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捨てられ令嬢は、異能の眼を持つ魔術師になる。私、溺愛されているみたいですよ?  作者: miy


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42話



飛龍と魔物の生態についてやっと調べ終わった。



辺境の地にやって来たものの…討伐対象についての知識がゼロ。

これではお役に立てない…と、私なりに全力で調べ始めた。


眼はいいから…脳がついてくるかどうか?よね。





────────





辺境伯様に書物をお借りするついでに、飛龍の襲来について聞いてみた。



飛龍は住みよい場所を求めて長距離移動をする。陸地のない海上の飛来経路から外れた飛龍が、稀に興奮状態でやって来るということだった。


稀なのだから…本来なら年に1回、多くても2回程度の襲来のはず。


ところが、ここ5年で増え始め今では年に4、5回の襲来になったのだとか。



明らかにおかしい。



何とか討伐してきたことで、そこまで問題視されなかった?



「近隣国でも、飛龍の襲来はここまで多くはない。勿論、私も調査を依頼した。

しかし…この地は危険だと認識されているからか、帝国の学者などやっては来ない。机上論では、結論が出ないままになっているようだ…」


「遂に…一度に3体の飛龍が襲来…で、すぐにまた1体。やっぱり変ですわよね?」



…絶対に何かあるじゃない…



ペコリと頭を下げ、部屋を出ようとすると…辺境伯様に呼び止められた。



「イシス嬢、周辺の魔物が襲ってこなくなったお陰で、怪我人を含め…辺境伯軍は今十分に休むことができている。ありがとう」



城のやや東側寄りが“魔物の森”…私の魔力が強くて怯えているらしいのだけれど…。



「魔物が近付いたら直ぐに分かるように…ちょっと特別な術をかけています。

完全に襲ってこなくなった…ということでもなくて、全てフェルナンド様が討伐しているんですよ」



この前、城の周りを散策しながら術を施しておいたのよね。



「…なんと…。知らなかったとはいえ、お2人にはご負担をかけて申し訳ない」


「今まで帝国を守ってきた皆様方のお力になれるのですから、私たちもうれしいです」




─────────




私はテーブルいっぱいに地図を広げていた。



「海…魔物の森があって、お城。飛龍は海のほうから飛んでくるから、迎え撃つのね。

このお城は…帝都を背にして守ってる…要塞って感じかな。帝都…遠いな」



魔導具のレーダーに飛龍が引っかかっても、襲来までに30分程度しか時間がないかも。


今回のように…小さな飛龍はすり抜けることもあるらしいから、見張りは寝ずの番。


というか、巨大な黒い飛龍の襲来はあっても、赤い飛龍は今までそうはなかったとか。


やっぱり何かおかしい。



「イシス」


「あ、フェル……討伐…お疲れ様」



フェルナンド様の服には、魔物のものと思われる返り血がベットリ。そのまま浴室へ直行していただいた。





「イシス、何してる?」



湯浴みをしてサッパリしたフェルナンド様は、バスローブが腰周りに巻き付いているだけ。



…そっちこそ、何してる?…



バスローブには腕を通すところがあるでしょう?



「ちょ、ちょっと…フェル、裸だよ…それ」


「…男は…湯浴みしたら、皆こうだよ?」



いやいや、そうだとしても…ダメ。


フェルナンド様はニヤッとしながら…まだ水の滴る前髪をかき上げ…オールバックにしてる…。


そんな格好で無駄に色気を出さないで。

…それにしても、イイ身体…

鍛え上げられた筋肉美、濡れた髪もセクシーで…



ご馳走さまです。





「で、何してるんだ?」



何してたかな?

フェルナンド様のせいで、思考回路が一旦停止してしまったじゃない。



「えーと…5年前から、飛龍の襲来が急に増えているの。何かあると思って、記録を調べようとしていたところよ」



「5年前か…ガーラント辺境伯に初めてお会いしたのが丁度そのころだったような…?

辺境伯が帝都の闘技場に来ておられたのだが…何か理由があったはずだ…」



そうか…その時にはまだ飛龍の襲来は年に1回くらいだったのかも。

だから、辺境伯様は城を離れることができたんだ。魔導ゲートもあるしね。



「ん…そうだ、バイセル王国から外交の使節団が来たのが5年前じゃないかな?」


「使節団?」


「あぁ…ガーラント辺境伯は使節団を辺境の地へ案内するために、帝都へ迎えに来ていた。使節団は、この城を視察する予定だったと思う」




この城といえば、飛龍の討伐施設が有名。


討伐方法について単に学びに来たの?…それとも…。








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