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第四十八話 前世の記憶を思い出してから一か月後

 わたしが前世の記憶を思い出してから一か月が経った。


 この間、わたしは今までの「悪役令嬢」的女性から生まれ変わる努力を一生懸命続けた。


 最初は困難の連続だった。


 執事のモイシャルドさんと侍女のリディレリアさんは、わたしがそのことを告げた初日こそ、戸惑いの方が大きかったものの、受け入れてくれるまでの時間はそれほど長くはなかった。


 ただ、リディレリアさんの方は、長年わたしのことを恐れてきたので、今でもまだわたしを恐れる表情をすることがたまにある。


 しかし、それもわたしがやさしく接していけば、無くなっていくだろうと思っている。


 わたしは、使用人たちに対しても、


「今まで嫌味を言い、イジメていたことを申し訳なく思っています」


 と言って頭を下げた。


 もちろん、わたしの言っていることが信じられない人たちも最初の内は多かった。


 それでも普段からの気づかいをしていた結果、使用人たちの多くが、わたしのことを受け入れてくれるようになってきた。


 父、継母、コルヴィテーヌとの対応では、いつも微笑むことを心がけた。


 嫌味を言われても決して反論はしない。


 とはいっても服従するわけではない。


 微笑みながら気品を持って相手を圧倒していく。


 これが基本方針だった。


 この一か月間、それを貫き通すのは大変なことだった。


 特に継母は、わたしを怒らせる為、いろいろな方面からの嫌味を言ってくる。


 わたしはその度に怒りを我慢してきたのだけれど、それは相当つらいものだった。


 もし継母の嫌味に反論してしまえば、それだけでもわたしの「悪役令嬢」としての印象が増大してしまう。


 グラスジュール殿下にもそれは伝わってしまうことなので、絶対に避けなければならなかった。


 一か月経った現在では、以前よりもその攻撃が鈍ってきている。


 そして、この三人のわたしに対する印象も、多少ではあるものの、改善の方向に進んでいるようだ。


 少しホッとしている。


 学校では、ブリュマドロンさんとの関係が少し改善した気がする。


 わたしがブリュマドロンさんに対して、


「生まれ変わる決意」


 を告げた後も、嫌味を言うことは続いているし、それは今でもそうだ。


 そこは誤算と言えるかもしれない。


 今までは、自分の家の家格が高いということで傲慢な態度を取り。わたしのことを見下すような嫌味を繰り返していたブリュマドロンさん。


 その度に怒ったわたしは反撃をしていた。


 しかし、以前とは違い、ブリュマドロンさんからのそうした言葉は大幅に減った。


 嫌味自体は言っているのだけれど、その嫌味自体に勢いがない。


 わたしがいつも気品をもった微笑みで接しているので、傲慢な態度がだんだん取りにくくなっているのが影響しているようだ。


 仲良くなるかどうかはともかく、ブリュマドロンさんのわたしに対する意識は、少しずついい方向に向かっている気はしている。


 その他のクラスメイトたちに恐れられていたわたし。


 イジメはしていない。


 しかし、自分の方の身分が高いということで、傲慢な態度を取り、嫌味を言っていたので、恐れられても仕方がない。


 これも前世と状況は同じ。


 前世において、わたしが婚約を破棄された主な理由にならなかったものの、影響はあったと思っている。


 これについても、前世と同じことを繰り返すわけにはいかない。


 わたしはクラスメイトたちにも、微笑むように心がけた。


 そして、


「嫌味を言って申し訳ないと思っています」


 と言って、嫌味を言ったことのある人たちに謝った。


 フィリシャール公爵家の使用人たちと同じく、わたしのことを受け入れようとしない人は多かった。


 そうした人たちは、今の時点でもまだまだ多い。


 その人たちは、わたしがまた「悪役令嬢」に戻ることを恐れているのだと思う。


 もう以前の「悪役令嬢」には絶対に戻らないという意志を周囲に対して地道に示していくしかないと思っている。


 魔法の方もソフィディーヌ様の教えに従い、毎日地道に訓練を続けていた。


 少しずつその能力は向上していると思っている。


 ソフィディーヌ様の期待に応えるべく、もっと努力していきたい。


 理想とするわたしの姿にはまだまだ遠いと思う。


 しかし、一か月前に比べれば、大きな前進だと思っている。




 こうしてある程度周囲の評判も改善され、わたし自身も生まれ変わりつつあることを認識していた時。


 わたしはグラスジュール殿下との婚約式を迎えようとしていた。


「面白い」


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