第四十七話 その後、みじめな人生を送った、わたしの前世での婚約者・継母・異母妹
オーギュドリュネ殿下とルゼリア、その両方が贅沢好きとなれば、支出は一気に増えることになる。
たちまちのうちに、ルラボルト王国の財政は、大幅な赤字に陥ってしまった。
この赤字を改善する方策については、ろくに論議をされることはなかった。
臨時税を取り立てることで、黒字に転換するという計画が立てられ、すぐに実行されたのだ。
それだけではなく、通常の税率も今までよりも高いものとなった。
その状態が三年続いた。
しかし、オーギュドリュネ殿下とルゼリアの贅沢は止まらない為、赤字は改善されないままだった。
国民は困窮し、その日の食べ物にも困る人々が増えてきた。
反乱の機運が次第に高まってくる。
この状況を打開できると期待されていたのは、国王陛下。
しかし、臨時税を導入した三年目の日を前にして、この世を去っていた。
このままではオーギュドリュネ殿下が国王に即位することになる。
そうなると、今まで以上の圧政をすることになり、国民はより一層生活が苦しくなる。
この状況を打開しなければならない!
そう思う人たちが一気に増加し、ついに反乱が発生した。
王国軍は鎮圧に向かった。
しかし、オーギュドリュネ殿下やルゼリアの贅沢について反発を持っていた人たちが軍の中で多数を占めるようになっていたので、士気はあがらず、反乱軍を抑えることはできなかった。
そして、あっという間に反乱軍は王宮を包囲した。
ルラボルト王国の王室や貴族たちの多くも、既にオーギュドリュネ殿下から心は離れていた。
そうした人たちが、王妃殿下に対して、
「オーギュドリュネ殿下は国王の座にふさわしくない人物ですので、名声のあるルシャールリップ殿下を国王にしてくださいませ」
と言って、オーギュドリュネ殿下の親戚であるルシャールリップ殿下の擁立を懇願したのだった。
王妃殿下は、一旦は抵抗したものの、反対勢力の圧力に屈せざるをえなかった。
反対勢力の懇願はそれにとどまらない。
「オーギュドリュネ殿下とルゼリアの修道院行き」
も懇願された。
王妃殿下はその懇願の対しては、容易に屈しようとはしなかった。
王室や貴族にとって、修道院での生活は、苦しみ以外の何ものでもない。
特に贅沢三枚の生活をし、思うままの生活をしてきたこの二人には、想像もつかないような厳しい生活が待っている。
母親としては子供にそういう苦しみを味あわせたくはなかった。
しかし、この三年の間、どれだけ国民が苦しんできたかということを、反対勢力によって、熱を込めて説明された王妃殿下は、結局のところ従うしかなかった。
こうして、新しい国王にはルシャールリップ殿下が即位し、オーギュドリュネ殿下とルゼリアは別々の修道院に送られることになった。
継母も、ボワデシャール公爵家で圧政をしていたということで修道院送りとなった。
継母は、修道院に向かう時、
「ちょっと請託をしたくらいで修道院行きなどありえないわ!」
と言って怒ってはいたものの、泣き叫ぶことはなかった。
しかし、オーギュドリュネ殿下は修道院に向かう時、
「わたしはこの王国の国王なのだ。その国王がなぜ修道院に入らなければならないのだ!」
と言って泣き叫んだというし、ルゼリアも修道院に向かう時。
「わたしは王妃となる身。修道院になど行きない!」
と言って泣き叫んでいたということだ。
この三人は、修道院の厳しい生活に耐えられなかったのだろう。
いずれも修道院に送られてから、一年以内にこの世を去ることになった。
みじめな最期としかいいようがない。
わたしはルラボルト王国の歴史書のこの部分を読み終えた。
この三人は、結局、幸せになることはできなかったのだ。
わたしを処断にまで導いた以上、それは最初から無理な話だったのだろう。
とにかくこれでわたしの前世の確認はできた。
これからは、こうした前世の失敗をしないように生きていかなくてはならない。
でも、ただ失敗をしないだけでない。
わたしはグラスジュール殿下と一緒に幸せになっていきたい。
そして、わたしはこれから王太子妃、そして、王妃になっていくので、国民と一緒に幸せになっていきたいと思っている。
その為に、わたしは改めて、
「生まれ変わる決意」
をしていく必要があると思うのだった。
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