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第八十三話 舞踏会

 わたしがグラスジュール殿下の病気を治療してから一か月後。


 グラスジュール殿下とわたしは、舞踏会に出席していた。


 この舞踏会は、グラスジュール殿下の婚約者としてのわたしを披露する舞台でもあったのだけれど、さらに大きな意義を持ったものになった。


 ここで、国王陛下は、


「わたしはこれから、グラスジュールに大幅な権限移譲を行う。そして、わたしの後継者はグラスジュールだ! ここに改めて宣言する!」


 と高らかに宣言したのだ。


 グラスジュール殿下は、今まで王太子ではあったものの、その基盤は安定しておらず、ウスタードール殿下を推す勢力がここにきて一層勢力を強めていた。


 国王陛下はグラスジュール殿下を後継者にする方針は変えてはいなかったが、ここ最近は、グラスジュール殿下についての発言をすることはなく、グラスジュール殿下のことを嫌っているのでは、という憶測が流れるようになっていた。


 その為、周囲ではウスタードール殿下が王太子になるのも近いだろうと思われていた。


 しかし、国王陛下の宣言によって、形勢は一気に逆転した。


 後で聞いた話ではあるのだけれど、グラスジュール殿下が病気になる直前、国王陛下の心の中では、


「グラスジュールからウスタードールに後継者を変更すべきでは?」


 という気持ちが湧いてきていたのだそうだ。


 ウスタードール殿下を推す勢力に押されたというわけではなく、グラスジュール殿下が後継者になるという気力を失っていたからということがその理由だ。


 実際、グラスジュール殿下が病気になる一か月前まではそういう状態だった。


 国王陛下は、グラスジュール殿下に対して、


「誰が何を言おうと、わたしの後継者はお前しかいない!」


 と言い続けていた。


 そうすることによって、グラスジュール殿下の気力を沸き上がらせようとしていたのだ。


 しかし、その努力も空しく、グラスジュール殿下は気力を失ったままだったので、国王陛下はあきらめ初めていたのだ。


 グラスジュール殿下にとって有力な後ろ盾は、既に国王陛下しかいなかったので、その国王陛下がグラスジュール殿下を後継者に推す気がなくなれば、もうその時点でグラスジュール殿下は王太子の座をウスタードール殿下に譲らなければならなくなる。


 グラスジュール殿下としては、それが狙いだったのだろう。


 しかし、グラスジュール殿下が病気になる一か月前、転機が訪れた。


 グラスジュール殿下は、この王国に対する危機感を持ち始めた。


 自分が後継者にならなければ、この王国が衰退の方向に向かうということを認識したのだ。


 グラスジュール殿下はその認識により、国王陛下の後継者になる決意をした。


 そして、気力を取り戻し始めた。


 しかし、国王陛下はそれを認識していないまま、グラスジュール殿下は病気になってしまう。


 グラスジュール殿下が生命を失わなかったとしても、病気との戦いが長期化すれば、ウスタードール殿下に王太子の座が移ることになったと思われる。


 それほどぎりぎりのところまで来ていたということだ。


 グラスジュール殿下は病気が治った後、国王陛下と話し合った。


 そこでは、わたしに伝えたこととと同じく、


「この王国を改革したい!」


 という熱い思いを国王陛下に伝えた。


 そして、


「母上の思いのままにさせていては、この王国を衰退させます。母上ではなく、わたしに権限を委譲させてください」


 ということを強く主張した。


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