第34話 過去の話(1)『護衛依頼とブロッサム商会』
グラン目線‼︎
このお話なマジで蛇足的なお話なので、本筋と一切関係ありません。
ふざけていくのが、この物語だから許してください‼︎
よろしくね‼︎
まぁ、小さい頃から冒険者ギルドにお世話になってた俺らはまぁ、それなりに人脈ができていて。
特に、小さい内から特に気にかけてくれたのは冒険者パーティー《フォレスト》と言う人達だった。
熊みたいな厳ついガレスというおっさんと、たおやかな女性のモーラさん。
まさに美女と野獣って感じだったが、二人はご夫婦で。
俺らくらいの子供がいるから、心配して色々と世話を焼いてくれたんだ。
運が良いことに……二人は新人をカモにするような悪い奴じゃなくて。
よくメシ奢ってくれたし、冒険者の心得とかも教えてくれたし。
ゲーム知識があっても、実際に体験してみないと分からないこと。
それをガレスのおっさんとモーラさんが教えてくれた。
んで、俺達が十二歳くらいの頃の話だ。
二人の息子ガイと娘モアも冒険者になって、ソコソコのレベルになった頃……一つの依頼を持ってきた。
「なぁなぁ、グラン‼︎リジー‼︎この依頼、一緒に受けよーぜ‼︎」
厳つい顔のガイが持ってきたのは、商会連団(安全性の確保のため、各商会がまとまって行動する。連隊っていう方がピッタリか?)の護衛依頼。
ディングス王国から魔王領までの護衛を、大体一ヶ月くらいの依頼内容で……各商会の馬車がまとまって魔王領まで向かうらしい。
リジーはそれを見て、面倒そうな声を漏らした。
「……………えぇー?だるぅー……」
「でもさぁ?リジーちゃん達も護衛依頼受けないと、ランク昇級しないよ?」
兄貴に似ないゆるふわ系なモアの言う通り、Cランクから上になるには護衛依頼を一回クリアしておかなくちゃいけない。
だけど、俺達はCランク以上になる気がなかったからどうでも良かったんだ。
「俺らCランク以上になる気ないからな。拒否」
「えぇ⁉︎なんで⁉︎」
「Bランク以上になると指名依頼が入るじゃない?それが面倒なのよねぇ〜」
まぁ、分身魔法があるからいくら離れようが問題はないんだが……一応、王子と公爵令嬢だし。
俺らは自分達の好きなように冒険するのが好きな訳で。
冒険者ギルドで依頼を受けているのは、お小遣い稼ぎのためなんだよ。
だから、目立たずテキトーにいきたいんだよなぁ。
「なら、昇級試験を受けないでいればいいんじゃないかしら?」
「モーラさん」
後ろから声をかけてきたのは、たおやかな金髪の女性。
モーラさんはにっこりと笑って俺とリジーに告げる。
「試験を受けなければランクは上がらないし。試験受験条件だけクリアしている状態にしておけば、何かあった時に直ぐに上げられるでしょう?」
「…………モーラさん、本音は?」
「この子達だけじゃ心配なの。わたし達は、指名依頼が入ってるから……」
実は、出会ってから5年後くらいに知ったんだが……おっさんとモーラさんはAランク冒険者だったらしく……我が国でも有名な冒険者だった。
だが、二人の子供はまだCランク。
加えて、ランクの割には子供っぽいところがあるから心配なんだとか。
「なら、護衛依頼を受けさせなきゃいいんじゃないのかしら?」
「あら、リジーちゃん?冒険者は自己責任よ?依頼を受けると決めたのはガイ達なのだから、わたしが止める訳にはいかないわ」
………だけど、母親としては不安が残るってことか。
俺はリジーに質問した。
「どーする?」
「モーラさん達にはお世話になったし……確かに、ガイ達だけじゃ不安よねぇ。ガイは特攻決め込むし、モアはフレンドリーファイアするし」
「………………あぁ……」
俺はそれを言われて額に手を添える。
ガイは頭まで筋肉詰まってんのか?と言えるぐらい脳筋で。
何も考えずに特攻決め込む癖がある。
そして、モアの方はテンパったりするとフレンドリーファイアを決めてしまう。
魔法攻撃が敵ではなく、味方に当たるのだ。
モーラさん達の息子だからスペック自体は高いんだが……誰かがフォローしているやらないと、ヤバい。
いや、基本的には大丈夫なんだけどな?
暴走すると手に負えないってヤツだ。
そんな奴らがCランクとか大丈夫かと思うだろう?
こいつら、火力だけは一人前だからCランクになれたんだよ。
「…………仕方ないなぁ……後でなんか奢って下さい」
「まぁ、ありがとう‼︎リジーちゃん‼︎グラン君‼︎」
モーラさんに感謝されると同時に、ガイ達が受付カウンターに駆け出していた。
おい、テメェらのその暴走癖が心配されてんだぞ。
まぁ、こうして……俺とリジーは護衛依頼を受けることになった………。
*****
商会が連団を組むには利点が多い。
まず、大規模になればなるほど盗賊は襲いにくい。
まぁ、大きな盗賊団とかなら違うだろうけど……少人数の盗賊団に対して、襲う対象が多かったらやりづらいよな。
次に護衛依頼を出す時、安上がりで済む。
パーティーに払う金自体は変わらないが、護衛するパーティーが多くなるんだ。
例え、どこかの商会の荷馬車が襲われても連団の護衛をしている冒険者全員でなんとかしてくれる。
つまり、安全性が格段高い。
だから、同じ値段でも安全性の高い連団を組み……目的地に向かうんだとか。
まぁ、そんなこんなで。
俺達を含め集まったパーティーは5組。
5つの商会が連団を組むらしいから、1パーティーに一台の荷馬車って感じだな。
「初めまして、可愛らしい冒険者諸君‼︎ワタクシの名はブロッサム‼︎ブロッサム商会の麗しき商会長でございます‼︎ワタクシ達のモットーはラブ&ピース‼︎」
胸元に手でハートを作ってから、左手を腰、右手を目元にピースサインで当て仁王立ちウィンク。
いや、なんだよ?そのポーズ。
ラブ&ピースか。
だから、ハートマークとピースサイン?
「ちなみに、このポーズはワタクシの友人と考えたポーズでっす‼︎似てるポーズがあったらごめんなさい‼︎」
「いや、そんなの聞いてないわよ」
リジーはツッコミを入れるが、彼女はガンスルーした。
おい、結構メンタル強いな?
「よろしくな‼︎オレはガイだ‼︎」
「モアだよ〜」
「リジー……です」
「グランだ」
……………俺達が担当することになったのは、ブロッサム商会という……なんともまぁ、奇天烈な格好の姉さんの商会だった。
ブロッサム言うだけあって、チェリー色の髪に豪奢な赤いドレス。
何故、ドレス。
絶対、旅する装備じゃねぇだろ。
「そんなドレスで旅できるの?」
うわぁ、流石リジーさん。
ぶっこんだぁ……。
ちなみに、俺らは冒険者らしい格好(俺は軽装タイプの剣士っぽい服、リジーは魔女っぽいローブ。ガイは重戦士、モアも魔女っぽいローブ)をしている。
「あ、ご安心を‼︎脱ぎます‼︎」
「「脱ぐの⁉︎」」
「こんな格好で旅できる訳ないじゃないですか‼︎」
ブロッサムさんはその場で、スカートの裾を掴むとベリッと引っ剥がした。
その下には普通の旅装束を着ていて。
…………え?なんでドレス着てた?
「ではでは、よろしくお願いしますね‼︎可愛らしい冒険者諸君‼︎」
バチコーンッ☆とウィンクするブロッサムさん。
…………凄いな、この人。
普通なら俺らに悪態つくぐらいするかと思ったのに。
この商会以外の護衛パーティーは皆、二十代〜三十代くらいの大人達だ。
だけど、俺らだけ明らかに若い。
どこの商会を護衛するかは完全に、クジだったんだけど……見た目からナメられる俺らが護衛になったのに、文句の一つもない。
「………………ふふふっ、見た目で判断しないのはいい人ね?」
「リジーも思ったか?」
「えぇ。ちょっとくらい、本気で護衛してあげてもいいと思うくらいにはね」
こうして、俺達の護衛が始まった………。




