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捨てられ令嬢は、異能の眼を持つ魔術師になる。私、溺愛されているみたいですよ?  作者: miy


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76話



“辺境の地を救った”として、皇帝陛下から褒美にいただいたお邸を…私は今日初めて見ることになった。



侯爵家のお邸より大きいわけではないけれど、予想通り…外観の造りからして()()


これは、やんごとなきお方の住まいだと主張してない?



「…凄いお邸…」



立派過ぎて気が引けるわ。…ここに2人で…?



「昔、宮殿から出て普通の邸に住むことを望んだ皇族がいらしたんだ…そのお方のためだけに建てたと聞いたよ」



お邸の場所が宮殿に近いのは、そのせいなのかしら。



()()…?」



私の思う普通とは全く違うみたい。



「中を一通り見るだけでもまぁまぁ大変だぞ。とりあえず、結婚式の後にすぐ住めるようにはしてある」


「そうだったの?フェルが手を入れてくれていたのね」


「あぁ、先に使用人を10名雇い入れて準備をさせているところだ。正直、使う部屋は限られているからな。


先に言っておくが…調度品などはできる限り取り除いた後だぞ。これ以上は、多分もう引き取っては貰えない。

皇帝陛下も存外頑固なところがおありだ」



邸内も高価な品々で埋まっていそうな予感はしていた。



今日は新居となるお邸の見学、最低限必要な使用人を雇うための面接など…やるべきことがいくつかある。




─────────




「この地区一帯の保安、邸周りの警備は、我々第三部隊が担当しております」



皇帝陛下は、警備付きのお邸を無料でくださったらしい。

宮殿に近いし、元皇族所有ということで当然なのかな?



「私は部隊長のエドウィン、こちらは副部隊長のラッセルです。以後、お見知りおきください」


「私は、フェルナンド…そして…妻のイシスだ。

この地域の警備を長くされてきたと聞いている。これからも変わらず、よろしく頼む」


「畏まりました。辺境の地でのご活躍はお聞きいたしました。帝国を守ってくださったお2人のために…我々も最善を尽くします」



騎士様って皆カッコいいのね。礼儀正しいし、騎士服ってやっぱり素敵。

私がジッと見つめていたら…騎士のお2人が恥ずかしそうに頬を染めてしまったわ。


フェルナンド様が…コホンと…咳払いをする。



「あ…よろしくお願いいたします!頼りにしております」


「「…はっ!…」」




──────────




フェルナンド様が使用人たちの面接をしている間、私は邸内を見て回っていた。

雇う使用人については、オーラの視えるフェルナンド様に任せておけば何の心配もないもの。


私の側にはラッセル様が付いてくださっています。


エドウィン様とラッセル様は外の警備が担当なのに、今日は私たちに付き添うようにと命を受けたのです。皇帝陛下に全てを報告する必要があるのだとか…お気の毒に。




「奥様は魔術師で…飛龍を討伐されたそうですね…?」


「えぇ。でも、倒した飛龍は1体よ。それまで多くの飛龍や魔物を討伐し、帝国を守ってこられたのは辺境伯軍の皆様方ですわ。


今回、私たちは運良く解決ができただけのこと…このように立派なお邸をいただくなんて…申し訳ないくらいなの」


「実は、私の従兄弟が辺境伯軍におります。

毎日、絶望しかないと…そう言っておりました。そんな環境を、奥様が変えてくださったのだと聞いておりますよ」



『お邸はいただいてもいいと思います』そう言って、ラッセル様は笑っていた。



結婚式が終わって落ち着いたら、辺境の地で使う魔導具の質を上げる方法を…本格的に考えないといけないわね。




──────────




フェルナンド様が言っていた通り、使用するであろう部屋は全て整えられていた。

夫婦の寝室はまだ少し手を入れている最中だとか…残念ながら見ることはできなかった。


目が飛び出るほど高級な絵画や美術品がさり気なく飾られている部屋以外は、落ち着いて過ごせそう。


高価なお品はある程度を一部屋に集めて…滅多なことがないように、魔術を施して保管しておこうと思う。




今日の面接で新たに使用人5名の雇用が決まり、総勢15名となった。挨拶を交わすだけでも私には一苦労。


足りない人材は追々…ということだけれど、魔術を使えば大体のことはできる。特に困ることはないのかも?




「イシスの側仕えは、侯爵家から3人のメイドがそのままこちらへ移って来る。

メイド長を誰にするかは少し考えよう。当分の間は、アリエルが手伝ってくれるそうだから」



アリエルさんは侯爵家の大事な()()()メイド長ですものね、一時的にはお願いできてもずっとは無理ということ。





機械人形(オートマタ)・アリエル1号とか…作れたらいいのに。










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