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捨てられ令嬢は、異能の眼を持つ魔術師になる。私、溺愛されているみたいですよ?  作者: miy


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60話



魔導ゲート前は、辺境伯軍で埋め尽くされていた。



「では…皆様、お世話になりました!」


「「「 イシス様~! 」」」



皆が私の名を呼んだり、手を振ったりしてくれる。


辺境伯様とジェンキンス様にお城でお別れをした後、ローウェン様と辺境伯軍の選抜隊はわざわざここまでお見送りに来てくれた。



「何かあれば、いつでも呼んでください。ローウェン殿、どうか…お元気で!」


「本当にありがとうございました、フェルナンド殿。お似合いのお2人です…お幸せに」



ローウェン様とフェルナンド様はガッチリと固い握手を交わしていた。



「辺境伯軍の皆様方、世話になった!」



私たちは帝都へ…ランチェスター侯爵家へと帰った。





──────────





「「「「イシス!お帰り!」」」」


「侯爵様、アデリーナ様、アンディ兄様、カイラ姉様~」



私は4人の中へと飛び込んで行った。

皆が私の頬にたくさんキスをして出迎えてくれた。


カイラ様のお腹は、かなり大きくなっていてビックリ!赤ちゃんがすくすくと育ってくれていてうれしいな。





    ♢


「ふむ、3ヶ月で…皆から忘れられてしまったのかな?」



ポツンと…フェルナンド様が1人エントランスホールで佇んでいる。


    ♢


「ハハッ…フェルナンド、ふて腐れるな。お帰り…辺境の地でよくやった!我が息子よ」


「父上、ただ今戻りました。別に…ふて腐れてなどおりません。皆イシスが好きなので、仕方がありませんね」


侯爵様にバシバシ!と肩を激しく打たれるフェルナンド様。

 

    ♢


「フェルナンド!イシスとの婚約、結婚までよく漕ぎ着けたわ。それでこそ私の息子っ!」


「母上、褒めるところは…そこなのですか?」



フェルナンド様の頬に“お帰り”と、キスをするアデリーナ様。


    ♢


「フェルナンド、お帰り。よくやったな。イシスのお陰で弟がヘタレにならず大活躍と聞いた。兄として、とてもうれしいよ」


「兄上、あまり…褒めてないですよね?」



ハハハと笑うアンドリュー様。目が素だわ。


    ♢


「フェル、お帰り。待っていたわよ」


「義姉上、もう生まれそうですね?」


「フフッ…『あなたとイシスがどんな()()()()()()をしていたのか…後でいっぱい聞かせてね』

ビックリして生まれちゃったら…どうしよう~」


「あっ…義姉上…!…止めてくださいっ!」


    ♢


フェルナンド様ったら、カイラ様とコソコソ話?どうしたのかしら、真っ赤になって。





──────────





「明後日の婚姻契約の準備は済んでいる。疲れているだろうが…明日、謁見があるぞ」


「…っ!…明日?…こんな時になぜですか?」


「お前()()は、約3ヶ月でド偉いことをやってのけたんだ。呼び出されもするだろう?」


「え…侯爵様、…私も?…行くのですか?」



そう言った瞬間、皆が私に注目した。…あら?…



「イシス、呼ばれないと思っていたのか?」



アンドリュー様が不思議そうに聞いてくる。



「あ…私は…その…頼まれて行っていたわけではありませんでしたので。皇命を受けたのも、責任を持って無事にやり遂げたのも、全てフェルナンド様ですよね?」


「「「「……………」」」」



フェルナンド様が私の隣でクスリと笑う。



「イシスは…多くの偉業を成し遂げたよ」


「それは、辺境の地を救うというフェルのお役目のためにお手伝いしただけのことだわ。

ほら、上官は当たり前のように部下を使うでしょう?私の能力を使うことも…それと同じよ?」



思っていることをフェルナンド様に話しても『君はやることが桁違いだからな』と、優しく頭を撫でられる。



「「「「…うーん…」」」」



侯爵様たちも困り顔。…むむっ?どうすればいいの?…


私は、自分の我儘で勝手にフェルナンド様に引っ付いて行ってしまった()()()ですよ?


偶々上手くいって解決できたので…もしや結果オーライ?



「まぁ…よい。無事に両想いの熱々カップルに仕上がっているようで安心した、ガハハ。


とにかく、陛下がお前たちとの面会を急に求めてきた。陛下と皇族方が揃って出迎えるという話だからな…これは断れんぞ、イシス」





えぇ?…嘘でしょう…?









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