表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

64/107

第六十四話 治癒魔法を使用するわたし

 国王陛下の許可をもらったので、わたしは魔法を使う態勢に入った。


 まずは心を穏やかにする。


 これがすべてのスタートだ。


 そして、グラスジュール殿下の手を握る。


 わたしの手から治療魔法をグラスジュール殿下の体に流し込む為だ。


 とはいうものの、グラスジュール殿下の手を握るのは少し恥ずかしい。


 異性ということをどうしても意識をしてしまう。


 手を今まで握ったことがないわけではないのだけれど、まだまだ慣れていない。


 わたしは心を落ち着かせていく。


 心が再び穏やかになってきたところで、わたしはソフィディーヌ様が言われていたように。


「このわたしの魔法で、人々を幸せにしてください」


 と強く念じた。


 魔法の力がだんだん強くなっていくのを感じる。


 そして、いよいよ魔法を使う時がきた。


 わたしは、


「グラスジュール殿下の病気が治りますように!」


 と強く念じていく。


 わたしからグラスジュール殿下に治癒魔法の力が流れ込んでいく。


 この一か月の間、一生懸命練習をしたのだ。


 きっとグラスジュール殿下は良くなるはず!


 そう思っていたのだけれど……。


 グラスジュール殿下の苦しみはおさまらない。


 効果がそろそろ出てきて、苦しみはおさまってくるはずなのに……。


 どうしてなのだろう?


 治癒魔法の力がグラスジュール殿下み流し込まれているのは間違いない。


 その力がまだまだ弱いということなのだろうか?


 わたしの力では、グラスジュール殿下は救えないということなのだろうか?


 それともグラスジュール殿下は寿命をもう迎えてしまっているということだろうか?


 寿命を迎えている場合は、どんなに力が強くても、治癒することはできないということだったのだけど……。


 いや、そんなことはない、


 まだグラスジュール殿下は若く、寿命を迎えることはありないはずだ。


 とすると、わたしの力がまだまだ弱いからだと思わざるをえない。


 国王陛下は心配そうな表情。


 このままでは国王陛下にも申し訳ない。


 わたしのことを評価してくれたソフィディーヌ様にも申し訳ない。


 わたしにはもともと無理な話だったのだろう。


 だんだん限界が近づいてきている。


 このままだとわたしは力を使い尽くしてしまい、この場で倒れてしまいそうだ。


 グラスジュール殿下を救うことはもうあきらめざるをえないところまできている。


 わたしは心が折れかけていた。


 すると、グラスジュール殿下の手がわたしの手を握りしめる。


 その瞬間、グラスジュール殿下はわたしに救けを求めているのではないかと思った。


 そして、わたしは反省した。


 グラスジュール殿下はわたしのことを頼ってきている。


 それなのに、わたしがここで倒れてしまったら、グラスジュール殿下のその心に対して背くことになってしまう。


 グラスジュール殿下とわたしは婚約者といっても、名ばかりのもの。


 しかし、それでもわたしはグラスジュール殿下を救いたいと思っている。


 それは恋の芽生えなのかはわからない。


 また、グラスジュール殿下はわたしを頼りにしてきている。


 それも恋の芽生えなのかはわからないところだ。


 いずれにしても、これからお互いの気持ちを知っていく為には、わたしの力でグラスジュール殿下を救わなければならないのだ。


 弱気になってはいけない。


 とはいうもの、現実的にわたしの力はもうあまり持たないところまできている。


 いったいどうすれば?


 と思っていると、


「リランドティーヌさん、あなたしかグラスジュール殿下を救える人はいないのです。もう一度、原点に戻り、心を穏やかにした後、全力でグラスジュール殿下に治癒魔法の力を流し込むのです」


 というソフィディーヌ様の声が聞こえてきた。


 そうだ。


 わたしはいつの間にか心の穏やかさを失っていた。


 これでは力が弱くなっても仕方がない。


 わたしはもう一度心を穏やかにすることにした。


 すると、魔法の力が再び湧き上がってくる。


 この魔法の力で、わたしは改めてグラスジュール殿下を救いたいと思う。


 わたしは、


「ありがとうございます。ソフィディーヌ様」


 と心の中で呼びかけた。


 すると、ソフィディーヌ様は、


「リランドティーヌさん、グラスジュール殿下の寿命はここで尽きることはありませんので、治癒魔法を使って治癒することは十分できるのです。今、リランドティーヌさんは心の穏やかさを取り戻しましたが、その心の穏やかさをベースにして、治癒魔法を使ってください。あなたなら絶対にグラスジュール殿下を救うことができます。わたしはあなたがその魔法の力によってこれから多くの人々を救ってくださることを信じています。そして、あなたが幸せになることをお祈りしています」


 と微笑みながら言った後、この場を去っていった。


「わたしはこの治癒魔法によって、グラスジュール殿下の病気を絶対に治し、お救いいたします。そして、この魔法の力をもっと強くして世の中の人々を救えるようになり、ソフィディーヌ様のご期待に沿えるように、改めて一生懸命努力をしていきます。ソフィディーヌ様、ありがとうございます」


 わたしはソフィディーヌ様に心の中で感謝をした。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


と思っていただきましたら、


下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。


ブックマークもいただけるとうれしいです。


よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ