表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

87/107

第八十七話 あきらめない人たち

 わたしに対して、継母は憤懣をぶちまけてきた。


 それに対し、父とコルヴィテーヌは何も言わないが、怒りを我慢している様子。


 コルヴィテーヌが王太子妃の座につくというところまで、後もう少しだったのだから、仕方がないとは言えるだろう。


 とはいうものの、継母やコルヴィテーヌは無理だとして、父に喜んでもらえないのは、寂しいことではある。


 幼い頃から継母に憤懣をぶちまけられることはよくあった。


 反論しても無駄なので、ここは我慢するしかない。


 わたしが黙っていると、継母は、


「ふん! あなたの顔など見たくもないわ!」


 と叫ぶ。


 わたしはそれに対し。


「では、これで失礼いたします」


 と微笑みながら言った後、部屋を出ていく。


「なんであなたのようなどうしようもない子が……」


 継母はなおも叫ぶが、一切無視し、わたしは自分の部屋に戻っていった。




 三人の態度は、その後も変わらないように思えた。


 しかし、それから三日が経った頃から、三人のわたしに対する態度は少しずつではあるものの、軟化したように思えた。


 怒りが収まってきたように思えたのだ。


 継母がわたしに嫌味を言ってくる回数も減った。


 この調子でいけば、グラスジュール殿下との結婚を祝福してくれるようになるのでは?


 そう思い始めていた。


 ただ、一方で、長年わたしに対して嫌味をいい、嫌っていた三人がわたしに対しての態度を急に変えてきた理由がよくわからなかった。


 もしかしたら、わたしを油断させようとしているのでは?


 どうもそういう気がしてならなかった。


 さらに気になるのは、王妃殿下と継母との関係だ。


 もともと仲がいい方ではあった。


 でも舞踏会以降は、さらに仲が良くなったように思える。


 三日に一度は会うようになっていた。


 ウスタードール殿下を推す王妃殿下と、そのウスタードール殿下とコルヴィテーヌを結婚させようと考えている継母。


 利害は一致していると言っていい。


 その結婚の話を進めようとして会っているのだろうとは思う。


 この話であれば、特に問題はないと言えるだろう。


 普通であれば、王室とフィリシャール公爵家の関係をより強固にするはずのものだからだ。


 しかし、王妃殿下も継母も、ウスタードール殿下が王太子になることをあきらめてはいない。


 ただこのままでは、その勢力が弱まる一方になっていく。


 この二人は、それぞれ王室内とフィリシャール公爵家に強い影響力を持っている。


 お互いに協力をすれば、ウスタードール殿下を推す勢力の力を取り戻すこことは十分可能だ。


 そこで二人は、ウスタードール殿下を推す勢力の力を再び拡大させる為の作戦を練っているのでは?


 そして、ウスタードール殿下を王太子の座につけるとともに、コルヴィテーヌを王太子妃の座につけて、わたしたちをそれぞれ修道院に送り込むのでは?


 それだけではなく、処断することも検討しているのでは?


 十分ありえることなので、そういう懸念はどうしても持たざるをえない。


 わたしがその懸念を伝えると、グラスジュール殿下もその懸念は持っていたようで、


「そなたの懸念はもっともだ。わたしもそう思っている。まだまだあきらめることはできないのだろう」


 と言ってくれた。


 しかし、グラスジュール殿下は、


「心配することはない。どんな人物が、どういう手を打ってきたとしても、わたしにかなうものはいない。わたしに勝てるものなどいないのだ!」


 と言って、自分に絶対的な自信を持っていた。


 わたしはグラスジュール殿下のその言葉に、力づけられていたのだった。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


と思っていただきましたら、


下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。


ブックマークもいただけるとうれしいです。


よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ