第18.5話 裏側では、中々にシリアスな展開です。
はい、皆さんこんにちは‼︎
何故か2日連続更新です‼︎
そして、無駄にシリアス……。
今後もよろしくどうぞ‼︎
さて……久しぶりの俺とリジーの模擬戦。
なら、これを利用しない手はないよなぁ。
「遅いぞ、〝シーカー〟」
誰もいなくなった生徒会室。
しかし、俺のことに反応して……ゆらりと影から人が現れる。
全身を黒い服で覆い、黒い仮面をつけた者。
そいつは思いっきり肩を竦めた。
「今回こそはバレないと思ってんですけどねぇ」
「お前ごときに気づかないはずがないだろ」
こいつのあだ名は潜む者。
一言で言えば、俺専属の影……諜報員……ということになっている。
「はい、今回の資料です」
「あぁ」
こいつにはこの国に蔓延る不正を調査してもらっている。
後は側妃側の動向もだな。
「ふぅん……」
俺は資料に目を通す。
あぁ……相変わらず側妃は派手に動いているらしいな。
この感じで行くと……。
「なんで陛下にご報告しないんですか?」
シーカーは不思議そうな顔で聞いてくる。
俺はチラリと奴に視線を向けて、ワザとらしく問うた。
「何を、だ?」
「側妃達はクーデターを起こすつもりですよ?この情報を一早く手にしているのはグランヒルト殿下です。なのに……」
「そんなの当たり前だろ」
俺は全ての資料を読み終えて、誰にも見られることがない亜空間へとその資料を放り込む。
そして、シーカーの質問に答える。
「俺が父上達を助ける義理はないからだ」
「……………え?」
シーカーは驚いたように固まるが、何もおかしいことはない。
確かに不自由ない生活をさせてもらった。
だけど、王族として必要最低限の金しか使わないようにしていたし……その他雑費は、俺が冒険者ギルドで稼いだ金でヤリクリしている。
それに……俺は変わらず命を狙われ続けていた。
相手は側妃が雇った暗殺者だと分かっているが、面倒なことこの上ない。
時にはハニトラもどきをされることだってある。
俺が父上達に伝えてないのがいけないのかもしれないが……自分の王宮内で起きていることぐらい把握して、俺を助けてくれたって良かったはずだ。
だが、俺は俺の力で自分を守るしかなかった。
幼い頃から、自分でどうにかするしかなかった。
まぁ……俺にチート能力があったから、生きているが……もしなかったら俺は死んでいただろう。
だから、父上達が俺を救ってくれなかった以上、俺も父上達を救う義理はない。
それに……これぐらいの情報、国の諜報員でもその内辿り着くだろうしな。
「でも……このクーデターでは、グランヒルト様が殺されるかもしれないんですよ⁉︎」
「それはないな」
「ですがっ……」
「俺を殺せるのはリジーだけだ」
そう……物理的にも、精神的にも。
可能性があるのはリジーだけだ。
だって、俺達は既に化物並みの力を持っているんだから。
「クッ……クーデターが起きた所為で民達が苦しむ羽目になったらどうするんですか‼︎」
「そうなる前には止めるが……お前は一体、何を言ってるんだ?」
「それはこちらの台詞です‼︎グランヒルト様は一体、何を言っているんですか‼︎」
シーカーがバンッ‼︎とテーブルを叩く。
…………あぁ……リジーは俺の考えも分かってくれるから、あまり気にしてなかったが……普通の人間はそうはいかないんだったな。
俺は分かりやすいように説明してやる。
「はっきり言おう。俺は父上達に興味がない。例え、どうなろうと構わない」
「……………は?」
「薄情、なのかもしれないが……まぁ、幼い頃から何度も殺されかけて。でも父上達は俺を助けてくれなかったからな。流石に親子の情も命がかかった事態を前には消え去るんじゃないの?」
それに、父上は俺を不気味な存在だと思っているようだしな。
俺が持っている力……成熟した精神。
俺にいつ殺されるのかと冷や冷やしてるんじゃないだろうか。
母上は俺を産んだからかそこまでは思っていないようだが……父上の中で俺は仮想敵になっていると思う。
流石に……親にそんな風に思われたら、子だって親に親しくしようなんかしないだろ。
「表面上は普通の親子みたいに接してるが……俺がこの世界で信用してるのはリジーだけだ」
同じ転生者で、俺の最愛。
同じ化物じみた力を持つ少女。
きっと、永遠に俺が信用できるのはリジーだけなんだろうな。
「王族としてやるべきことはやるが……クーデターを起こす首謀者は父上の側妃だ。それぐらいの手綱は握っておいてもらわないとな。それができないなら……父上の責任だろう。だから、俺はこの件を父上に報告しない。これは父上が気づかなくてはいけない。実際にクーデターが起こり、父上達が死のうが構わない」
「……………………」
「クーデターぐらいなら、直ぐに止められるからな。だから、起きた後で動いたって問題ないんだ。国民に被害が出る前に止められる」
そう……クーデターを止めることも、事前に起こさないようにすることも簡単なんだ。
だけど、俺はまだ国王じゃない。
これをどうにかするのは、父上の仕事だ。
「もしリジーに被害が出そうなら早々に片付けるが……それまでは傍観で良いだろう。俺は自分とリジーに被害がない限りは側妃達が何をしようと気にしない」
俺がこうして不正の証拠などを集めているのは、父上がいなくなった時の後始末のために過ぎない。
武力で全貴族を脅すことだってできる。
だが、恐怖政治というのは軋轢を生みかねない。
だから、先にピックアップしておいて……その時に迅速に動けるように準備しておくんだ。
あぁ……でも。
俺達の世代には……将来のために俺の力を見せるのは必要か。
力ない国王だと思われたら、大人になってから何を企むか分からないからな。
………丁度、模擬戦もある訳だし。
タイミングが良かったかもな。
「……………グランヒルト様は……異常ですね」
シーカーはポツリと呟く。
俺はそれを聞いて苦笑した。
「………知らなかったのか?お前が仕えているのは、化物だぞ?」
「……………失礼します」
シーカーはゆっくりと頭を下げて、影へと消え行こうとする。
俺はそれを見ながら、微笑んだ。
「側妃様によろしくな」
「っっっ⁉︎」
とぷんっ……。
動揺した気配を残して、シーカーはその場から消え去る。
あいつも馬鹿だなぁ……俺が気づいていないと思うなんて。
俺への情報操作のために送られた諜報員。
そして、俺の情報を側妃達へと送るために仕えていた諜報員。
さて……俺が与えてやった、俺が化物だという曖昧な情報で、側妃達はどう動くかな。
「………まぁ……リジーに何かしようとしたら、容赦なく潰せばいいか」
俺はそう呟いて、自室へと転移したーー。




