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第七十七話 グラスジュール殿下の気力

 

 グラスジュール殿下が今まで見せることのなかった表情。


 それはとても魅力的なものだった。


 ますますグラスジュール殿下のことが好きになってくる。


 そして、グラスジュール殿下は、その魅力的な表情で話をし始めた。


「わたしはそなたのような人を求めていたのだ。わたしの気持ちを理解し、わたしのことを思ってくれる人をね。ここで言っている『思う』は恋愛での『想う』ではないのだが、わたしは王太子なので、普通だったら、わたしのことを思ってくれるものたちは、ある程度はいるものだと思う。しかし、現実は違っていた。既に幼い頃からその数は少なかった。わたしが傲慢な態度を取ってからは、さらに減ってしまった気がする。まあ、今までは、『どうせウスタードールに王太子の座を譲らなければならないのだから、どうでもいいや』と思っていたのだが。しかし、そうもいかなくなってきたのだ」


「と申しますと?」


「義理の母とウスタードールが半年前から度を越した贅沢をし始めたのだ。それによって臨時の税が取り立てられている。その取り立て自体はそなたの耳にも入っているだろう?」


「はい。入ってきております。ただ、お二人の贅沢の為だとは思っていませんでした」


「まあ、ほとんどのものはその認識だと思う。また、今のところは、豪華なドレス。宝石というところまででおさまってはいる。このこと自体、問題ではあるのだが。しかし。これでおさまっていればまだいい。それだけではなく、義理の母は自分とウスタードールの威光を示したいという名目で、豪華な建物を建てようとしている。それも、王宮内だけではなく、全国各地に。既に計画は動き始めているところだ。実際は。義理の母がその威光を示したいというところも強いだろう。義理の母は公の場でも、『わたしとウスタードールはもっと輝き、威光を示さなければならない。その為には、わたしとウスタードールはもっともっと贅沢をして、飾り立てていく必要があるの』と言っているほどだ。いずれにしても、ボランマクシドル王国の財政はぎりぎりのところで黒字という状況なので、こうした建物を建てていくと一気に赤字になり、その額が膨らんでいくことになる。これをまかなうのは結局、国民から取り立てる税ということになる。今でも決して税率は低いとは言えないのに、税率を高くして負担を装荷させてしまったら、国民の生活は苦しくなってしまう。わたしは、このままではいけないと思ったのだ」


「国王陛下はその動きを止めようとはしないのですか?」


「父上は、わたしにとって数少ない理解者だ。しかし、一方で、義理の母のことを今でも熱愛している。まあ、美人であることはわたしも認めざるをえないところで、父上が今でも夢中になるのもわからなくはない。そして、二人の子供であるウスタードールのことも愛している。こうなると、義理の母の言いなりになってしまうのは、容易に想像できると思う。しかし、だからと言って、このまま義理の母の思い通りにさせるわけにはいかない。このまま進んでいけば、王太子、そして国王の座にはウスタードールがつくことになるだろう。そうなると、ウスタードールの後見をすることによって、より一層義理の母の思い通りになっていく。その先には、国民の困窮があり、王国全体の衰退につながっていく。この動きを止めなければと思い始めていたのだ」


「もしかすると、そう思い始めたのは、グラスジュール殿下とわたしときちんとした形でお会いした後のことでしょうか? そして、グラスジュール殿下の気力が湧き出し始めたのも、そう思い始めてからでしょうか?」


「そなたの言う通りだ。わたしのこの変化を認識しているのは、今のところわずかな人数しかいないし、そうしたものたちは、もともと親しくしていたものたちだ。それをそなたはきちんと認識していた。それだけでもすごいことだと思っている」


「ありがとうございます」


 グラスジュール殿下が褒めてくれるとうれしい。


 でも恥ずかしい気持ちにもなる。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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