番外編 《メタイベント》クリスマスは賑やか‼︎
ふざけました☆
本編じゃなくてごめんね。まぁ、笑って許してください。
「とーとつに始まる〜。クリスマスケーキ作り会〜♪」
「本当に唐突だよね」
「ですわ……」
私の声がけにリズベットさんとアウラさんが苦笑する。
まぁ、うん。
今回もメタ多発なイベント話だから仕方ないのよ。
「というか、クリスマスってなんですの?」
アウラさんはキョトンとしながら質問してくる。
あー……この世界にクリスマスなんてないものね。
降雪祭はあるけど、それは冬の訪れを祝う感じで……クリスマスとは微妙に違うヤツだし。
そんなことを考えていた私より先に、リズベットさんがその質問に答えてくれた。
「クリスマスって本当は降誕祭のことなんだけど……今ではリア充達のイチャ甘カップルイベントになってるんだよ」
「ご存知?リズベットさん。リア充ってもう死語らしいわよ。高校の時は友達とリア充撲滅運動なんて宣言してたけど……後からリア充ってもう古いって言われたからね」
「マジかっっ⁉︎」
えぇ、本当です。
私(というか、著者)は言われました。
実際にそうかどうかは分かりません。
「という訳で。場所は魔王城(屋敷?)のキッチンです。グラン達は魔王城の広間で行うクリスマスパーティーの準備してくれています」
「あぁ……ハル君が先頭に頑張ってたねぇ」
どっかから樅の木ゲットしてきてたわね。
ガチのクリスマスツリーで驚いたわ。
「あれはリズに喜んでもらいたいからだと思いますわ」
「いやん、愛されてるぅ♡」
2人の話がちょっとズレそうになったため、私は手をパンパンと叩いて注意を引く。
そして、分量を測り済みの材料(ボールに入ってる)をバーンッと見せつけた。
「という訳で、シフォンケーキの材料よ」
「え?そこはイチゴのショートケーキじゃないの?」
リズベットさんのツッコミに私は黙り込む。
そっと視線を逸らしながら……答えたわ。
「……………シフォンケーキはギリギリ家にあるもので作れるから……ショートケーキはバターとかイチゴとかお金かかるから……というか、大体家で作るケーキはシフォンケーキでした‼︎」
「…………本音は?」
「ぶっちゃけ、ショートケーキはシンプルな分、職人の腕が大事になってくるので初心者が作っちゃダメだと思ってます」
「………確かにそうかも⁉︎というかお菓子類全般そうだよね⁉︎」
「それな‼︎」
「急に最後にハイテンションになりましたわね⁉︎」
最後にノリよくハイタッチする私とリズベットさん。
ちょっとノリがおかしくなってるわね。
クリスマスマジック。
というか、まさかのアウラさんがツッコミ属性……。
「と、とにかく‼︎作り始めますわよ‼︎」
「「いえす、まむ‼︎」」
よし、ちゃんと作り始めますか。
まず、卵黄と砂糖を混ぜます。
食用油を少しずつ注ぎ、牛乳を加えます。
振るっておいた粉類をぶち込んで、卵白で作ったメレンゲを数回に分けて入れて……オーブンで焼く………以上。
…………魔法がハンドミキサー代わりになるから楽よね。
「焼いてる間になんかお話でもする?」
「なんの話をするんですの?」
「惚気とかかしら?私、アウラさんとスイハの惚気が聞きたいわ」
「ふぇっ⁉︎」
話を振られたアウラさんは顔を真っ赤にして動揺する。
あ、決してこういう時にリズベットさんに話を振っちゃいけないと思ってるわ。
リズベットさんとハルトさんはオープンスケベカップルだから、聖夜を違う漢字で過ごしそうだもの。
この作品はR-18じゃないから、回避は大事よ。
「そ、そうですわね……スイハは……その……本当に、愚直なほどに……わたくしを愛してくださって……手をいつも握ってくださるし、寝る時は額にキスをしてくださるし……朝、挨拶をすると本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれて……」
蕩けそうな笑顔に、嬉しそうな声。
ふわふわとその背後を舞う可愛らしい花。
私とリズベットさんは眩しいものを見るように目を細めてしまったわ。
「…………なんなのかしら……このピュアオーラ……」
「………………なんか……自分がエロエロハル君に染められちゃったんだなぁって、実感するよ……こんなピュアな時期が私にもあったはずなのになぁ……」
「…………それな……」
そうこうしている内にケーキが焼ける。
ドーナツ型からはみ出るくらいにふっくらと焼き上がったシフォンケーキ。
本当はケーキクーラー(前世では、コップにお猪口を合体させて、真ん中の穴に刺して逆さにしてた)で逆さにしないと、真ん中がくびれて謎キノコみたいな形になっちゃうんだけど……魔法様々ね。
簡単に粗熱が取れて、形も変にならないなんて。
「お好みで生クリームやイチゴ、ジャムを添えて〜……うん、クリスマスシフォンケーキの完成ね♪」
今回は生クリームとイチゴの他にチョコペンみたいなのでリーフの模様を描いたから、クリスマス感があるわね。
「おぉ〜……クリスマス感があるね♪」
「初めて見ますけど、いい感じですわ。ふふっ、王女のままではできなかったことができて……とても楽しいですわ」
3人で笑いあってると、ガスコンロの前でクリスマスの食事を用意していたスイレンさんが「こちらもできたぞ」と声をかけてくる。
テーブルに並んだのは……鳥の丸焼きにポテトフライ、サラダやシチューなど……。
まさかのこの中で一番女子力高かったのがスイレンさんだったという現実。
最初、他の食事はスイレンさんが作ると言ってきて驚いたけど……こういうことだったとは………。
「…………こっちがケーキを作ってる間にこんなに……凄いねぇ……」
「………スイハも料理が上手ですけれど、叔父様直伝と言ってましたわね……」
「我が一族は伴侶のために家事を手伝うのが当たり前だからな。料理や掃除、洗濯はお手の物だ」
嫌味がない笑顔なんだけど……なんかいつも遠い目をするスイレンさんしか見てない気がしてたから、なんかこの笑顔に落ち着かなくなるわね。
「スイレンさんの一族の人と結婚する人は幸せね」
「グラン殿も料理はできるのでは?」
「できるけど、男の料理って感じなのよね」
焼く、煮る、味付けは大雑把がグランの料理になるわ。
まぁ、でも……野営とかする時率先して手伝ってくれるから文句はないけれどね?
「我が一族で料理ができない男はモテないからなぁ。否応なしに上手くなるものだ」
「それ、小学校の頃男子が言ってたわ〜」
「それ、ハル君が自然の摂理って言ってたね」
「スイハが他の女性からモテてしまう……⁉︎」
「「「いや、貴女(アウラ)(君)を溺愛してるからそれはないわ(よ)(ぞ)」」」
三者三様の反応をしながら料理を持って広間に向かう。
赤と緑を基調としたクリスマスカラーのオーナメントや、クリスマスツリー。
キラキラとした飾りをつけた広間は、和室ということ以外は完璧なパーティー会場になっていた。
まぁ、うん。
クリスマスって外国のイベントだから、和室より洋室の方が似合うわよね。
「料理担当、お疲れ様」
グランが優しい笑顔で労ってくれる。
特に頑張ったのはスイレンさんだけどね。
「飾り付けもありがとうね」
「まぁ、ハルトと俺はクリスマスの知識があったから……そんな大変じゃなかったよ」
グランはそう言って私の手からお皿を受け取る。
どうやらハルトさんとスイハもそれぞれお皿を受け取っているみたい。
…………ここにいる男性達ってスマートよね。
「リズの作ったケーキ……(妄想は自主規制)」
「へぇ。これがクリスマスの食事か。凄いな」
…………ハルトさんは無視しておきましょう。
スイハの方は……うん、ピュアピュアな感じだわ。
皿を長方形の長机に並べて、全員がそれぞれ席に着く。
そして、グランは全員の顔を見渡して……スイレンさんを見た。
「んじゃ、開催の音頭は……(相手無しの)スイレンさんで」
なんか、悲しい言葉が隠れている気がするのだけど。
スイレンさんもなんとなく悟ったのかどこか遠い目をしたわ。
「………飲み物は持ったか?はい、乾杯(投げやり)‼︎」
『かんぱ〜い‼︎』
ご飯を食べて、皆ではしゃいで。
………………ウワバミらしいスイレンさんとスイハが酒飲み対決を始めて。
リズベットさんとハルトさんがピンクオーラを出し始めたり、アウラさんが可愛らしいピュアピュアオーラを出しながらスイハに甘えたり。
………ふふっ。前世でもこんな楽しいクリスマスを過ごしたこと、なかったわ。
「楽しいな、リジー」
「えぇ、楽しいわ」
また、来年もこんな風に馬鹿騒ぎしたいと思うわ。
その後ーーー。
聖夜の漢字違いの夜を過ごすことになったかどうかは、ご想像にお任せするわ。
リア充撲滅運動(実際に運動しておらず、独り身を嘆く会になっていた)と、「リア充という言葉は死語だよ」と言われたこと、「最近の男は料理ができないとモテないぞ‼︎」と小学生男子が言っていたことは実話です(笑)




