてほしいと伝えていた。
次に俺が父に依頼した各駅周辺で夏村さんのグループが出没するようになってからとその前までの犯罪発生件数を各商店街組合に問い合わせした結果を父は教えてくれた。
その数字は明らかに、グループが出没するようになってから犯罪件数は激減していることを示していた。
「その結果を持って、昨晩、各駅前商店街組合がなおさん(中央警察署長)と県の職員を含めて面談したんだ。そこでの話題は、駅前の治安維持のため警察官の増員の要請だった。このことについてはかずがお茶屋の息子さん(真田さん)に事前に話をしていてくれたおかげで話はスムーズに進んで、九月からパトロールを開始することを約束してもらった。もちろんそれに合わせて商店街組合からも見回りを行い、犯罪防止に努めることとした。それと来年までには人通りの多いところには監視カメラを増設することを県に要請し、ダメな場合は商店街で金を出すことになった。高校生が動いて、警察、商店街が動かないって訳にいかないからなぁ」
世の中はお盆休みなのにこの人たちはどんだけ動きが早いのかと俺は感心した。
「そこでだ」
父は夏村さんに向かって話を続ける。
「沙羅ちゃん、もう街中でヤンキーの姿をする必要もないだろう。もう今の世の中、そんなヤンキー姿の高校生なんていないんじゃないか? 沙羅ちゃんは普通の恰好が一番似合う。だからやめないか?」
「おじさん、いろいろありがとうございます。でも、こればかりは私だけがやめても収まりのつくものではないので……」
と言い、夏村さんは話を続けた。
中学三年の前の春休みに、家族の事情で夏村さんの置かれた環境は劇的に変わってしまった。
『自分の行き場』を無くした夏村さんは市内を徘徊していたときに横山たちと出会った。
彼らは『自分の居場所』を探してヤンキーになったのだが、そんな彼らの境遇を共感し夏村さんは横山たちの仲間になった。
恰好も彼らに合わせヤンキーになり、彼らと行動を共にしていた。
そんな彼らも中学三年生。
これからの未来ということを考えたらしい。
そんなときに高校へ行き、その三年間でゆっくりでもいいから『自分の居場所』を考えてはどうかと高校受験を勧めたのが夏村さんだった。
それから一緒に勉強をし、全員が大鳳高校に入学することができた。
入学してみると大鳳高校には二年生に阿部たちのグループが既におり、やりたい放題で校内は荒れていた。
そこで阿部たちのグループから高校生活を守るため夏村さんたちのグループが立ち上がった。
あくまで夏村さんたちのグループは現状回復、そしてゆっくりと『自分の居場所』を見つけることができる環境の維持が目標だった。
この目標に共感した二年生の阿部グループのメンバーが少しづつ、夏村さんのグループに流れることを嫌った阿部グループが行動を起こし、前述の流れとなったそうだ。
「だったら、横山たちを納得させたら、夏村さん、ヤンキー姿を止めてくれる? 別に有事になったらヤンキーバージョンになってもいいけど、必要なければ肩ひじ張らなくていいんじゃないのかなぁ?」
と俺は尋ねた。
夏村さんはうつむきながら軽く頷いた。
「オッケー! じゃあ、善は急げだ。夏村さん、横山たちの居場所わかる?」
夏村さんは繰り返し頷いた。
「父さん、いろいろ動いてくれてありがとう。今度は俺が奴らと話す番だ。行ってきていい? 下手したらボコボコにされるかもしれないけど」
「行ってこい。ボコボコにされないためにはどうしたらいいか、中学時代に勉強したろ?」
「それは言うなって! 今考えても夢に出てくるから。もう大丈夫」
「よし! 行ってこい!」
俺の心は決まった。
一気に夏休みの『宿題』を片付けますか……。
当作品をここまで読んで頂き、ありがとうございます。
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編集記録
2022/9/5 2-8話を2-8話、2-9話に分割し、校正、一部改稿




