第21話 まさかのストーカー事件はたった一晩で解決
長く間隔が空いてすみません‼︎
よろしくどうぞ‼︎
目が醒める。
少しの違和感。
でも、それは直ぐに消える。
「さぁ、お姉様を見守らなくちゃ‼︎」
邪魔をしないでと言われたけど、優しいフリージアお姉様を見守りたいんだもの‼︎
だから、私は影からお二人を見守ってーー。
……ジジッ……。
あれ……?
ノイズのような音と共に意識が切り替わる。
身体が熱い……いや、違う。
痛いっっ‼︎
「なっ……ガハッ……」
ぼたぼたと私の身体から血が垂れる。
なんで?どうして?
いきなり何が……。
目の前には血に濡れたナイフを持つフリージアお姉様。
その目は酷く虚ろで。
そして、血迷っているようで。
フリージアお姉様は、笑う。
「貴女が悪いの。私につきまとうから。止めてって言っても止めてくれないから。貴女が悪いのよ?貴女が、貴女が貴女が……」
狂ったように笑うお姉様。
何がーー。
……ジジッ……。
ノイズのような音と共に目が醒める。
勢いよく起き上がると、そこはいつもの私の部屋。
身体を確認しても刺し傷はない。
でも、身体の違和感が拭えなくて。
「…………さっきの……夢……?」
そう呟いたから〝何か〟が納得したようにストンッと胸に落ちた。
あぁ、嫌な夢だった。
私は首を振り、意識を切り替える。
「さぁ、今日からフリージアお姉様を見守らなーー」
……ジジジッ……。
「君が悪いんだよ、聖女殿」
ヒュー……ヒュー……。
呼吸もままならない状態で空を見上げる。
そこには、優しい顔で微笑むグランヒルト様。
彼は私の喉を掻き斬ったというのに、とても優しい顔をしている。
「君が俺のリジーを不安にさせるから。影からずっとずっとずっと、リジーを監視するから」
違う、監視なんかじゃない。
ただフリージアお姉様を見守っていただけ……。
「リジーを不安がらせるもの。邪魔するもの。全部敵だ。俺が排除する。例え、聖女であろうと……お前の存在はいてもいなくても変わらない」
ゆっくりと持ち上げられる剣。
そしてーーー。
………ジジジッ……。
「っっっっ⁉︎」
勢いよく目が醒める。
グランヒルト様に殺された。
剣を突き立てられた。
でも、私は生きている。
でも、身体はあの痛みを覚えている。
一体、何が起きてーー。
ジジジッ。
フリージアお姉様に燃やされた。
ジジジッ。
グランヒルト様に圧殺された。
ジジジッ……ジジジッ……。
狂ったお姉様が国ごと殺した。
ジジジッ…ジジジジジジッ…………。
何度も何度も何度も何度も殺される。
それはフリージアお姉様だったり、グランヒルト様だったり……何の因果も関係ないモノだったり、二人の手による策略だったり。
殺された、殺され続けた。
その理由は私が〝フリージアお姉様に執着したから〟。
今なら分かる。
私の見守りは……二人の言う通り、監視だった。
ブスッ………。
「……………あ、……れ?」
目の前には血塗れのフリージアお姉様。
そして、私の手には血塗れのナイフ。
目の前でグランヒルト様が、お姉様を抱き上げて泣き叫ぶ。
そして、私を睨む。
「どうしてっ‼︎こんなことをしたっ‼︎」
どうして?
違う、お姉様が私を殺すから。
何度も何度も殺すから。
殺される前に、殺しただけ。
「リジーはっ‼︎君に何もしてないのにっっ‼︎君がリジーを苦しめていたのにっっ‼︎」
………フリージアお姉様は、何もしていない?
何度も殺してたじゃない。
今回も………。
違う。
殺されてたのは夢の中。
全部、全部夢だった。
つまり、私は………。
現実の、フリージアお姉様を……殺した?
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっっ‼︎」
『まぁ、こんなもんか』
グルリッ……。
世界が回る。
そして、目が醒める。
「………………んっ……ぅ……」
爽やかな朝日が眩しいけれど、私の身体は寝汗でびっしょりで。
嫌な気分になりながら、起き上がる。
「……………なんか……嫌な夢を見ていた気がする……」
ズキズキと痛む頭を押さえながら、シャワーを浴びて、着替えて、食堂で朝食を食べる。
それぐらいになった頃には、いつもの私に戻っていて。
鞄を持って、女子寮を出る。
女子寮の前にはいつものように、フリージアお姉様とグランヒルト様がいてーー。
ジジジジジジッ。
身体が震える。
恐怖を覚える。
理由は分からない。
何も覚えてないけど、悪い夢でソレを見た気がする。
関わっちゃダメだと、本能が警告音を鳴らす。
グランヒルト様の視線がこちらに気づいて、優しく微笑まれる。
その笑顔はどこかで見た笑顔と同じ。
血に染まった視界に映ったあのーー。
「やぁ、聖女。おはよう」
「お……おはよ、う……ございます……失礼致します‼︎」
ダメだ、だめだ、駄目だ。
フリージア様とグランヒルト様に関わっちゃいけない。
私はその場から逃げるように、校舎に走った。
*****
「……………あら…?」
私は目を見開いて固まる。
だって、またあの子が付いてくるかと思ったんだもの。
なのに、あの子はまるで怯えるように逃げて行って。
一言で言えば、拍子抜け?ってヤツかしら。
「…………一体、何が……?」
「上手くいったみたいだ」
隣に立つグランが楽しそうに笑う。
首を傾げると、私の腰を抱きながら歩き出したわ。
「ちょっと時空魔法を使いまくりまして」
「…………へ?」
「未来に起こるだろう可能性(不幸ver)を沢山、夢の中で聖女に見せてやったんだ。まぁ、あんまりにもグロテスクだったから、最恐最悪な嫌な夢を見たって曖昧にしたけど」
「…………はぁ。つまり?」
グランはニヤリと悪い顔で笑う。
その顔は爽やかな顔なのに、魔王のような邪悪さを放っていたわ。
「本能的に俺達を忌避するようにしたんだよ」
………………本能的に忌避するようにした。
それはつまり……私はストーキング……されない?
「どうだ?これでもう不安に思うことはないだろう?」
優しい顔で笑うグラン。
グランが、リリィの対処をしてくれたの?
ストーカーに怯える私のために?
「グランっ……‼︎」
私は思わず彼の首に抱きついて、その唇にキスをする。
だって、それだけ嬉しかったんだもの。
私の不安をちゃんと考えてくれて、私を守ろうと行動してくれるグランが愛おしくて仕方ない。
「グラン、大好き‼︎」
「俺も大好きだよ、リジー」
こうして、まさかのストーカー事件はたった一晩で解決したわ。
流石、チート能力様々ね。
いや、この場合はグランの策略様々かしら?
まぁ、とにかく。
グランのおかげね‼︎もう、本当にこの人が私の婚約者でよかったわ‼︎




