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くさなぎときつねの思い出ごはん。  作者: ちはやれいめい
ねこまたの章《しょう》
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むかしむかし 小町と小町

 貴族きぞくのやしきにうまれたわたしは、たいくつしていた。

 おきてからねるまで、やることは、歌集かしゅうむことくらい。

 しかるべきひとのもとにとつぐのだから、なにもしなくてよいとちちわれているの。


 はなし相手あいてになってくれるのはとしちかい※侍女(じじょ)のミツだけ。


 そんなわたしにはたのしみがあった。

 正月しょうがつあけに、やしきにまよいこんできたネコとあそぶこと。


 三毛みけがきれいで、マリをころがしてやると、よろこんでとびつくすがたがかわいらしい。


 ネコは毎日まいにちではなくて、いたときふらりとあそびにくる。



 ミツが「そのネコにかたれするのはおすすめしませんわ」なんてう。

 

 ミツのちちはわがつかえている()()()()()()なの。ミツもふしぎなちからがあって、わるいものがわかるんですって。

 だからか、こんなにかわいいネコすらけいかいしてしまう。


 ネコとあそぶようになったとしなつ。あついに、ミツが(けず)()用意よういしてくれた。


 さじでよくぜて、ネコにもわけてあげると、うれしそうにべる。


「そなたにもわけてあげましょう。これはとてもぜいたくなものなのですよ。ようくあじわってべなさい」

「にゃぁ」


 まるでわたしの言葉ことばをりかいしているみたい。

 ネコのあたまをなでながら、かたりかける。


「なあ。いつまでもそなたとぶのはよくないから、わたしのわたしをあげましょう。小町こまち母上気ははうえきりの、(うた)がうまい女性じょせい名前なまえをたまわったのだ。わたしは貴族きぞくのくらししからぬ。きっといのちわるまで。だから、小町こまちはかわりに、やしきのそとをたくさんておくれ。わたしも、どこまでもつづく野山のやまをいっしょに、自由じゆうにかけまわっているようなになれるだろう?」

「にゃう」


 わかった! とっているようにこえる。


「ミツも、これから小町こまちがきたらきちんと小町こまちぶのよ」

「ネコをひめさまのぶなんて、いくら姫さまのたのみでも、おそれおおくてできませんわ」

「もう。ミツ。あたまがかたいわね」


 それから数年すうねんちちめた相手あいてにとつぐて、小町こまちえなくなってしまった。

 それでもふと小町こまちてくれるのではないかとおもい、にわをるたびちがっていてちこむ。

 あのいまもどこかで、自由じゆうにくらしているだろうか。

 そうであればいい。




 小町姫こまちひめは、やしきのなかで、(こまち)おもう。




 小町こまち小町こまち おしまい



侍女(じじょ) ひめにつかえて、のまわりのおせわをするひといまでいう、おてつだいさん。

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