第55.5話 作戦開始は密やかに。※ただし、開始後は密やかとは限らない。
久しぶりの‼︎ 半年ぶりの‼︎ 本編だ‼︎
だと言うのに、今回短めです。ですが。明日も更新になります。
気長に待っていてくださった皆様、ありがとうございますっ……‼︎
今後ともよろしくお願いします(・∀・)ノ
偽リリィがいなくなったーー翌日。
本当は合宿の後処理があったのだけど、それよりも重要案件として……国王陛下などの国の上層部の方々にリリィのことを報告しに行ったわ。
流石に、本件は隠せておけないからね。
話を聞いた陛下達は、とっても驚いていたわ。
それもそうでしょうね。
今までのリリィが偽物で、今のリリィが本物なんて……衝撃事実以外の何物でもないんだから。
結果として……対応は今まで通り、ということになったけれど。
姉御はリリィではなかったけれど、偽リリィがしていたことを内側から見ていたから……特に何かを変える必要がなかったみたい。
それどころか……姉御は偽リリィよりも常識人だったから、余計な不安がなくなったぐらいで。
ぶっちゃけ、姉御になってからの方がとても穏やかな日々を過ごせているぐらいだったわ。
あぁ、ちなみにだけど……学園の一部の方々(学園長とか生徒会役員とか)にも報告済み。
一緒に学園生活をしていたら、姉御の様子が変わったのに気づくでしょうし……何かあったら対応してもらうためにね。
と、そんな感じで……アレからは約一ヶ月ほど。
私達は平和な学園生活を謳歌しているわ。
でも、このままにしておけない問題が二つ。
そう……。
「ムッツリとマリカ様、スイレンさんと姉御の件……どうするべきなのかしら……?」
学園の中庭で昼食を食べながらポツリと呟く。
すると、隣に座って同じように食事をしていたグランも「あぁ……(セーゲルのこと……変な呼び方してないか……?)」と頷いたわ。
「セーゲル、よく魔王屋敷に突撃してるらしいな?マリカ嬢に会うために」
「らしいわね。あの追いかけっこ、魔王屋敷でもやってるらしいわ」
合宿の際に起きた事件……マリカ様降・臨・☆(※第Iの魔王に吹っ飛ばされて、この大陸に到着した時)後にやってたセーゲルの求婚(と言う名の追いかけっこ)。
顔を真っ赤にしたセーゲルが魔王屋敷で「好きだ‼︎」、「結婚してくれ‼︎」と叫びながら追いかけて、同じく顔を真っ赤にしたマリカ様がアワアワしながら逃げてるらしいわ(※スイレンさん談)。
…………あの二人、幼稚園児かしら?
そんな二人に反して、スイレンさん達の方はと言うと……。
……………逆に一切の接点なし。
……いや、まぁね?
スイレンさんと出会った時のリリィは既に偽リリィだったから仕方ないのかもしれないけれどね?
…………偶然話す機会があって、偶々リリィの名前が出た時のスイレンさんの顔が痛々しすぎてっ……‼︎
姉御の方も彼の名前が出ると、固まってしまうしっ……‼︎
色々とスイレンさんにお世話になっている身(ちゃんと自覚はあるわ)としては、なんかどうにかしてあげたいと思っちゃうのよね……‼︎
でも……。
「あんまり、他人の恋愛事に首突っ込むべきじゃないんだろうな……面倒くさいし」
「そうよねぇ……でも、突っ込まないと何も進展しなさそうなのも確かなのよね……面倒くさいけど」
二人して溜息を零しながら、空を見上げる。
あの日からもう一ヶ月も経ってしまうけれど……本当に穏やかな日々だわ。
何もなさ過ぎるぐらいに。
でも、嵐の前の静けさって言うのかしら?
このままにこの案件を放置してたら何か嫌なことが起きそうな予感が、バシバシするのよね……。
「…………放置したら嫌な予感がするから、放置しない方がいいんだろうな……」
「…………」
その呟きで、私の予感が裏付けされてしまったわ。
私よりもグランの勘の方が鋭敏だから、きっと放置したら確実に嫌なことが起きるわね。
すっごい面倒な感じの。
……。
…………。
………………はぁ。
「………とっても。と〜〜〜っても面倒だけど仕方ないわね」
溜息混じりの呟きにグランはピクリッと目敏く反応する。
そして、微妙にあざとさを感じさせながら……首を傾げた。
「ん?何かいい案が?」
「えぇ。でも、ちょっと時間がかかるのだけど……」
「どれくらい?」
「私達なら、多くを見積もって半日。他の人なら五日〜一ヶ月ぐらいかしら?でも、スイレンさんとセーゲルがいるなら……最短コースだと思うわ」
「…………ふぅん?」
グランはニヤリと悪〜い顔で笑う。
どうやら私がしようとしてることを察してくれたみたいね?
「必要なのは?」
「勿論、国の許可と学園の許可。後は属性竜ね」
「なら、放課後……だな」
「うふふっ。一から十まで言わなくても察してくれるグランが好きよ?」
「知ってる」
グランは自身の頬を指先でチョンチョンと突いてキスを促してくる。
あら。頑張るから先にご褒美が欲しいのかしら?
……まぁ。グランに頑張ってもらうことになるのだから、これぐらいは許してあげるべきかしらね?
「きっちり許可をもぎ取って来て頂戴な。よろしくね、ダーリン?」
「ご褒美を貰う以上はきっちりヤるさ。任せてくれ、ハニー?」
互いにクスクスと笑いながら、私は彼の頬にキスをする。
かくして、私達の作戦は密やかに開始されたのだったーー……。




