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【神託】で選ばれた真実の愛の相手がくそなんですけど  作者: はるくうきなこ


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64花の駆除を


 私とカイヤートが屋敷の外に出るとすでに王都第二騎士隊がいた。

 「ライノスご苦労。これからみんなで区分けしてザンクの花の処理にあたる」

 カイヤートは霧ッと引き締まった表情でみんなに説明をする。

 どうやら王都を四分割して処理にあたるらしい。


 「セリは俺と一緒に東側の川に沿って処理をする。さあ、乗って」

 私はもちろん乗馬用のズボンにブーツを履いている。

 カイヤートに手を差し出され手を握る。

 力強い手で一気に鞍に引き上げられカイヤートが私の後ろに乗る。

 二十人ほどで一個部隊となって行動を共にするらしい。

 カイヤートの後ろに騎士隊の人たちが続く。


 出発して東に向かいながら数人の騎士が先に多方向に別れてザンクの花を探しに向かう。

 

 見つけると後方にいるカイヤート達に知らせが届いて規模によって人数を振り分けて行く。

 そうやってザンクの花をしらみつぶしに処理していく。

 騎士隊員は火で燃やし、私は浄化魔法でカイヤートは火魔法を使って花を燃やして行く。

 だが、ザンクの花から出る毒で数人が気分を悪くした。

 どうやら花粉を吸い込んだらしい。

 急きょ、カイヤートの屋敷の庭に天幕を張って救護所を作る。

 私は具合の悪くなった騎士たちの治癒に専念する事になった。

 「セリはここで騎士たちの救護を頼む」

 「ええ、任せて」

 「ああ、頼んだ」

 カイヤートが踵を返す。

 「カイヤート。ちょっと待って」

 私はカイヤートに無効化魔法をかける。

 『どうか、カイヤートが無事でありますように』

 水色の光が彼を包み込む。 

 何を願ったかカイヤートもわかったらしい。

 「セリ、ありがとう。行って来る」

 彼は嬉しそうに私の頬にキスをした。

 ええ、彼は大丈夫。絶対に無事に戻って来る。だってイヒム様の加護の力があるから。



 私は必死で浄化をした。

 やってもやっても騎士達が次々と運びこまれてくる。

 ザンクの花を甘く見ていた。

 月喰の日だけじゃなかったんだ。すでに花は開花して花粉が飛んでいた事に気づかないなんて。

 あまりにも唐突に知った事実に慌てて計画もなくこんな事をしたから。

 王都以外の場所は大丈夫なんだろうか?

 ドラゴンが火を吐くのなら大丈夫だろうが、人間が直接処理をすればこの騎士達のように中毒症状が出るはず。

 どうすればいい?

 プロシスタン国全土の中毒患者をすべて治癒することなど到底出来る訳もない。

 『セリ、いいかい。ザンクの花の解毒にははちみつがいいんだ。でも、それは初期症状にだけだ。急いではちみつを集めるんだ』

 『イヒム様。それならもっと早く教えて下さいよ』

 『こんなに多く被害毛出るとは思わなかったんだ。すまん』

 『いえ、こちらこそありがとうございます』

 私は急いではちみつを用意してもらう。

 それを騎士たちに飲ませるとさっきまで頭痛や吐き気がすると言っていた症状が和らいだ。

 良かった。

 そこにビーサンがやって来た。そうだ!ビーサンって人の言葉わかってたはず。

 『ビーサン。お願い。みんなに知らせて欲しいの。ザンクの花にやられたらはちみつが解毒になるって』

 「ククゥゥ~」

 ビーサンはこくんと大きくうなずいた。

 『良かった。わかったのね?お願い出来る?』

 「クゥゥルゥ~」

 ビーサンはすぐに飛び立っていった。

 きっと仲間に知らせてくれる。これで他の領地の人たちも助かるはずだわ。


 その後も屋敷の人たちが差し入れを持って来たり治癒を終えた騎士たちの世話をしてくれた。

 症状の回復した騎士はまたザンクの花の処理に戻った。そう言う彼らには無効化魔法をかけた。

 症状の重い騎士達は天幕の中に敷物を敷いて寝かせた。

 何だか私の魔力どんどん大きくなっている気がする。これもイヒム様が力を貸してくれているからかも。

 

 



 






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