仕事探し
「・・・さん」
「・・・きゃくさん!」
「お客さん!お客さんったら!!」
ガクガクと肩を揺さぶられる。
目を開けてみれば、目の前にはあきれ顔。
薄いピンクの髪――いや、脂ぎったヒゲ面。
金色の瞳――ではない。ガッツリオッサンだ。
「オッサンが、後輩のうまれかわり・・・?」
「寝ぼけてんじゃないよ、客人。付いたぜ。王都セレオスだ」
オッサンに促されて、馬車から地面に降り立つ。見上げれば、街の入り口が目の前だった。
荷馬車の上から降り立ち舞い上がった土煙が、乾いた風に流れていく。街の入り口には粗末ながらも頑丈そうな門があり、その向こうには活気ある市場と、喧騒に包まれた石畳の通りが広がっていた。
「……さて、仕事でも探さないとなぁ」
無事に街に付けて少しほっとした気持ちになったけど、足取りが軽いとは言えない。
なんせ財布の中身はほとんど空っぽだ。
今すぐにでも働かないと、明日の食事さえ危うい。
門をくぐり、少し歩いてから足を止める。目の前に広がる街の賑わいが、俺の心を少しだけ弾ませる。市場では人々が声を張り上げて商品を売り、街道を行き交う馬車の音が耳に入る。
周りを見渡すと、いくつかの宿屋や食堂が見える。どれも活気に満ちていて、今すぐにでも働き口が見つかりそうな気さえする。だが、どこに声をかければいいのか、どんな仕事があるのか、全く分からない。
ええい、ままよ!
とりあえず一番目立つ宿屋を見つけ、扉を開けて中に入ってみた。




