表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨てられ令嬢は、異能の眼を持つ魔術師になる。私、溺愛されているみたいですよ?  作者: miy


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/100

71話



「ナターリエの部屋は、こちらですわ」



お部屋の中へと入るのは…公爵夫人と私の2人。


公爵様とフェルナンド様は、お部屋の前でお待ちになるとのこと。




『ご令嬢は体調が優れないでしょう。私は外におります』


男性である自分は入室を控えるとフェルナンド様が申し出たところ…公爵様も賛同なさったのです。




お部屋に一歩入った私は、宝石眼で部屋中を素早く観察。

すぐにフェルナンド様の元へと戻り…()()()()をこっそりお願いしておきました。





─────────





「ナターリエ、具合はどう?こちらは、フェルナンド・ランチェスター侯爵令息のご夫人よ。


あぁ…ダリア、いつもありがとう。あなたはしばらく下がっていていいわ」


「はい、奥様。失礼いたします」



側付きの侍女が頭を下げ、静かに出て行く。



「このような状態で…ごめんなさい。ナターリエ・グレイツェルですわ」


「グレイツェル公爵令嬢…はじめまして。私のことは…どうぞイシスとお呼びください」


「私のことも、ナターリエでよろしくてよ」



ナターリエ様はベットの上で息苦しそうな様子なのに…ハキハキと話そうとする姿が痛々しい。



「ナターリエ様、私の顔は見えていらっしゃいますか?」


「え?…えぇ…何とか…見えているわ」



ナターリエ様は目をパチパチさせ…私を見ようとする。目線がしっかりと合った。





お可哀そうに。私は、そっとナターリエ様の手を握る。


体調がよくならない…つまり、どこからか新たな毒を盛られているということよね。

効かない解毒薬は、別の何かにすり替わってしまっているのかも…。


私には、ナターリエ様の体内の毒素がハッキリと()()ている。





「聖魔力による治療を受けられた後で…本当によかったですわ。少し目を閉じていてくださいますか?」


「…目を…閉じればいいのね?」



神殿で治療を受けたことで、一度完全に解毒されている。

まだ毒が入ったばかりのこの状態なら…私でも何とかできそうだわ。


無毒化(アンチドーテ)


毒素を捉えた私の金色の瞳が、パッと閃光を放つ。



「キャッ!」



光りに驚いたのは公爵夫人だった。



これは大失態!!

私ったら気が利かず…公爵夫人、申し訳ございません。





──────────





「え…?…苦しさがなくなったわ…私、治ったの?」


「体内の毒は全て無毒化いたしました。もうご心配はいりませんわ。状態異常を回復させる術もかけておきますね」


「ナターリエ!…よかったわ…夫人、ありがとうございます!あっ、あなた…あなた!」



慌ててお部屋を出ようとする公爵夫人を…引き止める。



「公爵夫人、公爵閣下はフェルナンド様とご一緒に少し席を外されていると思いますわ。

…どうぞ…もう少しナターリエ様のお側に…」



私はニッコリと公爵夫人に微笑みかけ、ベット脇の椅子へと誘導する。



「え?………そう、ね…そうするわ…」



公爵夫人はナターリエ様の手をそっと握る。



「ナターリエ…あなたの苦しみに気付かなくて…許して」


「お母様…ごめんなさい。ご心配をおかけいたしました。


イシス様、助けてくださってありがとうございます。あなたが飛龍を倒した魔術師というのは、本当でしたのね」



顔色のよくなったナターリエ様を見て、私もホッとする。



「ほんの少しばかり…魔術が得意なだけですわ。


では…美しいナターリエ様の髪もお身体も、まとめて綺麗にいたしましょうか?」



私は浄化の術を施す。少し派手目に…パアッ!と。



「わっ…す…すごいわ!光った?…キャッ!え?風?!」



魔術を初めて目の前で見て、少女のように興奮するナターリエ様。大きく口を開けて驚いたり笑ったり…とても表情が豊か。



私が()()侯爵夫人の記憶にあるナターリエ様は、笑顔を見せない冷たい印象のご令嬢だった。



どうして…?…こんなに明るく笑える方なのに。



「ナターリエ様は、今みたいに笑顔のほうが…もっとずっと素敵なはずですわ」


「…え…?」


「えぇ、そう…そうよ…ナターリエ。小さいころは庭を走り回って、あなたは…活発でよく笑う子だったわ」


「…お母様…」


「…そうだったな…。将来皇太子妃になれるのか?と…私たちが心配したくらいにお転婆だったんだぞ?」


「お父様っ!」



いつの間にか、公爵様が側に来ていらっしゃいました。


公爵様は私に深く頭を下げた後、小さく頷く。



「では…私はこれで失礼をいたしますわ。

ナターリエ様、どうぞお大事になさってくださいませ。


次は…お茶会で是非お会いしたいですわ!」








※ここまでお読み頂きましてありがとうございます!


予想以上に多くの方に読んでいただけて大変嬉しく思っております。心より感謝申し上げます。(初心者で扱いが分からず…読んで下さっている方の数やブクマ、評価を頂けていることに気付くのが遅くなりました)


お礼を申し上げるのが遅くなり、申し訳ありません。最後まで読んでいただけますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ