14 白《しろ》くて冷《つめ》たくて甘《あま》いもの②
たのまれていた買い物をして、鎌倉駅から江ノ電にのった。
夏休みのまっただ中だから、すごくこんでる。
鎌倉はアニメの聖地だから海外からのお客さんもおおい。
いろんな国の言葉がとびかっていて、目を閉じると今どの国にいるのかわからなくなるくらい。
ふと、広告が目に入った。
駅前のカフェのポスターだ。
ふんわりしたスポンジに、生クリームと夏のフルーツがたっぷりのパフェ。
【ごほうびに、地元産フルーツもりもりパフェ】
「……ぜいたくだなぁ」
むいしきに、つぶやいていた。
小町の言葉を思い出す。
『さいこうのゼイタクだと言っていた』
「白くて、冷たくて、甘い」ぜいたく。
アイスクリームにしてもプリンにしても、コンビニでも買えちゃうお手軽なものだし、ぜいたくではない。
「……小町に甘いものをくれたのって、どんな人だったんだろう」
うちのご先祖さまみたいにお金がなかった人?
小町があやかしだと知らずに分けてくれたのかな。
「小町にもう一回聞いてみよう」
電車をおりて家にいそぐ。
「ただいま! 母さん、おつりとゴミぶくろと領収書、ここにおいとくね」
「はーい、ありがとうね、マコト」
店のキッチンから母さんの返事がする。
トトト、と小町がかいだんをかけおりてきた。
「そうぞうしいな草凪」
「失礼な」
ほんとうに、なんでこんなトノサマみたいなのこの子は。
「小町。いつ、だれに甘いものをもらったの?」
「ひめ、と呼ばれておったな。ひろいやしきで、たくさんの人がひめにつかえていた。その中には、草凪の血のものもいた。ひめは、わがはいがあやかしだとわからぬものであったが、小町と名をくれて、たいそうかわいがってくれた。とても良きひとであったぞ」
「ひめ…………姫?」
武将の娘とか、貴族の娘、身分の高い女性のことだったよね。
お姫さまならどんなぜいたくでもできる。
身分の高い人が食べていたもの。
少しだけ、答えに近づいた気がする。




