表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨てられ令嬢は、異能の眼を持つ魔術師になる。私、溺愛されているみたいですよ?  作者: miy


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/100

8話



「あの……もう……」



大丈夫です…と、言いたい。



フェルナンド様は馬車に乗り込んだ…けれど、私を膝に抱え上げたまま、涼しいお顔で座っている。


こんなことは人生初で…めちゃくちゃ恥ずかしい。



「前も思ったが、君は軽過ぎる。まるで羽を抱いているみたいだ」


「へ?羽?」



何か貴族っぽい言い回し。羽なわけないのに。



「やはり、放ってはおけない」


「いえ、私は平気ですから。それに…これでもかなり太ったんですけど…」



そんなことより、馬車はどこへ向かっていますか?

いや、先ずは膝から下ろして欲しい。



「…何?…太った…?…」



あ、そんなに強く抱きしめないでー!

コートに包まれていても油断禁物なんです!



「よく生きて来れたな。これからは私が側にいる…心配はいらない」


「兄弟子さま。話が全く通じていない気がします」



今の暮らしで十分だと申し上げたはずですよ?

常識ある人だと思ったんだけど…私の勘違いかな?



「君に言いたいことは山ほどあるが…とりあえず、邸でゆっくり過ごして欲しい」



いやいや、お皿洗いのお仕事があるんです。無理です、これは譲れません。


この馬車、100%ランチェスター侯爵家に向かっているじゃない。何とかしないと!



「あの!」


「少し…休むといい」




────────




目が覚めた時、私は白いレースの天蓋付き…ふっかふかベッドに寝ていた。



「あれ?」



ガバッ!と勢いよく起き上がる。



何があった?思い出せ私。

確か、術が解けてから馬車に乗って…寝た?いや、違う…眠らされた?


柔らかな素材の寝間着を着ていることに気付く…えぇ?!一体どうなってるの?

ベッドサイドには、ポツンと目薬が置かれていた。


变化の術も解けてしまっていて…今の私の髪は黒色だ。

とりあえず、目薬だけはさしておこう…かな。



「起きたか?」



フェルナンド様が静かに部屋へ入ってきた。

ゆっくりとした動作でベッドサイドのソファーに座ると…变化の術が解けた私の顔をジッと眺める。


目薬を握りしめたまま戸惑っている私と、時が止まったかのように微動だにしないフェルナンド様…。



これ、どうすればいいの?



「漆黒の髪。やっと…君の本来の姿を目にすることができたよ、イルシス嬢」


「……………」


「ここは侯爵家の邸だ、そう警戒しないでくれ。


そうだな…私は君の異能について知っているから、私のことも教えようか」


「いえ、別に…その必要はありません…」



それを知ったところで、私には何の関係もない。



「私はマナや魔力の動き…“オーラ”が視える異能を持っているんだ。

だから…感情もある程度は読めるし、君が目覚めたことにもすぐに気が付く」


「…視えるんですか…」


「そう。視たくなくてもね…ある程度の範囲は視える」



─あぁ、なるほど─

 



フェルナンド様も異能を持つ特殊な存在。



私の気持ちが()()()()なんだなと理解した。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ