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しあわせだった




 ・・・わたしはしぬ。いっぱいひどいことをされて。


 めのまえにはやさしかったおとうさまと、おかあさま。いまはだるまにされて、ろうやのすみにころがっている。


 わたしはおとうさまとおかあさまを、かべにたてかけてあげる。


 なかがよさそうによりそうおとうさまとおかあさま。おとうさまはおかあさまがだいすきだった。

 

 おかあさまもおとうさまがだいすきだった。わたしも、おとうさまと、おかあさまがだいすきだった。


 さんにんは、いつもなかよしだった。


 ――ちいさなころからのたのしいおもいでが、つぎつぎとうかんではきえる。

 

 いちばんふるいおもいでは、こもりうた。おかあさまが、わたしをだいて、せなかをポンポンとたたきながら、うたってくれた。


 よる、ねるまえには、えほんをよんでもらった。すきだったえほんのはなしは、いまでもうっすらとおぼえている。


 さんにんで、おかのうえをおさんぽしたね。わたしはおとうさまとおかあさまとおててをつないで、つかれたらおべんとうをたべて、くさのうえにねころんだ。


 うみにいったこともあった。すなはまにあなをほるおとうさま。そのなかにはいってあそぶわたし。


 みんなではしゃいで、よるになれば、たきびをめのまえにみんなでおしゃべりをした。 


 たんじょうびにはろうそくをふきけすわたし。しあわせそうにほほえむ、おとうさまとおかあさま。

 きっとわたしも、ほほえんでいた。


 ずっとずっと、しあわせだった。


 おとうさまのしごとがうまくいかなくなって、おかねがなくなって、たべるものがすくなくなってからも。


 ふたりが、わたしにほほえんでくれたから。


 わたしは、ずっと、しあわせだった。


 これからも、ずっと、しあわせなはずだった。


 わたしが、たいせつなふたりを、まもるはずだった。


 いまはくうどうになっためで、わたしをみるふたり。


 そのかおは、まるでろうにんぎょうのよう。

 

 どうして、こんなことをするの?


 わたしたちがいったい、どんなひどいことをしたの?


 にくい。


 にクい、ニクイ。


 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い


 だれか、フクシュウを。ワタシタチの、カタキを。

  

 だれでもいい。それがオニや、アクマでも。

 

 お ね ガ い ダ レ か ・・・







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