表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
くさなぎときつねの思い出ごはん。  作者: ちはやれいめい
ねこまたの章《しょう》
19/22

18 小町《こまち》の思《おも》い出《で》再来《さいらい》

 数日後すうじつご


草凪くさなぎさーん、おとどけものですー!」

「はーい!! いつもありがとうございます!」


 おくぬしはあまづらシロップのショップからだった。

 片手かたててるくらいの小箱こばこで、プチプチにくるまれている。


「わぁ! すっごくきれーい!」


 ビンにはいっているのは紅茶こうちゃのような、とうめいかんのあるうす茶色ちゃち…のシロップ。

 ひかりにかざすとキラキラする。


 これが、大学だいがく研究けんきゅうしてつくられたあまづらシロップ。 


草凪くさなぎ、これはなんだ。やわらかくてへんなものだ。つめがとげぬ」


 小町こまちがプチプチにびついてころげまわっている。


 雪路ゆきじもいっしょになってプチプチにいついてひっぱりまわす。 



「ほら、プチプチはあとでいくらでもあげるからかきごおりつくるよ!」


 今日きょう定休日ていきゅうび

 とうさんとかあさんはしんメニューかいはつにいそしんでいた。

 おきゃくさんをあきさせないように、がわりメニューをれかえているから、やすみのだってやすんでない。


とうさん、かあさん。とどいたよ! かきごおりつくろ!」

「おお、たか! やろうやろう」



 父さんはさっそくれいとうからこおりし、かき氷器ごおりきでガリガリとけずっていく。


平安時代へいあんじだいいまほどこまかくけずれなかったとおもうんだ。あらけずりの使つかおう」


 うちのかき氷器ごおりきはあらけずり、ふつう、こまかいけずり、雪状ゆきじょうよんだんかいある。



 あらくけずったこおりてつうつわりつけて、あまづらシロップをかけてスプーンでよくかきまぜる。


小町こまち、できたよ!」


 小町こまちはおそるおそる、かきごおりにくちをつけた。


 ひとみがまんまるくなる。


「うまいのう……ひめがくれたものと、よくておる。なつかしい。あのかぜのにおいすらもよみがえってくるようだ。ひめがくれたものとまったくおなじではない。だが──そのために草凪くさなぎたちはちからくしてくれた。……それが、なによりしあわせだ。あまくて、うまいのう。ありがとう、草凪くさなぎ


 小町こまちはうれしそうにかきごおりべる。


「よかった。小町こまちおもあじつくることができて」


 わたしたちも、あまづらのかきごおりべてみる。

 くちれたとたん、つめたさとやさしいあまみがふわっとひろがって、おもわずえがおになる。


 さらりとしたあまさがじんわりしたにくる。


「これが、とおいむかしのおひめさまもべていた、ぜいたくなおやつなんだね。フルーツもなにものっけてないけど、すごくおいしいなぁ」

「ああ。上品じょうひんなもの、とうたわれたのもうなずける」

「ふふふ。ほんとうね。べすぎちゃうわ」


 雪路ゆきじうつわにはなをつっこんであじわっている。


「わるくないな」

「わがはい、もう一杯いっぱいほしい」

つめたいのべすぎたら、いくらあやかしでもおなかいたくなるよ小町こまち


 でもまあ数百年すうひゃくねんぶりなんだから、今日きょうくらいはいいのかな。




 かきごおりえてしばらく。


 小町こまちはふう、とひといきついてシッポをゆらした。


「……さて、そろそろかえるとするか」


 わたしすこしさびしくなって、「そっか……」とつぶやく。

 おきゃくさんなんだもんね。

 しんみりしているわたしに、小町こまちはつづけた。



「とおもったが、ここはくうらぁがきいていてすずしいし、めしもうまい。──よし、わがはいは、ここにむぞ。雪路ゆきじいのだから、わがはいがむのもさしつかえあるまい?」

「えっ、ちょっと」

「わがはいはネコであるぞ。どこにこうと自由じゆうなのだ」


 とうさんとかあさんはかおを見合みあわせてわらい、雪路ゆきじは「めいあんだ。小町こまちがいるなら、わしもたいくつしなくてすむ」なんてってくれちゃう。



 こうして、小町こまち草凪家くさなぎけあたらしい住人じゅうにんになった。





 ねこまたのしょう おしまい


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ