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捨てられ令嬢は、異能の眼を持つ魔術師になる。私、溺愛されているみたいですよ?  作者: miy


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64話(フェルナンドSide)



「…イシス・フォークレア…でございます」



イシスは顔を上げ…名を名乗ると同時に魔力を放出した。


いきなり何をするのか?!と、内心驚いてはいたが…私は表情に出さないようにしていた。



魔力を最小限に抑えていた能力者が、()()その力を解放するとどうなるか?

日ごろ魔力を感じない者ですら、周りの空気が変わったことに気付く。



側妃殿下と第二皇子ユーリス殿下は隣同士に座っていたが、ほどなくブルブルと震え出した。


皇后陛下は魔力をお持ちであるから、それ程のダメージはないようだ。

皇后陛下の子である…第一皇子エリック殿下、第三皇子クリストファー殿下も同様。


皇帝陛下のお顔の色はどんどん悪くなっていく…これは気のせいではないな。大丈夫か?



イシスは宝石眼を爛々と光らせていた。



こんな時でも、美しいその姿に見惚れてぼんやりとしている私は…相当イシスにのめり込んでいるのだと思う。

 

皇帝陛下をこれほどまでに威圧する理由は何なのか?

気になりつつも…私はただ黙って静観することにした。



「…ラ…ランチェスター侯爵令息、フォークレア子爵令嬢。本当に…よくやってくれた。帝国を代表して…私から礼を言う」



皇帝陛下から『深く感謝している』との言葉を受け、私とイシスは改めて礼をした。





側妃殿下とユーリス殿下は、親子揃っていわゆる凡人だ。

モロに魔力のダメージを受けたようで…簡単な挨拶を交わしただけで、怯えて逃げるように退室してしまった。


感情を抑え表情に出さないことは貴族の基本。

皇族は特に厳しく訓練を受けるというから、オーラの視える私にとっては最も楽な相手なわけだが…この凡人2人は違うな。



皇后陛下はとても丁寧に接してくださった。





──────────





その後、私たちは応接の間へと案内されたのだが…正直、今すぐにでも帰りたい。



「フェルナンド!大活躍だったそうだなっ」


「殿下…お元気でしたか?」



急に羽目を外したクリストファー殿下が、私の背中をバシッと勢いよく叩いてくる。


この顔を見るのも…約3ヶ月振りか。



「戻って来てくれたなんて、私はとてもうれしいぞ」


「はい。何とか…帝都には」


「そうか、また一緒にいられるな!」



ん…?…また一緒…とは?

側近に戻るという話など、全く聞いてはいない。


私は皇帝陛下のお顔をチラリと見た。



「今後も、クリストファーを支えてやってくれるか?」


「…承りました…」



オーラの感じからすれば…皇帝陛下はご納得されていないな。クリストファー殿下に押し切られたというところか。



「イシス嬢も元気みたいだね。君はいろいろとスゴイな!さっきの挨拶もさ…アハハ」


「殿下、お久しぶりですわ。今日は緊張して…()()魔力が溢れ出てしまいましたの…」


()()…?…そうなのか。君の魔力は私にはかなり刺激的だったなぁ」


「ふふっ…まだ()()()()、ですけれどね…」



─ガチャン!─



皇帝陛下が紅茶のカップを派手に落とした。メイドが慌てて駆け寄って来る。

 


「…いかんな…。少し疲れているようだ…」


「父上、後は…私とクリストファーで」


「あぁ…エリック、では後を頼めるか…。

ランチェスター侯爵令息、フォークレア子爵令嬢…今日はここで失礼をする。明日は婚姻契約の儀式だと聞いている…本当に…おめでとう。忙しい時に申し訳なかった」


「はい。ありがとうございます、陛下」


「本日はありがとうございました、陛下」



私はイシスと並んで皇帝陛下を見送った。






「クリストファーは…フォークレア子爵令嬢と顔見知りなのか?」


「あぁ…兄上は知らないよね。一緒に街へ行ったり、パーティーの時には踊ったりしたんだよ」



エリック殿下は、いつも硬い表情なのが少し気にはなるが…聡明で礼儀正しく、とても真面目だ。


クリストファー殿下と足して2で割ると丁度いいのにな。


そんなエリック殿下がほんのわずかに頬を染め…イシスに見惚れていたのが気になった。

まぁ、誰もが注目してしまうのが()()イシスなのだから…そこは諦めるしかないか。



「フォークレア子爵令嬢、私も…あなたをイシス嬢と呼んでもいいだろうか?」



は?…何…?


エリック殿下は、婚約者のナターリエ嬢の名を呼ぶのですら婚約から半年後だったと聞いたが…?!



「勿論ですわ、殿下。…そう呼んでいただけるのは…今日まで、ではございますが…」


「……あ……明日、婚姻のご契約をなさるのでしたね」





いいぞ、イシス。最っ高の切り返しだ。








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